映画

甘くて苦い初恋ノスタルジー『建築学概論』

いかにも韓流ぽいポスターに、「うーんどうだろ」という一抹の不安もあったけれど、これはよかった。どこか『サニー』ぽくもあって。やはりノスタルジーは甘い糖分みたいに人間が本能的に好んでしまう要素なんだな。とりわけモノやアイテムという具体的な「…

血は争えない『イノセント・ガーデン』

完全ネタばれてます。けど、これってネタばれ云々という映画でもないような気がする。 冒頭がラストと呼応するというつくり。冒頭、叔父から贈られたピンヒールの靴を履き、父のベルトを締め、母のブラウスを身にまとい、髪をなびかせて悠然と立つミアちゃん…

初恋の記憶『グッバイ・ファーストラブ』(フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ)

フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ特集上映の一本『グッバイ・ファーストラブ』を観ましたよ。 観終えて、このタイトルどうなんだろ、と思いましたが原題は『un amour de jeunesse』でgoogle先生に英語に訳してもらうと“young love”と出てきた。なるほ…

救いがたいほど成長しない男エイブに救済はあるのか『ダークホース』

見逃していたのですが地元で落穂ひろいできたトッド・ソロンズ監督の『ダークホース』を観てきました。これが素晴らしく作りこまれたダーク・コメディ(ってそんなジャンルあるのか)でした。や、すごかった。 ユダヤ人設定には何か意味があるのかな、このあ…

2013年4月に観た映画をふりかえる

さて4月。仕事的には状況がかわって精神的負担は結構軽減されました。正直ほっとした。ただ、ムリしてきた負担はどこかにシコリのように残ってるから徐々に回復していくよう持っていきたいなと思ってます。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 ホーリー・モ…

2013年3月に観た映画をふりかえる

3月は更にあたまが仕事に占拠されてきゅうきゅうでした。でも太陽は昇って沈んで一日一日着実に日は経つのだから、と思ってなんとかやってた。それでもこんなにも「早く日々が過ぎればいいのに」と思って生きるのはしんどいな、とつくづく思ったな。だって…

2013年2月に観た映画をふりかえる

ふりかえる2月。このころもあたまの中が仕事のことで占拠されてくるしかった。週末に映画館に足を運んでなんとか思考を仕事以外のことに逃避させていた。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 アルバート氏の人生 元町映画館 これはよかったよ。フラグたちま…

2013年1月に観た映画をふりかえる

今年3月までは平日は(ときには休日出勤もしてたけど)仕事のことだけでいっぱいいっぱいでした。春になってすこし気持ちに余裕をもてるようになってきたので、ぽつぽつムリせず書いていきます。今年になってから一回も書けてなかった備忘録をまとめてみます…

イマココに生きる若者のお話であり、普遍的な物語でもある『ウィ・アンド・アイ』

ミシェル・ゴンドリー監督の最新作!ということしか知らずに行きました。二つ折りパンフ状のチラシはもらってたけど見てなくて…それが奏功した。これから観る人はぜひとも予備知識無しで観てほしい。 NYブロンクスの高校。さぁ、夏休みという学年の最終日、…

理想を現実にするために『リンカーン』

まずはスピルバーグが映画のバックグラウンドを1分ほど語るところから始まるのに驚いたな。劇中はそこまでアメリカ史の知識のない自分には細かいニュアンスまでキャッチできないもどかしさを感じる箇所はあったし、日本人には馴染みはないけれどアメリカ人…

まばゆい世界『君と歩く世界』

宣伝チラシから予想していたた内容 シャチのトレーナーとして半人前からようやっと一人前になったところであるマリオン・コティヤール。これから仕事もどんどん楽しくなってやりがいに満ちていく…そんな矢先、とある一頭のシャチが野生に目覚めた瞬間、不運…

鮮烈なイメージの塊り『ザ・マスター』

ダメな方じゃないアンダーソンこと、ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作です。催眠的手法で、その人物の過去/ルーツに眠るトラウマを探り、現在の自分は“本当の自分”ではない、本当の自分をたどれば理想的な幸せを手に入れられる…それに気づかせて…

『偽りなき者』

主人公が窮地に陥れられる、というのは映画としては定番です。そんな“落ちる”要素があるから、“上がる”ラストはとてもカタルシスがあるわけし、そのままバッドエンドも一興かもしれませんし、苦い現実味のある後味もいいでしょう。 …それでも自分がとても苦…

