2015年に買ってよかったもの5選

ひっそりとはてなブログに移行してたんですが、こちらで書くはじめての日記は2015年ももう2月半ばにもなるのに去年のふりかえりです。去年買ってよかったな、と思ったもの。

その1 カート

近所のスーパーなんぞに買い物にいって帰り、そう遠くもないのに重くてよたよたと帰ってくるのがしんどかった。牛乳などの液体系、キャベツなど、とにかく重い。持った瞬間は行けそうでも、歩みを進めるうちにずっしり重くなる。そこでカートがあれば楽だろうな、とサイトで探しまくるが、いいものは高い。持ち運びや普段の収納がかさばるのは困るし、本体が重いと話にならない。安いけどダサいものはイヤだ。いかにもショッピングカート然としたのはイヤだ。など…ネットの海を探し回る。これなら、と値段とデザインで折り合いついたのはトートバッグタイプのもの。↓

 

幸和製作所 OD-21 アルミ製ショッピングカート グレー

幸和製作所 OD-21 アルミ製ショッピングカート グレー

 

 

平たい状態でトートの持ち手部分を肩にかけてもっていき、帰りは広げてバッグのなかに買い物を放り込んでコロコロして帰ってくる。これが感激するほど帰り道ラクなんだ。グレーだけど細かい千鳥格子でシンプルで近所の持ち歩きもそう恥ずかしくもない。もっと早く買えばよかった。

 

その2 コロコロ付リュック(デイパックキャリー)

またかよ。という感じですが、小旅行などで重い荷物をもってウロウロすることの辛さ。かといってキャリーバッグはかさばるし歩行者のジャマになる。それを解消すべくコロコロで引っ張ることもできるし、背負って歩くこともできるリュックを探したのですが、これまたなかなか見つからない。あっても本格バックパッカー用なのかしてデカくて本体重量がめちゃめちゃ重くてね。あとは子ども用とかデザインがキャラ物で派手派手とか。あきらめかけたのですが、みつけたのです。↓でもいま在庫なしになってるからもう廃盤なのでしょうな。

www.amazon.co.jp

自分が買ったのは同デザインで黒。シンプルでいい。先日香港へ旅したのですがそのときもこれで十分でした。空港ではコロコロできるし、機内持ち込み余裕だし。コロコロの音も静かです。背負ってもそこまで重さは感じません。違う型のが現在は売ってるみたいなので、いまのがダメになったらまた買おう。

 その3 ビンオープナー

朝は食パンにジャムを塗る。そのジャムのフタ問題。おそるべき固さ。これは品質保持上やむなし…なんだろうけど尋常じゃなく固い。朝おきてさぁ食べようと思って「あ、ジャム新しいの開けなきゃ」となったとき5分くらい悪戦苦闘するハメになる。電動オープナーなどいろいろありましたが、価格、品質でこれを選択。↓

 

OXO  ビンオープナー 21181

OXO ビンオープナー 21181

 

 大きさもいろいろ対応できます。フタのとこはガリガリにひっかかれた傷みたいなのつくけど、別にかまいません。電池切れの心配も無し、置き場所もとらないのでこれで十分。それにしてもいざ開けようとすると、右回しか左回しかわからなくなる現象がおきるのですが、これって自分だけかな…

その4 fitbit Charge

 去年のベストバイにあげたfitbit one。1年以上つかったと思うのですが、落っことしてしまいました。ガックリですよ。サイレントアラームは殊更便利だったのですぐに代替を買うことに。そこで落とさないように、とバンド型のを。フロに入るとき以外はずっとつけっぱなしです。睡眠時もoneでは睡眠モードに手動で切り替えなきゃならなかったのが、Chargeは自動的に睡眠を検知する(ただ、映画を鑑賞時のように2時間ほどじっとしてるとそれも睡眠にカウントしてしまうので、そこは手動でデータ削除が必要になります)。

 

 ただちょっとゴツくて。腕時計並みの大きさで、ずっとつけているとちょっと気になるかもしれない。自分はもう慣れたけどもっと小さいのが出ればいいな、と思って調べてみたら、もう出てるよ!まだ日本での正規発売はされてないようだけど並行輸入はもう出てきてますね。つぎはこれが欲しい!

