青い光でかどわかされて『スカイライン』

世間の一部で話題の『スカイライン』を観たよ…というか劇場に行ってみたらこれが案外人が入っていたのでびっくりしました。『マイ・バック・ページ』観たときより全然入ってましたよ。年齢層も結構高めだったり、若い男性だったり。中年男性だったり、夫婦ぽい二人連れだったり、と幅広かったです(こどもはいない感じでしたが)。
ストーリーは宇宙人が攻めてきたから逃げまくる、それだけ。たしかにロケーションとしてはずっとマンションから出ないし事前に聞いてたとおり低予算だな、と思った。あとは照明とか照明とかCGとかCGとか特殊メイクなどでてきていました。ケド、結構画面に観入っちゃうのですよ。LAの街と宇宙人のマザーシップは、あきらかに『第9地区』以降の表現だなと思う(SF詳しくないケド書いてしまう)。都市の上にぽっかりと浮かぶ宇宙船、そこから出てくる宇宙人たちと攻撃する空軍戦闘機、それらは空に実在してひゅんひゅん飛んでるみたいにみえる。その美しさにワクワクするところがある。明らかな合成くささがあると、冷めるというかガッカリ感で肩まで浸かったみたいになる。とあるヒューマンドラマ的映画の予告(邦画じゃないよ)でCGらしすぎる合成があるシーンが映って、あぁ、もう観なくていいや、と思った。いかに人間ドラマが主眼の映画でストーリーがよかろうと、その一箇所のウソモノっぽさが垣間見えた瞬間、冷や水ぶっかけられたみたいに冷めるだろうな、と思って。
宇宙人の造形とかはこれまでの古典を踏まえた造形で、飛んで人間をバキュームしまくる宇宙人は『マトリックス』のイカみたいだし(クラゲ由来)、クルマをぺしゃっと踏みつける足は怪獣だし(恐竜由来)、宇宙人がトロトロベトベトしてるのはエイリアンだし。誰が見ても“宇宙人”て思える最大公約数的要素を盛り込んでるのがこの映画では正解だと思う。意外なエイリアン像を示すような種類の映画じゃないわな。しかし、知能指数低すぎだろ、と思いましたが、あんなに高度なマザーシップ作れるのに*1
役者さんもがんばってて、宇宙人とタイマンはる場面で、CGとはあきらかにグレードが違いすぎる、着ぐるみみたいなウレタンっぽい物体を相手にぽこぽこ殴ってるのはほほえましかったです。
ラストは、少年マンガでしたね。作者がストーリーを引き伸ばそうとしていきなり違うフェーズに突入するとか、もしくは、ちょっと人気投票で低迷しているから、これまでと違う要素をぶちこんでフックアップしようとする唐突な感じ。なにー?って思いましたが、なんか「なんだよこれ」といって怒るわけでもなく、呆れるでもなく、ハハァ、うん、なるほどぉ、と口半開きみたいな感じ。これは昨年『パンドラム』観たときもこんな感じになったんで、鑑賞後『パンドラム』のこと思い出したりしてた。あれも劇中ずっとぺとぺとしてたしな。
青い光で血管うきあがって目が白くなるあたり、もちっと生かしてくれたら(アレによって内からなにかが浸食して、腹を食い破り誕生…)と思ったけど、まぁ、思わせぶりでなんだかよくわからない要素は必要だしね、と思う。青い光とLAの街とマザーシップと戦闘機が飛びまくってるところがいい映画でしたよ。
続編があるとかないとかいうけど、続編といえばJrが誕生するのが定番だから。青い光にさらされた彼女から産まれるのは異形の子か、人間の子か、はたまた…てネタはいろいろできそう。でも、もういいかな、後日譚は。だって、続編にはLAの上空のマザーシップのシーンがないだろうからなぁ、それともぺとぺとした暗黒ゾーンで面白い展開があろうかね。

スカイライン−征服−』(2010/アメリカ)監督:グレッグ・ストラウス、コリン・ストラウス 出演:エリック・バルフォー、クリスタル・リード、スコッティ・トンプソン
http://skyline-movie.jp/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18077/
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スペシャル・サンクスにジャレッド・レトの名前があったような気がしたけど。どんな繋がりなんだろ?
宇宙戦争』といい、宇宙人が大量の人間を吸い込みながらも、ひとりに狙いをつけ執拗に追うその心理やいかに。

*1:もしくは地球を攻めてきたのは下っ端の兵隊で頭脳明晰集団が母星にいる設定かもしれないけど