飲んだくれカリスマ機長の“かみさま”『フライト』

デンゼル映画。『デンジャラス・ラン』につづき、デンゼルの劇中に映ってる時間:スクリーンのデンゼル占有率の高い映画なのですが、今回のデンゼルは飲んで飲んで酔って酔ってドラッグをキメてキメまくるカリスマ機長。腕は確かだが、プライベートは破たん…

共に生きてきた時間/愛『愛、アムール』

カンヌのパルムドール、また、アカデミー賞の外国語映画賞まで取ったという『愛、アムール』を観ましたよ。 ストーリーは極めてシンプル。とあるアパルトマン、鍵かけられた部屋をこじあける消防隊か警察か…部屋に入ると、臭いに鼻を押さえる―その匂いの元た…

第8回大阪アジアン映画祭:drug war!!『毒戦』

ジョニー・トー監督も今回の上映のためだけに来日した、ということで華々しく開幕した大阪アジアン映画祭オープニングの日本プレミア上映『毒戦』を見ましたよ。 スン・ホンレイ演じる捜査官!ポーカーフェイスで非情なまでにおのれの任務を全うすることにか…

『マーサ、あるいはマーシー・メイ』原題:Martha Marcy May Marlene

マーサは現実社会から逃避した、そして逃避した先からまた逃避した。逃避先で彼女に起こったことはなんだったのか。そして彼女は「原状復帰」できるのだろうか、かつての彼女となにかが決定的に異なる烙印を受けたように見えるのだけど、果たして… 説明セリ…

『世界にひとつのプレイブック』

たとえば、結構な枚数の書類をコピーしようとコピー機に行き、原稿送りのところに原稿をセットする。上から順番に紙が送られていき順調にコピーされていく。が、突然の異音とともに原稿はグシャグシャになり、エラーメッセージ。あぁ、ステープラーで留めた…

高潔さ 『ジャンゴ 繋がれざる者』

全編ジェイミー・フォックスがかっこよく、前半はクリストフ・ヴァルツが、中盤はレオが、後半はサミュエル・L・ジャクソンが持っていった映画。 タランティーノの映画のOPだな、と感じさせる曲、キメ画の連続、タイトルロゴなどに既におなかいっぱい。今…

ちょっとズレてる、おかしな、普通の人『横道世之介』

ネタバレて書きます。横道世之介。よこみちよのすけ。苗字4文字+名前4文字。「よ」の音が何気に韻を踏んでいて、「介」って響きがすこし古臭い、ちょっと印象的な名前。本人は(作品の舞台になった87年当時にはなかった言い回しだろうけど)“あんまり空…

『バチェロレッテ―あの子が結婚するなんて!―』(動揺するキルステン)

キルステン演じるレーガンは完璧なはずだった…のに。ブタちゃんみたいなベッキーがイケメンと結婚とは…!ブライズメイドとして高校のときのBeeグループが集まる。高校の人気者目立つグループだったほかのメンバーは…ケイティはくたびれた洋服売り場の売り子…

彼女の、仕事と人生/人生と仕事『ゼロ・ダーク・サーティ』

この1年は仕事と人生について、ぼんやり考えることが増えたりしたのです。生活に占める仕事の割合がかなりのパーセンテージになってしまい、職場を離れてもなお、仕事のことが延々と脳の一定割合を占めてとどまり続け気掛かりで頭を悩ませたり。お金がない…

金は天下のまわりもの『奪命金』

金は天下のまわりもの、なんだけど、均等に回らないのが困りもの、です。その金のきまぐれな巡り方に翻弄される人らを描く(群像劇までいかないけど)ジョニー・トー監督作は、期待を上回る見応えとおもしろさでした。 投資商品のセールスがまったくノルマ達…

チェックのシャツ+カーディガン男の夢想『ルビー・スパークス』

若くして書いたデビュー作が絶賛をもって世間に迎え入れられるも、それ以後作品が書けなくなっている神経症的非コミュ人間であるのが、ポール・ダノ演じるカルヴィン。人とうまく関われず、世話の焼ける犬(スコッティ)だけがともだち。カルヴィンとは正反…

人類皆きょうだい『人生、ブラボー!』

人の善良さを信じたくなる、あたたかい映画。悪い人は出てこない…うん、だからファンタジーですね、でも、ファンタジーに仮託することで、人間のよいところが具体性を伴って描写もできる。 主人公ダヴィッドはダメダメな奴だ。42歳、独身、だらしない、仕…

『アルバート氏の人生』

マジメで気配りができ、つまりウェイターの仕事が天職ともいえるほどぴたりとこなせるアルバート・ノッブス。しかし小柄な彼はどこか風変り。人との関わりが浅い。どこか心の奥を見せない。ハンサムとは言い難くルックスもどこか奇妙。彼の抱える秘密とは… …

