ブラッドリー・クーパー主演『リミットレス』

ハングオーバー!』公開以来、“男前”といえばブラッドリー・クーパーというのは定説ですよね。ということで、その男前っぷりを堪能する映画だろうと予想しつつ観に出かけましたよ。
よれよれしてだらしない男エディはようやっと出版契約も結んだ小説家志望だが、小説の執筆が上手くいかずつい飲んだくれ、書けないという悪循環ループ。そんな彼を恋人*1も見放して、別れを告げられてしまう。そんな矢先、分かれた妻の弟とばったり出会い、ついてない状況から脱することが可能になるドラッグを一錠もらうのであった。そのドラッグ(その名もNZT48…!)は普段は脳の20%しか使ってないが、そのリミッターを外して全能力を使えるようにする効用があるという。ドラッグの効用を実感したエディはex義弟の元を訪れ更にたくさんの錠剤をもらおうとするが、彼は何者かに殺害されてしまっていた。ヤバいドラッグだということはわかったエディだが、一度味わった全能感とその効用の誘惑に抗えず、殺害されたex義弟の部屋から錠剤を探し出す。そのドラッグを服用し続けることでエディは次々成功を収め、別れた彼女ともよりを戻す、など人生が上手く回り始めたかのように思えたのだが、記憶の断絶など副作用らしい症状も現れ始める…
おもしろいのは、リミッターが外れて全能力がフル活動しはじめるということが指すのは、単純にスーパーマン的になるのではなく、これまでの人生で見聞きしてきた些細な情報や記憶、知識の蓄積にアクセスできるようになる、という点。つまり小説家をやってるエディのような人間が使えば小説や株の売買の成功につながる。一方粗暴でヤクザな高利貸しが使えば、悪い方面でのし上がることができる、と。つまり人間性やら基礎知識のベースによってリミッターを外した結果が変わってくるのですな。
リミッター外しによって、画面の色調がぶわぁっと鮮やかになり、まさに覚醒した感じ。ドラッグによって世界が違って見えてきて、まるで新たな地平が開けたかのように迫ってくる表現でよかったです。ブラッドリー・クーパーはヨレヨレしていたのに、覚醒するにつれ段々洗練されて髪型も決まってきますよ(ついでにいうと、まず最初に錠剤を飲んだときもエディはまず部屋の掃除をした。部屋の状態は精神状態にリンクするからね!まずは整理整頓、見てくれから整えるのだ)。…でもオールバックにして撫で付けた感じでどことなくデーブ・スペクターを思い出してしまった…けど、それは気のせいだな、だってブラッドリー=男前なんだからな、気のせい気のせい。スーツだってトム・フォードですよ!当然かっこよい。まさにブラッドリーの男前っぷりを堪能するにふさわしい映画じゃないかい。
でもエディはそれだけ頭がフル回転できる状態になったのに、ツメが甘い、としかいいようがないコトもやらかしていて。例えば高利貸しにちゃんとお金を返してなくてその後の危機に陥る契機になってしまうわけだし、アレコレちょっとどうかと思う。まぁ、そういう甘いところがないとドラマにはならないわけだけど。あと、記憶が飛んだ箇所での事件は結局彼が絡んでいた?といった部分はあいまいなままでしたね。また、危機一髪のエディが起死回生を図る方法、ソレかい!という結構なトンデモでしたね。びっくり!またその後の展開にもびっくり!えぇ?なんか適当な“シナプス”とか脳科学的な用語で雑に丸く収めるのか!と。でも、観て数日経った今、ああいう映画なら、ああいうオチもありかな、と思ってます。そこでなんとなく連想したのがマット・デイモン主演の『アジャストメント』。あれも結構トンデモなラブ+ドジっこ萌え+ちょいSF+ハッピーエンドという不思議な作品でしたが、なんとなく肌触りというか鑑賞後感が似てるというか。アレもいま思い出すと結構悪くない印象なのです。とにかくブラッドリーの男前っぷりと決めキメのスーツ姿が堪能できる映画でしたよ。最後のブラッドリーの髪型はちょっとヘンだったケドね。

リミットレス(2011/アメリカ)監督:ニール・バーカー 出演:ブラッドリー・クーパーロバート・デ・ニーロアビー・コーニッシュ、アンドリュー・ハワード、アンナ・フリエル、ジョニー・ホイットワース
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