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ショットガンを手にした渡り鳥『ホーボー・ウィズ・ショットガン』

縁あって日本上映初日に観ました『ホーボー・ウィズ・ショットガン』。流れ流れてとある町にやってきたルトガー・ハウワー演じるホーボーは、その町を牛耳る非道な一家の非道な行いにも目をそらし、トラブルは避け、細々と物乞いや拾い物をして、古物商の店先にある古びた芝刈り機を憧れの目でみつめるのでした。こんな荒れた町なので変なビデオアーティスト(?)が本物の暴力や血を撮影すべく金で暴力を振るわせたりしています。ルトガー・ハウワーも金につられてそのクズ野郎のところに行き、言われるがままにガラスを口に含んでパリパリ噛みしめて血だらけになります。
ルドガー・ハウワーは見た目は老成してるけど中身は老成してなくって、ただただ草臥れたじいさんでございまして、逃げる男に助けを求められてもあわあわ逃げ出し、金のためにガラスもパリパリ食べて、物乞いのため病気の息子が…とウソをつくのも疲れて、「ぼくはもうつかれたよ…」なんてメッセージをダンボールに殴り書きしちゃうわけで。けど一縷の望みは持っている。それが“芝刈り機”。芝刈り業を立ち上げて生活を立て直そう、という生きる望みを持っているからには男として終わっちゃいないのだ!というわけで、男に助けを求められてもスルーしちゃうのだけど、かわいくて、セクシーで、キュートな女性が虐げられてるのはガマンならねぇ、ということで助けるわけです。しかも「今きみはこんなふうに身をやつしているけど、頭がいい…本当は先生なんだろう」なんて西田敏行が言いそうなセリフまで吐いちゃうロマンティストぶり。クマ柄トレーナーとかクマ写真とかをかわいらしく二人の絆アイテムにするあたりとかもロマンティック。“俺、心のどっかでまだ信じてる、男のロマン”という感じ。
ここらからは血まみれの残酷残虐ショックシーンがガシガシと続くのですが、この描写については“つくりもの”だってわかってるから全然大丈夫でしたね。このフェイク感も含めての80'sぽさ、グラインドハウス感なのかな。80'sの再現は冒頭の映像の質感やファッション、小物、音楽など含めてなかなかのものでした。悪兄弟のスタジャンとかグラサン、ラジカセ、髪型などディテールまで凝ってたな。ただ、ショックシーンを畳み掛けて盛っていくためのムリクリな展開になってくると観ててだるくなってきた。エピソードも細切れで場面のつながりがムリクリじゃ…。ショットガンもいいけど『ドリーム・ホーム』くらい殺し方を凝ってくれたら楽しいけどな、などとぼんやり思ってきてしまったので*1、上映後にぴあ満足度調査の人からの「点数をつけてください」という大雑把な質問に反射的に低めの点数が口から出たのです。ただ、地獄(?)から2体のロボ戦士が召喚されて出てくるところはあいつらの造形も含めておもしろかったし楽しかったです。あいつらの奇妙な殺戮方法とか任務遂行後にご褒美に巨大モンスターイカ*2をもらってるところとかね。でもこのロボたちの活躍シーンもさくさく進んで、彼らの見せ場もわりとあっさり終わっちゃってね、それが残念。
ルトガー・ハウワーのラストは男のロマン全開でした。きっとこのラストは彼の本望。町に来た当初は芝刈り業に夢を託そうとしたけれど、かわいい女と町の正義のために命をかけることを男として選ぶ。それは芝刈り機じゃなくてショットガンを買っちゃったとき(これも女性を救う火急の場面でのことでしたな)に決まった運命なのでしょう。ここらのベタな展開やフラグといい…うん、なるほど男のロマンだな。
ホーボー・ウィズ・ショットガン(2011/アメリカ)監督:ジェイソン・アイズナー 出演:ルトガー・ハウアー、グレゴリー・スミス、モリー・ダンズワース、ブライアン・ダウニー
http://hobo-movie.com/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD19989/index.html
※映画予告編
※以前に観たフェイク予告編をすっかり忘れていたので、映画を観た後でみなおしてみたら、本編はがんばっていろいろ工夫凝らしてイマジネーションを広げてるな、と感じました。あとキャストの力も大きいかも。『マチェーテ』はかなり予告に忠実に作られてたけど、今作の予告編に縛られすぎずにいるところはいいなと思ったです。
※フェイク予告編

*1:それやるとグラインドハウスとは趣きが変わっちゃうだろうけど…

*2:に見えたけど違うのかな?