未体験ゾーンの映画たち2013『バーニーズ・バージョン ローマと共に』

昨年もあった“ほぼDVDスルー扱いなんだけど、一応「劇場公開作」って冠をつけるためにやってるのか”型特集上映。昨年は、同枠でかかったとある作品を「今をときめくゴズリングとキルステンの共演するサスペンス!でも邦題がヤバそうかも…」と思いつつ期待…

未体験ゾーンの映画たち2013:今年推したい作品暫定ベスト『ザ・ウォーター・ウォー』

これは面白かったし、かなりズシンときた。映画製作の裏側と撮られる側の関係性、ボリビアの水戦争/西欧の大企業が如何にボリビアのような“第三世界”をグローバリズムにおいて食い物にしようとするか、そして映画内映画で語られるコロンブスによる大陸の“発…

彼の口から語られる物語『ライフ・オブ・パイ』

ネタバレて書きます。 物語の効用。癒すこと。厳しい辛い直視するのがしんどい真実は奥ふかくに隠して、やわらかくふわふわと面白いもののように砂糖や装飾でくるみこんでしまう、寓話のように。そんな甘い甘い物語に人は夢中になる。この話はどうなるの、先…

大人になるには『テッド』

ジョン少年には小さい頃、友達がいなかった。それで切に願う「このクマのぬいぐるみが喋って、ぼくの一番の友達になればいいのに」。その願いの純粋さと流れ星の落ちるタイミングがピタリとあったとき、ファンタジーが具現化する。中に綿の詰まっているテデ…

ホン・サンス恋愛についての4つの考察

観ました。ホン・サンスは好き嫌いがぱっきり分かれると思いました。ある意味雰囲気映画っぽいしな。さて自分の嗜好的にはどうだろう。上映された4作は↓(観た順) 『よく知りもしないくせに』『ハハハ』『教授とわたし、そして映画』『次の朝は他人』 http:…

路地に生まれて死んでいくもの『千年の愉楽』

舞台挨拶つき先行上映に行ってきました! 原作はむかしに読んで、中上健次の中では一番好きだったという印象を抱いたことを覚えている作品…細かいところは覚えてないけど(スミマセン)。でも、観ていくうちに原作のことも段々思い出してきて、小説とは異なるけれ…

All You Need Is Love『LOOPER/ルーパー』

前評判が高かったし町山さんの昨年ベストでもあった今作。さてどんなのものかな、と初日に行きましたよ。ネタバレあり感想。 設定は近未来。ID管理や追跡が厳重になったため、死体処理の困難な未来から非合法にタイムループをつかって送り込まれる人物をルー…

大友克洋監修『MEMORIES』(1995)

塚口サンサンシアターは昨年から旧作上映を積極的にされてるのですが、ラインナップがユニークです。デジタル未導入なりにフィルム上映館であることを強みにしようとして挑戦中なのでしょう。昨年も『AKIRA』『ヘドウィグ〜』『パプリカ』など観に行ったので…

2012年12月に観た映画をふりかえる

2012年12月に観た映画一覧。まとめておくよ。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 高地戦 元町映画館 2秒の意味するものは 1,000 思秋期 シネリーブル神戸 人の業とは 1,000 007/スカイフォール TOHOシネマズ西宮 空がおちても パスポート ウーマン・イン・ブラック…

冬の香港映画祭り『大魔術師Xのダブル・トリック』『狼たちのノクターン』

これを観なければ冬は越せない!ということで行ってきましたよ。3本中2本の鑑賞です(今回は『最愛』はスルーいたしました、気にはなりましたが…)。客層はいかにも香港映画ファン、といういい感じです。 http://www.cinemart.co.jp/theater/special/hongkon…

2012年に観た映画をふりかえる:その3(旧作再上映ほか)

※旧作ふりかえりイメージキャラクターのパプリカちゃんです。昨年、新作以外に観たものふりかえってみます。【旧作再上映】順不同 1、こわれゆく女:カサヴェテス特集上映。すばらしい!ピーター・フォークもジーナ・ローランズも最高。 2、ラブ・ストリー…

2012年に観た新作映画を全部ふりかえる:その2(極私的全ランキング)

すべてベスト10扱いとしたいベスト30は先日の日記にまとめました。 ↓ http://d.hatena.ne.jp/yosinote/20121227 先日の日記を書くためにベスト30の各作品の画像を集めたのですが、楽しい作業だったな。各作品についていくつか出てくる画像のなかでもお…

