アマンダ・セイフライド主演『ジュリエットからの手紙』

シネリーブルデー会員デーなどで1000円で観られる機会に、せっかくだから何か観に行こうと思って観に行った映画について書いてみるシリーズ第一弾です(第二弾で終了予定)。アマンダ・セイフライドさん主演のラブストーリー、『ジュリエットからの手紙』。彼女は今後公開予定の映画『赤ずきん』『クロエ』などにも出ているので、1000円だし押さえておこうかなと思って行ってみました。
イタリア料理店の経営者兼シェフの婚約者との結婚を控えた記者志望のソフィが主人公。事前のハネムーンをかねてふたりでイタリア旅行へ行くけど、彼は仕入れなど仕事絡みの用事に夢中(→この時点でどうしてこんな男とくっついてるのかよくわからん、ふたりキャラが全然合ってない)。彼に放っておかれたソフィは、ヴェローナのジュリエットの生家とされる観光名所で、女性達がジュリエットへ恋の悩みを綴った手紙を書き、家の壁に貼っていくのを目撃する。しかもその手紙を回収し、返事を書いている女性たちがいるのだ(→ここから触れ合うイタリア人すべてが、英語をしゃべれる法則の発動)。ソフィは記事のネタになるかも、と手紙の返事を書く仕事を手伝う。するとレンガの奥にしまわれていた50年前の手紙をひょんなことから発見するのだ(→たまたまイギリス人女性の手紙だったので、英語でOKの法則)。イタリア人男性との恋を諦めイギリスに帰国することにした後悔を綴った手紙に動かされたソフィは、この手紙の差出人への返事を書く、するとなんとその女性はイケメン孫を連れて速攻イタリアへやってくるのだ(→ご都合主義発動だけど、もうこれはこれでいいって)。若き日の恋の相手を探す旅に同行するうち、最初の出会いから最悪な印象だったイケメン孫の態度がかわってくる(→よくあるパターンのアレだ)。…はい。もう十分。あとは想像してください。きっとそのとおりに進むから。
アメリカ人にとってイタリアって特別な異国情緒あふれる憧れの対象なのかな。『ヤング・ゼネレーション』なんか顕著だったけど、陽気なラテン、おおらかな性質、情熱的、太陽、大家族、マンマミーア!みたいな、なんとなくなイタリアのイメージへの憧れ。そんなツーリズム心をくすぐるようなイタリアの古い町並みや、郊外の有機的農業のロハス的な風景などの舞台立てに、すれ違いとか素直になれない気持ち、婚約者がいることによる気持ちの障壁と募る想い、などの恋愛ジリジリ要素を織り交ぜて作ってある。「ステキなロケーションで繰り広げられるラブストーリーを観て日常と違う世界に浸って気持ちよくなりたい」、という観客の気持ちを満たすお仕事がきちんとなされてました。また、この映画は美しいアマンダさんinイタリアをいかにキレイに撮るかの映画でもありまして。映画内の画面のアマンダ占有率(サッカーのボール占有率みたいなもの)はかなりのものだったと思いますよ。アマンダさんのうつくしい金色の腕毛のフサフサしているのもキラキラ光ってきれいだった(きっとこれが働くアメリカ女性によくある感じなんだろうな、と思った)。地味な(記者志望の)事実調査員、というわりには美しすぎるけど…ま、恋愛映画だもの。世界各国、アニメ、絵、写真など様々なメディアの「キス」のシーンをつないだオープニングといい、気持ちよい恋愛映画でしたよ。そんなに普段は映画を観ないような素直なかわいい女の子をファーストデートに連れて行くなら、コレが最適だろうな、と映画館の暗闇の中で思いましたよ。
しかしソフィの婚約者が「きみは観光したい、ぼくはワインの買い付けに行きたい、それぞれで楽しもう」的セリフを言った後に『win-win』っていうのがおかしくて(日本語字幕に出なかったケド2回ほどあった)。仕事に夢中なヤングエグゼクティブっていうの*1?が言いそうだわな。合言葉はwin-win!あぁ軽い語感、軽薄っぽい彼のいかにも言いそうなコトバ。このあたりセリフも含めきっちりキャラ作りができてる証拠ですな。
ラブストーリーは観る側の期待値がある。登場人物のキャラ設定が出そろったら、最後どこに着地すべきか、有体に言えば誰と誰がくっつくか、観ている側が予想する。そこを変にツイストをきかせてもアレな出来になるだろうし(本当に予想外ながら誰もが満足するハッピーエンドもありうるだろうけど)、安心できるがっちりした定型のフレームがありつつ、中盤ちょっとドキドキさせてハッピーエンド、というのが求められるもの、ですよね。イタリアで、美味いものたべて、恋人にも運命的に出会って、キャリアも思ったとおりになる。うぉぉ、なんて都合がいいんだ!でもそんな都合のいい偶然がポロポロ都合よく落っこちてくるのが、アクターの魅力頼みのラブストーリーには必然です。ある意味アイドル映画っぽい。髪洗いたてのアマンダ、ラフな服装のアマンダ、ドレス姿、バリバリ働くキャリアウーマン的アマンダ…でも、アマンダがそんなにスマートな女性キャラにはまってるかどうかという点は、どうかしらん。筆記体をすらすら書くようなキャラにはちょっと思えないけど、アイドル映画だからね、いいんだよ。

ジュリエットからの手紙(2010/アメリカ)監督:ゲイリー・ウィニック 出演:アマンダ・セイフライドヴァネッサ・レッドグレイヴガエル・ガルシア・ベルナルクリストファー・イーガン
http://www.juliet-movie.jp/index.html#Top
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD17909/index.html

*1:死語?