『エンジェルウォーズ』を観たら『パンズ・ラビリンス』とか色々思い出したの記

予告編がyou tubeで観られるようになってから、ワクワク要素(美少女、アクション、そして美少女)がぎゅうぎゅうに詰まっていたため、ツイッターなどにおいて映画ファンの方々が大層盛り上がっていた『SUCKER PUNCH』。その邦題が『エンジェルウォーズ』となったことも、その邦題って…!という突っ込みとともに原作(原題)擁護→さらに期待や熱量が増す、というような感じでしたね。自分も、トレイラーをみて、自分内“観るリスト”に入れていましたので、上映開始二日目の土曜日に字幕版をやってる数少ない大阪の劇場へ足を運びました(TOHOシネマズなんば)。既に観られた映画好きの方々の間では評価がまっぷたつに分かれていて、それがまた大変面白いし、いいな、と思うのですが、自分が思った感想を素直に思いつくまま書いてみます。ネタばれてます、あしからず…。
1、セカイ
映画内は舞台が何層かに分かれてましたね。うろおぼえで書いてみると

現実世界 美少女だらけの精神病院 汚いなぁ
夢想世界 美少女だらけのクラブ兼売春宿 キレイな衣装に普段着もレオタード的な。源氏名で呼ばれる
脳内トリップ世界 ゾンビだらけの戦闘世界 2の夢想世界でベイビードールが躍るとトリップできる

という感じ。ちなみに○○世界っていうのは自分が便宜上、勝手につけました。『インセプション』でいうと1⇒3の順にリンボーに近づく感じ。3はいわばマトリックス世界みたいなもんで、ネオみたいに素養のある者のみがトリップできる。行った先にはモーフィアスみたいな導師ぽいのもいる。3の世界にまず最初にトリップした源氏名:ベイビードールは囚われた自分を解放するためにコレクトすべきアイテムのヒントをもらう。さぁ、冒険へ出発だ。お、まず最初の敵がいるよ、ベイビードール、うしろ!…鎧の武者的なデカイなにかが襲ってくる。…おぉぅ、これはゲームですね。まったくゲームをしないわたくしが、こんなことを書く資格はないと思うけれど、それでも思う。これ、ゲームじゃん。鎧武者とのバトルではドカンドカン蹴飛ばされて、数十メートルは吹っ飛んでる、地面にたたきつけられる。でも大丈夫。かすり傷打ち身ひとつない。普通なら6回くらいこのシークエンスで死んでそうだけど、そうならないのはゲーム的セカイってことだな、とそこで認識しました。ただ、『マトリックス』なら、マトリックス世界での負傷や死は現実にリンクしているのに、『SUCKER PUNCH』世界ではどういう関係かわからなくて、そこがちょっと自分のなかでの印象がぼんやりしてしまったポイントでした。
あと、ベイビードールがどんなダンスしたら脳内トリップできるのか、大変興味がありました。戦闘世界でバトルしてるときの、夢想世界での実際のダンスがめちゃめちゃ観たくてたまらなかったです。あの困り顔から肩を揺らして始まるダンスは、なぜそんなに人を魅了してしまうんだろうって。
2、敵はゾンビ
アイテムをゲットすべく行われる作戦は、ベイビードールの脳内トリップ世界では、ゾンビとのバトルとしてあらわされています。ここで出てくるゾンビは、仮面ライダーのショッカー以下の感情も持ってない*1、機械みたい。そこが今一つノレなかったポイントでした。ゾンビを斬って斬って斬りまくればクリア*2できるゲームという風に見えてしまった。いろんなバトルの画は、ナチとかドラゴンとか何だかすごそうなのに、敵が不気味だったり強敵だったり悪賢かったり、という風に見えないから、全然ドキドキしなかった。顔や感情のわかる敵とのバトルになると、面白かったんですよ。夢想世界でのクラブのマネージャーとのバトルとかね。ああいう醜いこすいヤなやつがいると盛り上がるしジリジリするのです。
3、『パンズ・ラビリンス
ここまで書いて、ふと思った。あの脳内トリップ世界って、『パンズ・ラビリンス』の影響が若干あるような気がする(思い込みかもしれないけど)。観ている最中は、『マトリックス』とか『インセプション』がぼんやり頭を横切りましたが、悪夢のようなファンタジー世界。ひどすぎる現実世界からもうひとつの世界への少女の空想による逃避という意味では『パンズ・ラビリンス』と共通しているような気がする。バッドエンド(と言い切っていいのかは疑問だけど…)というか、主人公のラストも共通してますよね。ストーリィを生きながら創作にのめりこむ過程やミッションをクリアしていく様…。でもなぁ、『パンズ〜』は本当に強烈で、具体的な、ディテールにこだわりまくった悪夢のファンタジーのヴィジョンがすごかった。それにそれぞれのミッションはスムーズにはいかないし、失敗もするし、現実での苦境はますます深まる、という様子が、少女の夢想や現実がクロスしながら進む。ケド、『SUCKER PUNCH』はゲームみたくクリアしていっちゃうので、ちょっとスムーズすぎて、心のひっかかりが少なかったかなぁ。ベイビードールについてああいうラストを用意するのなら、『パンズ〜』なみの悪夢を見せてほしかったな。そしたら、ラストの世界を切り拓いていく鍵は「あなた」なのよ、というメッセージ*3も響いたかも。滅私の精神ていう東洋的発想も、ちょっと唐突な感は否めなかったな。
4、でも、絶対領域至上主義!
しかしです。衣装や音楽はかっこよいし、エミリー・ブラウニングの脱色プラチナツインテールヘアのお人形感と、衣装はすばらしいですよ。スカートとニーハイソックスとの間の絶対領域、セーラー服とスカートの間のおなかの絶対領域。めちゃめちゃ堪能できます。ワイヤーアクションもがんばっててかっこよいし、夢想世界内での衣装はどいつもこいつもすごいなぁ、と感心。心理学者のメガネ萌えもあったし。地図をゲットするミッションのときは画面が小刻みに揺れすぎて、目が相当疲れたけど、夢想世界内の彼女たちを観て、目が和んだ、かも。
それにしても、ベイビードールのダンスが観てみたかったな。それを見せないって、『BECK*4で奇跡の歌声を一度も聴かせなかった佐藤健(無音で乗り切る)と似てなくもないことは、ないか。

『エンジェルウォーズ』(2011/アメリカ)監督:ザック・スナイダー 出演:エミリー・ブラウニングアビー・コーニッシュジェナ・マローンヴァネッサ・ハジェンズジェイミー・チャン
http://wwws.warnerbros.co.jp/suckerpunch/index.html
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD17849/

パンズ・ラビリンス』も相当うろおぼえだなー。なんか全然的外れなこと書いてたら、すみません。それにしても、『パンズ〜』がすごく観たくなった。

*1:ライダーにも詳しくないのに安易に書いてすみません

*2:十三人の刺客

*3:ちょっと自己啓発ぽい、と思った

*4:未見、原作もよく知らないのに引き合いにだしてすみません