王様の善悪を指摘できるのかを巡る日記
最近は、映画を週末に複数観ているため、その感想をぽつぽつと書くことで埋まっており、まだ書いていない感想もあるのですが、今日はなんとなしに由無しごとを書いてみます。
前に日記にも書いたとおり、通勤時間にpodcastをよく聴いているのですが、なんとなく往路でTBSラジオのdigを聴いてることが多い。で、昨年に大相撲の人が野球賭博の一件で脅迫されたのなんだのといって連日ニュースになったころ、水曜digでもこの件が特集されました。このとき、元力士の人が出ていて、「古くからギャンブルに興じることはあったけど、そういうものも必要だ。相撲取りに娯楽はないしなぁ、おおらかだったよ昔は」的な主旨*1の一貫した主張をしていて、これに対し進行の藤木ＴＤＣさんは、奥歯にものが挟まったような感じでした。その元力士の言うことに首肯している部分もある、でも、それは公共の電波、まして司会の立場ではおおぴらに言えない、というような感じ。そういう空気の番組だったので、リスナーの反応で「今日の放送はまったく支持できない、恥を知りなさい」というようなものもあった。水曜digってこういう話題がなぜか多くて、それは藤木さんのパーソナリティにも拠るのだろうけど、パチンコの特集のときも換金の合法化とかっていう話題で、また、奥歯にものの挟まったような感じがあった。
奥歯にものの挟まれり、という感覚は、結構多くの人も持っていると思う。角界の人も多くギャンブルをしていそうだな、まぁ黒社会の人とつながって事件とかまでは行きすぎだろうけどさ、とか。マージャンなんて賭けなきゃおもしろくないわな、みんなそうでしょ？、とか。パチンコなんて換金するにきまってんじゃん、とか。もしくは現在進行形なら、相撲の八百長なんて、そりゃ昔からあるだろうな、とか。歌舞伎の一部の人は相当遊んでるでしょ、酒も異性交遊関係も、もろもろ、とか*2。そうは思ってても、お上が定めた“法律”で禁止してるからそんなことは、おおぴらには言えない。だからオモテでは、そういう“反社会的”行為/法律に違反する行為について批判糾弾原因追及すべきだ、いう論調が多勢を占める。しかし、そういう発言をしているスタジオ内にいるコメンテーター人種たちなどが言外のニュアンスとか表情とかオーラとか雰囲気で、“正直ベース”ではそんな清廉潔白なこたぁないよね、それは分かってるよ、というのを半笑いな感じで滲ませてるのがなんかイヤだ。だけど、司会者やコメンテーター陣たちは結局のところ“まっとうな正論のクレーム”が来るのを防ぎたいから、君子は危うきに近寄らない、って態度で、キレイごとを述べつづける。うすっぺらい。つるつるとしたハリボテのようだよ。
でも、この文化的で高度に文明の進化した（かどうかは分からないけど）現代においては、こんなタテマエというハリボテを大事に遵守しなきゃ、退行することになっちゃうじゃん、というのがあるのかな。より倫理的より公平公正な世の中からの後退。たしかに現実離れした理想かもしれないけど、それを掲げて守らねばならない、というコトもあると思う。もろいペラペラの剥がれ落ちそうなハリボテのような理想でも掲げ続けなきゃならない、ということもある（人権とか自由とかにまつわる諸々など）。でも、相撲とか芸能人がどうしたこうした等など…は、どうなんだろ。すべて“お上”が定めた法律に従うのが正しいのかどうか、わからない。それぞれの世界に、それぞれのルールや慣習はあって、それは“悪習”かもしれないし、長年の歴史を経て培われた知恵や色々の配慮の末にできた“慣習”かもしれない。“悪習”部分と“慣習”部分が入り混じっていたりするのかもしれない。それを、世の全ての善悪を定める“法律”って絶対的存在があるんだから、それですべて善か悪か判定しなければならない、黒か白か！…とやっちゃうのは困難だと思う。その困難さをうっちゃって、とりあえず“法律”は正しい絶対的基準で、それに反するのはアウトっていっときゃ無難だから、と簡単に一方的に決め付けるのは…。なんていうか、いろいろと頭使って考えなきゃダメだわ、と自戒の念をこめて思い、ますますＴＶの報道は頭に残らなくなる。
王様は裸だ、って、それは服を着てるか着てないかのあからさまな二択だから言える。でも王様がいい人か悪い人かは誰が言える？王様は愚かだけど悪い人かどうかわかんない。王様の“人となり”を知らないし、なぜ服を着ないこととなったか、その経緯までわかんないから。ひょっとしたら、あらゆる理不尽な抑圧に対するパンク魂をこめた反抗で裸になってるかもしれないじゃん、言葉でいうことができないから体で示した、とか（いや、童話上それはないけど）。
いろいろ考えなきゃな。話題のお相撲さんの世界も、どのようにあるのがよりいいのかを見極めなきゃ、でしょうね。自分はそんなにお相撲さんに興味はないので、興味ある人々や知識人？とか関係者で考えてもらう、と。自分は自分の関心のある分野について考えるとして…、という極めてとりとめのない日記。
※大人で王様は裸だ、と言えるのは、『レボリューショナリー・ロード』に出てきた近所に住んでるキャシー・ベイツ演じる不動産屋の息子だな、とふと思った。なんでも素直に言っちゃう、相手が傷つこうがなんだろうが。
『レボリューショナリー・ロード』
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13632/story.html
※ちなみに、相撲の八百長ももろもろもおおらかに認めたらいいやん、とは思わないけど。モノゴトの単純化には気をつけねばな、と思っている。そもそも相撲にそんなに興味はなくって、報じられ方や語られ方に興味がちょっとある。