 

その5 振動する腕時計

これまた目覚ましアイテムです。音をならすと周囲にまで響いてしまう。すみません。もうしわけない、ということで、fitbitのサイレントアラームで起きるべく設定してるのですが、人間だもの、二度寝とか、設定モレとかありそうじゃん。ということでセーフティネットとしてもういっこサイレントアラームが設定できるものを、ということで購入したのがこれ。

 

 寝るときは両腕がふさがってる状態です。片腕にはfitibit、もう片腕にはこの時計ですよ。おかげでこれまでのところ寝坊遅刻はないです。こんな時計を両腕にしてる時点で結構滅入ってしまうような気持ちではあるのですが…(社畜的な感じ…)。

 

今年はもっと楽しげなアイテムで充実したいものです。明日は月曜、今夜も両腕ふさいで眠らなきゃ、明日も早起きだ。はぁ…

最近行ったライブ(YO LA TENGOとサニーデイサービス)にて思ったこと

音楽は、歳をとるごとに新しいものを聴く機会は減り減りに減り、一番よく聴いていた十代から二十代半ばくらいまでに夢中になったもの、のうち更に一部のものだけを細々と聴き続けている感じです。彼らが新譜を出したら買ってみたりみなかったり。彼らに関連するようなミュージシャンで興味がもてたら買ってみたり。最近観に行ったライブ二本は、むかしからずっと聴き続けていたアーティストです。
梅田クアトロでYO LA TENGOのライブがある、ということで迷ったけどチケットを取りました。これまでも何度も来日してくれているのに、タイミングがあわず観られないままだった。このバンドのファンになったきっかけは、きっと彼らのアルバムで一番メジャーだろう『I can hear the heart beating as one』。自分の心のベストテン上位に入り続けるこの作品は何度も何度も繰り返し聴き続けてます。wikiによると1997年の発売、ということは約18年くらい聴いてるみたいだ。

I Can Hear the Heart Beating As One

I Can Hear the Heart Beating As One

今回は新譜『Stuff Like That There』がアコースティックなテイストのカバーアルバムだったので、アコースティックセットでのライブとなりました。
Stuff Like That There

Stuff Like That There

オリジナルの初期メンバーだったデイビッド・シュラムも参加とのことで、超豪華かつ音のひとつひとつが際立った粒のような演奏にすっかり気持ちよくなってしまいました。前半45分パートで前半ではThe Cureのカバーの『Friday I'm in love』が生で聴けて本当にうれしかった、オリジナルもいいけどカバーがまたいいんだ。約15分のインターバルで後半へ。新しいアルバムからの楽曲を中心に演奏は続きます。デイビッドだけがエレクトリックギターなのだけど、この奏でる音がすばらしくて。まさに夢見心地にしてくれる。アイラとジョージアのボーカルも本当に大好き。アンコールはお約束の1回はもちろんだけど、バックステージに引っ込んだあとも拍手と足踏みは止まらず、また出てきて演奏を。さ、客電もついたし…でも余韻にひたっているオーディエンスはまだ拍手をやめない。そして笑いながら3回目のアンコール。歌も演奏も素晴らしくて、客席もいい雰囲気で、ひたすら心地よいライブだった。
ただ、梅田クアトロは旧梅田ピカデリー、つまり映画館を改装しているハコで、ステージが下にあって、それを見下ろすような形のつくりのためかなり見にくくて、人の肩と肩の間のわずかな隙間から観るしかありませんでした。当日券は出ていたけれどかなり人で埋まっているため一歩も動けず、後半も大分すすんだところでそのうち冷や汗が出て視界が暗くなり…これ朝礼で倒れるパターンのアレだ、ということで後ろにさがって壁際に座り込んで音楽を聴いてました。それでも倒れなくてよかった…まわりも大変、自分も大変だからな。しかし2時間立ちつづけることもしんどくなってきたのか…と思ってしまった。欲しかったTシャツを買ったのでサイン会参加権があったのだけど、体調を優先してライブ後は早く会場を後にしました。Tシャツにサインしてもらったら着られないしね。
ヨラのライブの翌日はサニーデイサービスのライブへ。こちらはニューアルバムは買ってあって何回か聴いたけど…くらいの状態で行きましたが無問題。昔のアルバムからまんべんなくやってたなぁ。
Sunny

