読書

汝らのうち、罪なき者よりまずその女に石を投げよ(「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」を読んだよ)

だれが「カーミィ」のことを笑えるだろう、バカにできるだろう。 「カーミィ」というのはこの単行本のタイトル短編の主人公の女の子の職業である。藤島美津華は、ピチカートの「Sweet Soul Reveue」をアコースティックセットで歌う(@カフェライブ)。最近…

津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!!』の“ミュージック”には色々代入可能です

津村記久子さんの『ミュージック・ブレス・ユー!!』を図書館で借りて読みました。すこし前に本などをまとめて処分して以来、よほど手元に置いておきたいもの以外はなるたけ買わないようにしていたのですが、最近文庫になった『ミュージック・ブレス・ユー!…

ピースボートに乗るワカモノたち『希望難民ご一行様』

若者とコミュニティを研究テーマにしている東大院生の修論が基になった新書で若者論です。たまたまこの本と一緒に『ポトスライムの舟』という小説を買ってそちらを先に読んでいると、固有名詞は出てこないけれど、明らかにピースボートのポスターらしきもの…

伊藤計劃『ハーモニー』

P・K・ディック賞の特別賞を受賞したこの小説は、おもしろいに決まってる。『虐殺器官』もおもしろかったしな、とハードルが相当上がった状態で読み始めました。 『虐殺器官』のラストでトリガーが引かれ起こった、虐殺、混乱、核戦争、核物質散乱後の病に満…

『キラー・インサイド・ミー』『おれの中の殺し屋』

すこし前に観たけれど、映画を観ただけではなんだかよくわからないので、ジム・トンプスンの原作を買って読んでみたのが、『キラー・インサイド・ミー』(本は『おれの中の殺し屋』扶桑社文庫)です。 なにがよくわからないのかというと、映画では主人公のル…

伊藤計劃『虐殺器官』

買ってから3ヶ月くらい眠らせていた『虐殺器官』を読み始めて二日目に伊藤計劃氏の『ハーモニー』がアメリカのSF賞「フィリップ・K・ディック賞」で次点に当たる特別賞を受賞した、との報を目にしました。これも虫のしらせか、風が自分のほうに吹いているの…

大野更紗さん『困ってるひと』と武田百合子『富士日記』

今日は神戸も自分の記憶史上最高の積雪でした。瀬戸内に面した穏やかな天候のこの土地では雪は降っても昼間には降り止んですぐに溶けてしまうのに、今日はいつもと様子が違う。仕事が終わって帰る頃もまだ降り続き、足元は相当悪かった。さくさくした雪の箇…

正月でのいっき読み『海月姫』

お正月はあれこれ読んでいない本も読もうと思っていたのに、結局片付けたり、ぼんやりしたり、TVつけたりしている間に過ぎてしました。ただ、そんな怠惰な年始に唯一まとめ読みした本(マンガだけど)が『海月姫』です。 昔はマンガが好きで、おもしろいマ…

国語教科書でのUMAとのファーストコンタクト『やまなし』ほか

小学生の読書の定番リストに今も宮沢賢治は入っているんでしょうかね?自分が小学生の頃に学校を通じて販売があっせんされていた明治図書の小学生向けの文庫で購入を申し込んだのは“宮沢賢治”“エドガー・アラン・ポオ”“芥川龍之介”でした。ポオの『黒猫』『…

いつも心にナンシーを

今日は、歌舞伎の人が飲酒の上ボコボコにされて、それを機に「それみたことかー、あいつ、いつかこんなことになると思ってたゼ!」とメディア関係の人に思われたのかして、すごい扱われ方で、彼の真偽不明な調子のり発言やら、素行悪かった説やら、タクシー…

『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』

神戸の109シネマズで2週目にして朝イチとレイトの上映だけになっている映画『リトル・ランボーズ』、夜は家でぼんやりしたいので、朝イチで行こうと思っていたのですが間に合わなかったので、予定は取りやめました。 じゃ、久しぶりに街の散歩に出かけよ…

『桜桃』にまつわるあれこれ

むかし、相原コージの『コージ苑』という漫画が家に転がっていたので、読んだことがあります。4コママンガであったことや相原さんの自虐ネタみたいなものもあったような…といううろ覚え具合。ただ、ひとつだけよく覚えているのが、「だざいはん」というキャ…