『RED』はウィリスでハーレクインでヘレン・ミレンでマルコヴィッチ

今日は映画を3本はしごしてきました。それぞれにおもしろかったのですが内容はかなり三者三様って感じでした。とりあえず今日は、本日公開初日だった『RED』について書いてみます。3本はしごの2本目に神戸国際松竹で観たのですが、上映30分前に着いたら、もう残席が△で、前から4列目となりました。CMを結構やってるし、ブルース・ウィリスとかモーガン・フリーマンという主演俳優陣のメジャー感とかもあってか、結構年齢層は高めでした。
冒頭ではブルース・ウィリスさんの境遇:リタイアして孤独でうらさびしい感じが強調されてて、そんな彼が年金担当係のおねえさんを指名で電話するあたりで、あぁ、声に恋したパターンか、と。年に何回かニュースにもなる「話がしたくて迷惑電話を1年に1万回していた男が逮捕されました」みたいなののソフトヴァージョンだな、と思ってたら相手の女性もハーレクインロマンス的なものの愛読者でちょっと危険なロマンス&自分がヒロインになる願望があるっぽい、と分かる場面を織り込んで・・・と、このあたりが前フリ。あとは年金受給者によるノンストップアクションが始まるのです。ウィリスさんの見せ場は、割と冒頭のあたりに集中していて真夜中に襲撃くらっても華麗に反撃、とかCMにも使われてた車から降りてのガンアクション、とか、けれんみたっぷりで、かっこよいのですよ。ウィリスさんは特に車から降りてのくだりが最高でした、スローも駆使してカメラ何台も使って完璧なカットでかっこよく撮る(一瞬のシーンだけど)。あとウィリスさんは天性のまきこまれキャラですから、もう、どんなことがあっても“ウィリスなら、こんなの普通にありうるね!”と妙な映画内リアリティがある。映画自体は“ありえねー”の連続ですが、それこそがウィリスさんのいきいきと生きる舞台なのですな。
次は桃太郎方式で、助っ人とめぐり合ってピックアップしていく流れになって、モーガン・フリーマンジョン・マルコヴィッチヘレン・ミレンらを巡っていくわけですが、ここからはジョン・マルコヴィッチがおいしいとこ全部もってく、というか最高すぎる、マルコヴィッチ。ミリタリーオタク+電波系+被害妄想の塊みたいな(実際は元CIAの工作員だけど)このキャラが、笑いのポイントも、敵への襲撃/反撃場面での要所も押さえるわけだから、なんだか後半マルコヴィッチの映画みたいなのな。ウィリスさんは狂言回しみたいなストーリーラインの主旋律だけども、脇で自由に暴れる方が目立つのです:マルコヴィッチのあのギョロっと見開いた目がアップになるわ、銃ぶっぱなすわ、やりたい放題、いい感じ。特に、普通に後ろを歩いてた女性に「つけてただろ!」とわめいて銃をつきつちゃって、ウィリスに「この女性は関係ないって!」と怒られてしょぼんとする場面。かわいいな、マルコヴィッチ。
同じくヘレン・ミレンもかっこいい!監督は、頭のほうであったウィリスさん大活躍のシークエンスとヘレン・ミレンが白いイブニングドレス姿で銃をガンガン撃ちまくる画だけが撮りたかったんじゃね?という。それくらいヘレン・ミレンが素敵すぎた。(ちょっとした彼女のロマンスの箇所もありがちといえばそうけど、よかった。)あとヘレン・ミレンの助手みたくマルコヴィッチが大きなカバンに銃をつめこんで後ろをくっついて歩いて、「はい次」とばかりに銃を渡すところもいい感じなのですよ、二人の並んでいる感じが。
ウィリスのアクションシークエンスとぉ、ヘレン・ミレンのマシンガンぶっ放しとぉ、マルコヴィッチのおもしろキャラとぉ、あ、モーガン・フリーマンでちょっと重厚感を出してぇ、若い女とウィリスの年の差カップルでぇ、と要素を詰め込んだ結果だから辻褄とか季節感とか地理的な問題とか、そんなの細かいことは四の五の言わない!タイプの映画です*1。そもそもが、ハーレクインに憧れてる女性の願望どおりになる映画なんだからな、そう、この映画のフレームは“ハーレクイン”なのです。そのフレーム内でアメリカとイギリスとロシアの工作員(ただしretired)大活躍!という、大変楽しい映画でした。

『RED』(2010/アメリカ)ロベルト・シュヴェンケ:監督 ブルース・ウィリス主演
http://www.movies.co.jp/red/index.html
http://www.allcinema.net/prog/search_all.php
※ステキ場面 ヘレン・ミレン&マルコヴィッチ
※ちなみにREDとは映画内ではRetired Extremely Dangerousの略です

*1:場面転換のコミックっぽさはちょっとうるさい感じ・・・だったけど