Sunny

サニーデイ・サービス BEST 1995-2000

サニーデイ・サービス BEST 1995-2000

MCもなく、曲をひたすら演奏する。ギターも一本だけ(これは昔からそうだったかな)、チューニングはするけどその間無駄なおしゃべりも無く…あぁむかしならちょっと間を埋めるように話したり、物販の宣伝したり、次のライブ予定言ったりしてたな。でも会場に来てるオーディエンスももうそういうのは必要としてない。お互いに同じだけの時間を重ねた演者と聴衆。セットもなく、ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムスの3人だけ。それで十分。聴きたい音楽を重ねた歳の分だけ経験をへて上手くなってて、声もよく出てて。でもどこかサニーデイらしい“もったり”感が変わらずあって、それがたまらない。メルパルクホールでオーディエンスも座ってゆったり楽しんで。でも、アンコールの3回目のときに「みんな前にきたらいいよ」という曽我部君のことばに反応して椅子の合間をぬって前にライブハウスのようにつめかける人たち。でもみんな大人だから大丈夫。混乱なんてない。小さいこどもを肩車した人たちもちらほら。あぁ、いいなぁ。
しかし、はじまってからずぅっと思ってた「あれ、丸山君、あんな顔だっけ?…別人、だよね」。それについてはなんの説明もなく。そうMCほとんどなかったし。終わってからともに昔からサニーデイのライブに一緒に行ってきた友人と「あれ…丸山君、じゃ、ないよね」「うん、別人だよね、なんの説明もなかったけどね」。ググったら、たしかに病気休養中だった。ライブ始まる前にちょうどそんな話(「丸山君大丈夫かな、体弱いからなぁ。」と話してた)してたけども。それだけはちょっと教えてほしかったかもな、と思いつつ、や、でもまぁいっか、と思ったり。大好きな曲の数々、とりわけ『ここで逢いましょう』『珈琲と恋愛』『魔法』『サマーソルジャー』『若者たち』『白い恋人』聴けてよかった…や、曲挙げだしたら、結局全部好きだわと再認識。
ヨラもサニーデイもとてもよくて観ながら胸いっぱいになる瞬間があって、それは自分が重ねてきた歳が彼らとともに重ねてきた、っていう思いが充足感を増させているからだろう、って感じた。芸術って時間という要素が本当に大きな部分を占めるのだな、と最近になって強く思うのです。それは映画であれなんであれね。スターウォーズの新作に大熱狂する人たちはシリーズと共に歳を経てきたことが大きいんだろうな、とか、そんなことも思いましたね。

恋人たちは日常に帰還する『恋人たち』

『恋人たち』を観終えて、パンフを購入しました。コメント集のところにあった森直人さん(映画評論家、ライター)の 「『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に匹敵する衝撃です!」 に深く同意した。というか観ながら自分もまさにこう思ってたんだ。全然違うジャンルだし表現も全く違うのになんでこう思ったんだろ。
光石研さん、安藤玉恵さん*1など、有名な俳優も出てます。けど、三つのお話のアンサンブルである今作の三人の主人公たちはほぼ無名。その匿名性ゆえに、キャラと人物が限りなくイコールにみえてくる…。OPにいきなり映るアツシのモノローグの迫ってくる感じからして、大変圧倒されてしまって、それ以降は映画への没入感が増し続ける。
でも、演技が上手かっていうと、それは違うのかもしれない。それは日常を生きる自分たちも日常を送るにあたってどこか不自然さをまとってる(他人に対するとき、社会と摩擦を避けるために、我々は演技するetc…)。それに似ているような気もする。映画やドラマのように自然に理路整然としたセリフのような言葉は流れ出てこない、訥々と言葉が出てくる、そういう感じ。これらはヘタウマとかではなく監督の的確な演出により成功しているとしかいいようがない。
あまりにディテールがすばらしくて、その細かいすべての積み重ね、丁寧な演出こそがキモで、それらが無名の俳優たちを輝かせている。苛立ちを抱えるアツシ。あまりに理不尽で不幸な事件により妻を失った彼は、その悲劇を忘れてはいけない=悲劇を忘れることは妻を忘れること、軽んじることに通じると思い、被害者であると自分を定義づけ、棘だらけの鎖で自分を縛りつけているかのようだ。彼の部屋の乱雑さ(…精神をすこやかに保つには部屋をキレイにすることだ、という趣旨の平山夢明先生の文章を思い出す)。抑えきれない憤懣が歩きながら独り言となってあふれると、それを聞いた女子高生がコソコソときもちわるい、という。部屋に戻ったアツシはまた怒りを爆発させながらモノにあたる。その独り言のあふれる感じとか、ふわぁぁ、これ、あるよな、と思うんだ。
瞳子さんの日常のディテールや細かい表情、もう、いちいちすばらしくて、なんでもないところで涙が出てくる。ただただイヤな野郎だったエリート弁護士(四ノ宮)の抱くモヤモヤとしたやりきれない、あふれる思いが終盤になって徐々に形を成して観客に伝わってくると、本当に胸を衝かれてしまった。
主人公の三人とも映画の始まった頃はどこかふわふわと地に足がついてない。それゆえ不安定で観る者も彼らはどうなってしまうのだろう、とハラハラする。完全体の「恋人たち」は今作には出てこない*2。彼らは「かつてはいた*3」もしくは「どこかにいるはず*4」もしくは「手の届かない*5」自らの半身/恋人を求め続ける。その過程の物語。それらの半身は「もういない、ととりあえず認める*6」「どこかではない、ここにあるものを見つめなおす*7」「どうにもこうにも届かないと認めるしかないのかと佇む*8」というところで映画の終わりを迎える。彼らは少し地上に近づいて、ふっと足を地上に着けて再び日常を歩みだす。その歩みはどこへむかうのか…ここで描かれる橋口監督の思いをしっかり肯定したいと思った。希望は、ある。光差すところを見つけること。アツシの「ヨシ」というあの掛け声と橋梁にはざまに見える切り取られた青空のラストカットがどうしてあんなにも心打つんだろう。日常への帰還のすばらしさ。これは『マッドマックスFR』並みに感動的なラストで。マックスは闇から這い出すことができた。それは他者とのふれあいにより光差すところをふたたび見出すことができたから。希望は、ある。『恋人たち』に描かれた三人の主人公たちもほのかな光を見出してそちらへ歩みだすだろう、と思えた、その肯定的なメッセージがとても感動的だった。最後に流れるakeboshiの『Usual Life』が素敵で、音源購入して何度も聴いてる、そして、ふと「あぁ今頃瞳子さんどうしてるかな」とか思う。そうやって何度もディテールを思い返して思いを馳せる、自分にとってはそういう大切な映画になりました。
『恋人たち』(2015日本)監督:橋口亮輔
http://koibitotachi.com/

