山登り

このブログを書き始めて一週間をすぎました。文章を考えて書く、っていうのを習慣づけるためにもとくに最初は頑張ろうと思って毎日書いていますが、頭のなかを辿っていろいろ引っ張り出していく作業は、新たな発見もあっておもしろいです。なにより、「案外覚えてるもんだなー」ということに我ながら驚く。いや、記憶は変換され、別の記憶といれかわったり書き換えられたりしていると思うんですが、案外、つまらない平板なことや、大勢に影響ないような細部だったりを覚えているもんですね。あと、考え続けてるとどっかにしまい忘れたハコがあってそのふたを開けたみたいに。次々色々思い出す瞬間があったりします。

今日は登山に行ってみました。そこで今日のテーマは、本日の登山とそれにちなんだ昔の記憶の記述の試み、および、現代の山ガール・山ボーイ考です。
さて、家を出て新神戸へ行く。生田川の脇を通って新幹線の高架を抜け布引の滝を経由して市ヶ原へ。布引の滝と市ヶ原の間に貯水池があって、ここが驚くほどきれいに整備されていて思わず声が出た。何年もかけて整備されたらしいけど、全く知らなかった…どんだけ前回の登山からブランク空いてるんだ。
貯水池に沿ってぐるりとまわる道の最後のほうに鳥居があって、その鳥居の上に石を乗っける試みをこどもの時いっつもやっていたけど、今日みかけた鳥居は小さくて、これがこどもの頃何度やっても石が乗っけられなかったあの鳥居と一緒とは思えなかった。自分が大きくなっただけなのか、鳥居が変わったのかどっちなんだろう。
市ヶ原に到着すると売店みたいなところに、登山サークルの募集みたいな紙がいくつも貼ってあった。「山ガール募集!60歳以下」。いったいどんなサークルなんだ…。
市ヶ原は記憶よりかなり狭かった。これも自分が大きくなったから小さく感じるのかなー。冬だからかもしれないが、水量が少ない。こどもの頃、この川にはいって遊んでて、ぬるっとするゼリー状かつ帯状の塊の中に小さい丸い点々が密集したカエルの卵が大量にあるのを見て以来、川に入るのがこわくなったという思い出が瞬時に脳内に浮かんだ。あのときは水量があってうねるように流れていたけどなー。
市ヶ原の売店では人がたくさんいて、その中にネットの情報をプリントアウトした紙を見せながら行き先を売店の人に聞いている「山ガール」と「山ボーイ」の人たちもいた。リアル「山ガール」達を目の当たりにしたのは初めて。山歩きぽいパーカーみたいなの、おしゃれレギンス、短パンあるいは6分丈か7分丈くらいのパンツ、レギンスにあわせての絶妙な長さの靴下、ハイカットの山歩き的トレッキングシューズ、リュックサック、帽子、iPhone、完璧すぎじゃん。なんかね、彼女彼らの姿が、「山にいる自分達」を客観化して「うん、いい感じ、自分達」って思ってる感じがどうにもしてしまってねー。あ、こういうのが、「山をファッションとして取り入れてる」というのか。や、ひねくれ者ですね、自分、はい、わかってます。
今日は六甲全山縦走の日で、続々とやってくる縦走参加者たちとたくさんすれ違いました。縦走参加者は神戸市須磨区から宝塚市まで続く六甲山系を歩き続けるので、日の昇る前から夜までかかるし、かなりのアップダウンで、生半可では途中リタイアせざるを得ない。縦走参加者にもレギンス(というかパツパツのスパッツみたいなの)と半パンのあわせ技とかトレッキングシューズとかたくさん見かけたけど、「山ボーイ・ガール」達とはちょっとたたずまいが違うんですよね。縦走の人たちは山に登ることが主眼のように感じられて、山登りする「自分」が主眼じゃないというか。
や、でも「山ボーイ・ガール」達の服は素敵だし、いい物だから軽くて機能的にも優れていると思うし、それを身に着けて山に登る姿がかっこよく板についてほしいなー、何年後かに、と思いました。「山に登ってる主役な自分たちの客観化」じゃなくてね。や、単純に自分がひねくれてるだけかもね。あくまで私見です、はい。でもカジュアル好きなんで、山ファッションは好きなジャンルですよ、ほんとに。縦走参加者たちに多く見られた基本のチェックのネルシャツ+ベストも見習いたいファッションです。ベストがうまく着こなせるっておしゃれです。
さて、そんな縦走参加者のルートを逆に行きつつ、修法ヶ原(再度山)を目指す。修法ヶ原は大きな池があって、周囲が結構整備されている。こどもの頃に何回も来た修法ガ原って、こんなとこだっけ?って記憶を辿ってもあんまり思い出せない。売店にはカップヌードルが売ってあって値段を確認。270円。山価格としては妥当なのかどうなんだかよくわからない。
あとは下りるだけ、これが長い。足もだるいよ。でも、盛りを迎えた紅葉の中を歩き、山を下りきって、諏訪山公園にたどり着く。こどもの頃よく遊びにつれてこられた公園。近所の公園より長い滑り台があるので、それを楽しみに来ていたけど、今見るとそんなに長くない。昔、諏訪山は公園になる前に動物園があって(さすがに諏訪山の動物園は昔話として聞かされたクチです)、そこにいた象は諏訪子と名づけられ大人気だったとさ。諏訪山動物園を閉めて、現在の王子動物園に移されても長命だった諏訪子は数年前に亡くなってしまいました。諏訪子死去のニュースはサンテレビやNHK神戸では紹介されたと思う。《今、王子動物園のサイトで調べたところ、昭和18年に生まれた諏訪子は、昭和25年諏訪山にやってきて、平成20年に65歳という国内最長寿で亡くなったのです。》

こうして山に登っていると、こどもの頃あんなにつらかったのが、そうまでしんどくないなー大人になったからかなー、とか、「ほら『ちびまる子ちゃん』でやってたみたいに、後ろ向きで歩くと坂道でもしんどくないで」と六甲山で友達に言われたこととか思い出すし、紅葉はここ数年にないほど見事できれいだし、よかったんですが、明日は間違いなく筋肉痛だろうと思うと少し切なくなるのでした。

こんなところで。


諏訪子のおわかれ会
http://ojizoo.jp/html/oj-07-179.htm