2012年に観た映画をふりかえる:その1(1〜30位)

暮れゆきます2012年。去年に引き続き全作品をふりかえってみますが、あまりに長い記事になりそうなので、とりあえずベスト30まで。ベスト上位30はほぼベスト10扱いです。どれもこれもおもしろかったし、鮮烈だったり、痛かったりしたなぁ、と。それでは参…

前日譚のはじまり『ホビット 思いがけない冒険』

HFR3Dで観ました。映像は、ゲームがでっかい画面で繰り広げられてるみたいに見えましたね。徐々に慣れましたが、ぬるりとろりとした質感に見慣れてないからか、自分は普通の方がよいかも…画面をスプリットにして見比べてみたいかな。もともと自分の眼のク…

見せ場のつるべ打ちミュージカル映画『レ・ミゼラブル』

TOHOシネマズのムービートピックスで散々その“撮影の裏側”を観せられてきた「レ・ミゼラブル」。やっと公開されたので観に行ってきました。 冒頭の囚人ジャン・バルジャンが重労働に従事させられた後、ジャベールと会話を交わすシーンで「お?」と思う。こん…

『マリー・アントワネットに別れを告げて』

ダイアン・クルーガーがアントワネットで、その朗読係シドニーを演じるのがレア・セドゥです。最近気になるレアちゃんの出演ということで楽しみにしてました。 使用人であるシドニーの目線で語られていくので、ヴェルサイユの裏方が垣間見えるのがいいのです…

『桃さんのしあわせ』

遅れて地元で公開されたので観に行ってきました。 アンディ・ラウ演じる映画プロデューサー、ロジャー。多忙を極める彼が家に帰ると、彼の好物をジャストなタイミングで給仕していくお手伝いさんがいる。彼女の名は桃さん。市場で丹念すぎるほどに品定めるす…

空中キャンプさんの2012年に観た映画をふりかえるに参加します

どうもです。先日、11月に観た映画をふりかえったのは、空中キャンプさんの企画に備えてでもあったのでした。今年は映画祭や企画上映で観たものでこれは!というものに出会ったのが自分の中で上のほうに来るものがあったのですが、空中キャンプ賞の意義をふ…

2012年11月に観た映画をふりかえる

一か月経ったよ。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 声をかくす人 テアトル梅田 マカボイ 1,300 黄金を抱いて翔べ 神戸国際松竹 "レイコー"はやっぱり言わんよ 1,000 悪の教典 109シネマズHAT神戸 ハスミン。to die? 1,000 ミステリーズ 運命のリスボン テ…

2012ベストカーディガン/メガネ理系男子Q現る『007 スカイフォール』

007映画はそんなに観てない。ボンドといえばピアース・ブロスナンのイメージがあって、なんだかチャラくて、現実にありえん夢想的ガジェットだらけで、女にモテたり裏切られたりでもやっぱり007のほうが一枚上手とか、自分の中では、一見さんには敷居が高い…

この恨み晴らさでおくべきか『ウーマン・イン・ブラック』

ゴシックホラーとして有名なので、タイトルだけは知ってました。舞台化もされてましたよね。その映画化の今作は、予想以上に端正な、というかクラシックなお化け屋敷ムービーでしたね。そしてまた*1イギリスの暗鬱な低い空の下…というロケーションなのです。…

英国の灰色の空の下/灰色の心『思秋期』(原題:TYRANNOSAUR)

痛い、痛い映画。 冒頭、ノミ屋でボラれた主人公ジョゼフは、店を出ても怒りを抑えきれず、リードをひいて愛犬を連れ帰ろうとするが、そのリードを引っ張られる勢いにキャンと鳴いた愛犬の腹をボコボコに蹴り倒す。ハッとして犬の様子をみ、抱えて帰るも愛犬…

大阪ヨーロッパ映画祭で観た2本・映画愛のかたまり『ファイナル・カット』、最高のレア・セドゥ映画『シスター』

大阪ヨーロッパ映画祭。いつもみたいなと思いつつ、いつのまにやら終わってしまっていた…今年は初参加がかないました。 ・『ファイナル・カット』(2012/ハンガリー)監督:ジョルジュ・パールフィ これは、映画のサンプリング映画。ストーリーはシンプル。…

戦争という地獄『高地戦』

地元でかかりましたので観に行ってきました。 世界史の教科書とかでの「休戦協定が結ばれました」程度の記述しか覚えていない、朝鮮戦争の終結。しかしそこに至るまでの戦争のありようを描いた今作によって、知らなかった歴史の一端を知ることができ、こうい…