ぐるりのこと。 [DVD]

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*1:今作の安藤さんはもう、素晴らしい!最高!笑える!

*2:あえていうなら、アツシが見かける酔っぱらった彼とそれにまとわりつく彼女、ぐらいかな、恋人たちといえるのは

*3:アツシの場合

*4:瞳子さんの場合

*5:四ノ宮の場合

*6:アツシの場合

*7:瞳子さんの場合

*8:四ノ宮の場合

思いつくままに音楽映画ベスト10

今年もワッシュさんの企画に参加します!
音楽映画をことさら観てない自分が自力で思い出せるくらい印象に残ってる映画を思いつくままに書きだしてみます。
1位『スクール・オブ・ロック
熱くて楽しくて笑えるし感動する。ロックって素晴らしいし、ロック馬鹿も極めれば周囲をハッピーにする影響を与えてしまう、というところが好き。

スクール・オブ・ロック スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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2位『ロック・オブ・エイジズ
主役…って若い男女みたいなのがいてラブロマンス的要素あったっけ…?というくらいトム・クルーズがすべてをかっさらった一作。トムのアクセル・ローズ的演技だけで満点でお腹いっぱいだし、ゼタ=ジョーンズも最高です。
ロック・オブ・エイジズ [Blu-ray]

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3位『リンダリンダリンダ
ペ・ドゥナブルーハーツを歌います。スコアはジェームス・イハです。はい、最高。日本の青春音楽映画の名作。ラモーンズのシルエットがでてくる場面も印象的。4位『オーケストラ!』
ベタな展開ですが、ラストが最高です。メラニー・ロランの美しさの極みの瞬間が観られる一作。
オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

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5位『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
デビューくらいからのベルセバファンの自分にはたまらない一作。サントラを何周も聴いた。
ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール オリジナル・サウンドトラック

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6位『コントロール』
アントン・コービン監督作。ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカリストイアン・カーティスを主人公とした作品。若くして死んでしまったがゆえに伝説となってしまった彼の苦悩に満ちた人生をモノクロでスタイリッシュに撮ってて、その映画の雰囲気のかっこよさとさみしさと暗さがバンドの世界観に合ってて、これはたまらぬ。
コントロール デラックス版 [DVD]

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7位『ファントム・オブ・パラダイス
異形の者のかなしきロックオペラの傑作。
ファントム・オブ・パラダイス [DVD]

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8位『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
かなしみや痛みが深いほど、痛切なメッセージを発する音楽を作れるのかな、と思った。力強い音楽映画。
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ [DVD]

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9位『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』
いやー、もうベタだけどラストが超熱い!グッときます。
アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~ [DVD]

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10位『EDEN』
今年日本公開されたフランス映画。若いころに観てもピンとこなかったろうな、と思うけどある程度歳をとってみると、沁みる。上り調子の頃の全能感や可能性に満ち満ちた感じから歳を経て人生ドン詰まり感を覚えるまでの長いスパンの物語。じわじわと来る映画。

次点
『ピッチ・パーフェクト』
青春音楽映画として王道をふまえつつ、『ブレックファスト・クラブ』へのリスペクトに満ちたストーリー展開もグっときます。そしてなによりたのしい。
サウンド・オブ・ミュージック
これはこどもの頃から何度もTVでやってるのを観たし、学校の音楽の授業でもまず「ドレミの歌」を習ったのを覚えてるし、音楽映画といえばどうしてもまずこれが思い浮かんでしまう。好き嫌い通り越してるレベルの作品だな〜と思う。
アマデウス
いわずもがなの名作!
『セッション』
ラストがやっぱり凄まじい。でもあんな連中が身近にいたらイヤだ。

FPM田中さんオススメの麺類TOP5を聴いて思い出したことなどメモ

TBSラジオのTOP5のpodcastでFPM田中さんの無性に食べたくなる麺類TOP5をやってたのです。以下ランキングを書き起こすと
第5位は名古屋の宮内「牛コロうどん」http://tabelog.com/aichi/A2301/A230110/23040430/
第4位は沖縄のまるやす「軟骨ソーキそば」http://okinawaclip.com/ja/detail/692
第3位は神戸のえみちゃん「そばめし」http://tabelog.com/hyogo/A2801/A280103/28024273/
第2位は宮崎の重乃井「釜揚げうどん」http://tabelog.com/miyazaki/A4501/A450101/45000034/
第1位は京都の中華のサカイ「冷麺」http://www.reimen.jp/index.html
とのこと。田中さんはうどんについては「大阪でも讃岐でもないうどん」が好きとのことで、わりかし柔らか目のが好きらしい。なるほど。自分は、というと幼いころから慣れ親しんだのはスーパーで売ってるソフトなうどんですね。それをシマヤのうどんスープ粉を熱湯に溶かしたところに投入、というパターンが定番。土曜や日曜のひとり昼飯のときに作ってよく食べた。そういうソフトうどん麺(もしくは昔のどん兵衛の平たいペラペラした麺)が自分のうどんイメージだったので、中学か高校生の頃ぐらいに冷凍の讃岐うどんをはじめて家で食べたときの衝撃たるや。びっくりしたな。讃岐風のセルフうどん屋が流行りだしてからは、もっぱらソレで(丸亀製麺など)。あとうどんで衝撃だったのは、伊勢に行ったときにたべた伊勢うどん。なんというブニブニとした食感、と驚いた。まあでも今は普通に讃岐風が一番美味いと思うかなぁ。あとはどん兵衛も結構好きです。
あと、そばめしについては、これ流行る前に自分で土日の昼飯で作ってた。十代の頃、異様に食欲が増してたから、一玉のソバで作る焼きそばでは物足りないので、残ってる冷やごはん一膳弱くらい投入してざくざくと刻むように混ぜてはソースをとぱとぱと投入して混ぜる。そら太るがな。神戸の長田が発祥、などといわれてるけど、近畿の焼きそば文化圏ではお店や家庭でそういうオリジナル猫まんま的発想でそばめし的なのが昔から作られてたのではないかな、と思う。田中さんが紹介してたえみちゃん、というお店は昔住んでた家から徒歩圏内だけど行ったことないな。駅から微妙に遠くて行くには結構ハンパな場所。ラジオでも「じゃりんこチエに出てくるような店」と紹介してたけど、たしかに高級ではないほうの意味で敷居が高い感じがあるかも(地元の人しか入りにくそう、とか)。でも近辺に行くことがあれば行ってみたいかなぁ。閉まるの早そうだけど。
冷麺といえば『美味しんぼ』の名(珍?)エピソード思い出すな。海原雄山が「冷やし中華なんざ中華料理じゃない、邪道邪道」みたいなこと言ってて。でも自分は冷やし中華、大好きです。ラジオではサカイの冷麺はお取り寄せもできて、お取り寄せの味がちゃんと店で食べるのと同じ味、ってことを言っておられた。でも京都に遊びにいったときについでに行ってお店で食べてみたいですね。

カナザワ映画祭2015に参加した記録日記(映画9本+トーク2本)

思いかえすと2011年の「フィルマゲドン」から毎年行ってて今年で5回目の参加となったカナザワ映画祭。会場が都ホテル地下セミナーホールに変わってからは都ホテルに宿を取っていたのですが今年は北陸新幹線開業の影響もあってか宿の予約状況がすごい!との情報が。映画祭のテーマ発表を待っていては宿が取れないかも、ということでテーマ発表前の段階で近くのホテルを押さえました。そして発表されたテーマは“田舎ホラー”“彼方より”あとは“爆音メル・ギブソン”“爆音カーペンター”です。楽しみしかない。そうして列車も指定席を押さえ(これも例年以上に席が埋まるのが早かった)3泊4日の映画漬けの秋の連休がスタートしました。
9月19日(土)
サンダーバードに乗車して金沢へ。しかし途中、長岡京で人身事故が発生…しかしこれもやむなし。列車が動くのを待つしかないわけで、結局1時間遅れで金沢着。一本目に予定していた『山の一家』の前売り買ってたんだけど、まぁ映画祭へのお布施、ということにして、続くプログラムの悪魔のいけにえ4K版からスタート。あえてのこだわりのモノラルでの爆音上映。ちゃんと観たのは初めてだったのですが、これが滅法面白いしちゃんと怖い。や、思いかえすとそんな直接的な残酷描写ってないんだ。でもちゃんと、ものすごく怖いし、しかもちょっと笑えるし、セットや小道具も最高だし、レザーフェイス、コック、じいさま、ヒッチハイカーの殺人一家ももちろんだけどフランクリン&サリー兄妹らも素晴らしい。爆音上映の威力がOPのラジオの音が聞こえるところから発揮されまくってて痺れました。続いて、カーペンターの要塞警察爆音上映。これまたおもしろい。アイスクリームマンのくだりとかも最高だな。何年か前にTVでやってた『アサルト13』っていうリメイク作品がつまらなくて途中で観るのやめてしまったのだけど、カーペンターのは短い尺でテンポよくどんどん進むし気持ちいい。で、このカーペンター入魂のスコアが今回の映画祭の幕間でずっと流れてて、すっかり映画祭のテーマ曲みたいになってました…いまも脳内で響き渡ってる…

この日の食事:昼は駅弁、夜は回転寿司(@すし玉)

要塞警察 アサルト・エディション HDリマスター版 [Blu-ray]

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9月20日(日)
この日は『ブラック・エース』からスタート。リー・マービンジーン・ハックマンらの主演映画。これはたしかに田舎ホラー。流麗な音楽が流れるOP、それはソーセージ加工工場で人肉ソーセージを作ってる過程なんだな。シカゴの都会代表リー・マービンvs田舎代表ジーン・ハックマンの対決の中に『キャリー』以前のシシー・スペイセクが!若くて普通にかわいい役でびっくり。それにしても途中で乳首すけすけのシースルードレスでディナー食べに行くシーンとか、いったいなんなんだ。サービスショット?や、そういや『悪魔のいけにえ』でもサリーを捉まえて家に運ぶときに、コックがわざわざ小屋の電気を消し忘れてたのを消しに行くシーンとか、ムダに思えるんだけど、なんかうまく説明できないけど、このシーン要るわ、と思わせる余剰の部分、みたいなのが映画には必要だな、って思ってみたり。続いてジョン・ヴォイトバート・レイノルズらが主演の『脱出』爆音上映。途中で出てくる衝撃的シーンもすごいのですが、ジョン・ヴォイトバート・レイノルズの関係性にしてもどこかしら“ブロークバック”感があってですね…。映画としてとてもおもしろいし、異なる秩序の共同体*1に住まう人々とは安易に分かりあえない感(バンジョー少年とのくだりとか)も空恐ろしい。続いては平山夢明先生と牧野修先生のトーク。田舎ホラーというテーマながらどんどん逸れて、平山先生のインド話など…覚えてる印象的ワードは“インド・アイ”“お薄ちゃん”ですね。続いて中国大陸の映画、『無人区』爆音上映。これは観たことある人出てるなと思ったらホアン・ボーさん。結構メジャーな人が出てます。そして中国大陸のロケーションの物凄さ、これは『マッドマックス怒りのデスロード』の撮影候補地にあがったとかなんとか…それも納得の荒地です。小道具を使って諸々の伏線を張っては律儀なまでにすべて回収していくし、バイオレンスも車のクラッシュも満載のエンタメ作品、大満足です。大陸のロケーションの抜け感、というのか、それがものすごい印象的でした。この日はぶっ続けで観たので体がガチガチになりましたね…
この日の食事:ホテル朝食、昼は駅にあるゴーゴーカレー、夜は近江町市場の近くでハントンライス
脱出 [Blu-ray]

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9月21日(月)
この日はアポカリプト爆音上映からスタート。事前情報でオチまで知ってた上で臨んだのですが、それでも圧倒されてしまった傑作でした。ディテールやちょっとした演技やエピソードの細かい演出が素晴らしい。村の襲撃のくだりやらマヤの神殿での文字通り「心臓を捧げよ!」や首コロコロなど、見せ場もすごい迫力です、凄いなメル・ギブソン。続いて宇多丸さんと高橋ヨシキさんのトーク宇多丸さんの『アポカリプト』弁護士ぶりがすごかったし、間合いを開けずオーディエンスが飽きないようになめらかに話す様にさすがプロだなぁ、と思ったな。あと客席からの質問で「映画を観ながらメモを取るんですか?」の問いに「絶対それはしない、映画に集中したいからそれはありえない」っていうのが、なんかよかった。食事等でインターバルとって、この日の最後は『パッション』爆音上映です。これまたよかったんだ、ただただ拷問されて、いたぶられてるだけの約2時間…なんだけどなんでこんなに集中して観られるんだ?メル・ギブソンは人としてはどうか、と思うようなエピソードだらけだけど、映画監督しては天才的としかいいようがないな、と思いました。
この日の食事:ホテル朝食、昼は近江町市場で海鮮丼、夜は金沢料理
アポカリプト [DVD]

アポカリプト [DVD]

パッション [DVD]

パッション [DVD]

9月22日(火)
さてこの日は朝イチの上映から参加。クライヴ・バーカー監督の『ミディアン完全版』爆音上映です。夜の種族たちが築きあげた地下世界。いまなら結構CGでやっちゃうようなところが造形の特殊メイクでやってて(回顧野郎といわれても仕方ないけど)その質感、実体感がいいなぁと思う。コマ撮りまで駆使してますからね。クライヴ・バーカーは「おもいっきりやっていいよ」と言われて嬉々として監督したのかなぁ、などと。嬉々として、といえばクローネンバーグの嬉々として演じてる殺人鬼っぷりもよかったですね。それにしてもだいぶん近視の度がきついみたいだったな。つづいてはジョン・カーペンター『マウス・オブ・マッドネス』爆音上映です。これ、すっごいおもしろかった!こういう入れ子構造とか世界観ってある意味古典だし、それこそ中二的発想ぽいところあるから映像化するにしても超絶しょうもない「くうそうのおはなし」になりかねない。それがちゃんと面白い作品になってる。しかもラストのサム・ニールのポップコーンかかえての泣き笑いみたいな顔の秀逸さったら。
この日の食事:ホテル朝食
ミディアン [DVD]

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マウス・オブ・マッドネス [Blu-ray]

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そうして無事帰阪。でも映画祭は明日まで続いてるし、本当は今日の『ブロブ』も『霧』のモノクロ版上映も明日のトークも『SF/ボディスナッチャー』も観たかった!でも「もっと観たかったな」と思って帰るくらいがいいのかも…来年もまた秋に金沢に行けるといいな、と思いつつ、日記終了。本当、今年観た映画はすべてハズレ無し、おもしろかったな。映画祭でお会いした方々ありがとうございました、そしてかなざわ映画の会の皆様ありがとうございました、来年もよろしくお願いいたしますm(._.)m

*1:なんとなく思い出したのは『ウィンターズ・ボーン』みたいな世界

今夏の長距離踏破女性映画頂上決戦 『奇跡の2000マイル』『わたしに会うまでの1600キロ』

まずはミア・ワシコウスカ主演の『奇跡の2000マイル』
実話ベースであること、ミアちゃん主演であること、オーストラリア踏破らしい、というくらいの情報で観に行きました。これが期待以上にすばらしかった。
・自然がすばらしい 

中盤くらいまではサバンナ、というのかちょっとした草木は生えてるゾーンを行くのですが、「ハイ、ここまでサバンナ、ココからは砂漠」みたいなポイントがありまして。そのさまを表すのに空撮で大地を水平移動しながら撮るだけ。それですごい伝わっちゃうのですね。セリフって思い返すに少ないんだ。でも映像が雄弁に語るのです。また広大な水平線の向こうからやってくるのは、人?ラクダ?みたいな美しい撮影に『アラビアのロレンス』を思い起こす。
・動物がすばらしい 

相棒は犬のディギティ。この子がミア演じるロビンと心通いあったパートナーであることがひしひしと伝わるんだ。かわいいし頼れる。あとこの映画をみたらその印象も大分変わるかもしれないのがラクダ。いやー、去勢してないラクダって、すごいな!野良ラクダで発情してるやつは本当に凶暴で危険。遠い地点でまるで点のような大きさだったのがヨダレをまき散らしながらトットッと近づいてくる映像を観せられると、本当に生命の危険を感じるレベルでヤバいぞ、と思った。
・ヒロインがいい

ミアちゃん演じるロビンはなんのためにそんな旅をするのか、明確な目標や夢や自己実現、みたいなことを語らない。それがいいんだ。きっと彼女自身にも「○○のために、砂漠を横断しよう」ってのは語ることはできなかったんじゃないかな。言葉にした瞬間、物語が生まれてしまう。彼女はそういう物語化を避けようとしている。ただ、砂漠の生き物であるラクダ、ディギティとともに砂漠を横断したい!という思いがあるだけなんじゃないかと。もちろん、そんな過酷な旅をしようとするからには、彼女の人生におけるいろんな出来事や人間関係における煩わしさから離れたい、などということの集積から契機の芽がいろいろ芽吹いたってことなんだろうけど、それらのいくつもの芽吹きをひとつの物語(ストーリーライン)にするのはいかにも陳腐だ。この映画ではセリフで人生を語ることや意味付けすることが少ない。それがいかにも実話の、またロビンという女性のパーソナリティについてリアリティを感じさせてよかったな。あと、ミアちゃんの演技もすばらしくて、砂まみれで汚れて、下着だけの姿(そのパンツがまた砂まみれで汚い)で、でも個性的なファッションが素敵で、とても魅力的だった*1
エンドロール、予想通り実際のロビンさんの写真がでてくるのだけど、それをみるとやはり感動する。そしてミアちゃんの演技は実際の彼女に負けてないな!という思いもさらに強くなった。人生は簡単じゃない。旅も自然も過酷だ。道中出会う人もいい人ばかりじゃない*2けど、すばらしい人にも会える(アボリジニのエディ最高)、耐え難いほどの悲しみにも遭遇するが、信じられないほど美しい光景にも出会う。観ている自分も、そんなかなしみやうつくしさを体験できるような映画でした。

Inside Tracks: Robyn Davidson's Solo Journey Across the Outback

Inside Tracks: Robyn Davidson's Solo Journey Across the Outback

続いてこちらも実話ベースの『わたしに会うまでの1600キロ』
原作では1995年に行ったトレイルなんだけど『奇跡の2000マイル』の1977年設定とあまり変わらないような印象をうけた。それは使われてる音楽のテイストが70年代っぽいからかな。そう、ホリーズの音楽が流れたり、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽を使ったり、あえて舞台の年代をすこし前にしてるような印象。しかしこの音楽の使われ方やチョイスがかっこよくてセンスいいんだ。主人公シェリルが、自分の“間違ってしまった人生”をトレイルの道中思い起こしつつ、生まれ変わろうとする、という回想形式の映画の見せ方としてうまいし、リース・ウィザースプーンも魂を込めた演技でよかった。
けど、この映画は“主人公が過酷なひとり旅をする理由”がすごくはっきりしている。主題がはっきりしているから、映画は最初から最後までつらぬく一本の軸があって安定しているし、回想がちょこちょこ入っても混乱せずとても整理されているので明快に理解できるし、ラストにいたって成長、変化した主人公の気持ちよさを共有し、カタルシスを得られる。でも、トレイルの途中途中でアメリカの超有名詩人の詩のフレーズを書いて「Frost & Cheryl」などと署名しているところに、なんだか自意識、というか自己演出、というかそういうものもちょっと感じてしまう。結局、著名な詩などから雰囲気のある言葉をチョイスしているようなところが、ドラマティックに映画化されているなぁ、と*3。そこでちょっと入り込めなかったかなぁ、ミアちゃんの映画を観たところだったからその対比が働いたんだろうな。でもとてもいい映画だし、ローラ・ダーン演じるお母さんが、もう、最高すぎて。演出もうまいし、アルパカ*4が現れるシーンもどこか幻想的ですごくよかった。そして、トレッキングシューズはREIのを買おう、と思いましたよ*5

わたしに会うまでの1600キロ

わたしに会うまでの1600キロ

*1:実際のロビンさんの写真をみると、かなり忠実に再現しているみたいですね

*2:というか観光客マジ最悪:自分も気をつけなぁ、と思った

*3:原作があるから原作どおりといわれればそれまでなんだけど

*4:だと思うけど違う動物かな?

*5:トレッキングシューズ買う機会がこののち訪れれば、の話ですが