『戦火の馬』

この映画の魅力はほかの方の感想をみて、うん、そのとおり、と思って満足な感じで、自分でアレコレこの作品について文章を書きたいと思うところもないほどなのですが、自分メモで書いておこうと思います。
・やっぱり馬が素敵
馬が主役ですから、馬が魅力的に描写されてなきゃ今作は全く成立しないのですが、そこはさすがの仕事っぷりでした。馬の大きな目のアップに引き込まれるように見入ってしまう。ガンバレと応援し、人間の都合で酷使される馬をみてかわいそうにと涙する。犬は人間の日常にも身近だし、主人に忠実であったり躾によって人間の指示により“演技できちゃう”という感じがあるのだけれど、馬については“野生”という感じがするゆえに映画の中で連続性をもって“演技していないかのように”“映画の中で生きている”ように撮る、というのはかなり困難なことだと思う。それを成し遂げているから感動が増すのかな、と思いましたよ。変に人間に懐き過ぎたり、迎合したりしない存在であるところが重要だと思う。ジョーイはその数奇な運命に翻弄されながらも、その時々に出会う、信頼できそうな“馬を愛する人間”に自然に寄り添っているのが気持ちよい。あと出色なのは、戦場で戦友ともいえる馬友達の死を見届けた後、タンクがやってきて逃げ出すジョーイですね。あの塹壕などを飛び越え突破していくジョーイの躍動する筋肉や脚力などの馬体の運動性の迫力と夜の戦場の描写。どうやって撮ってるんだろ…(CGも使ってるんだろうけど)。
・ロケや撮影がいい
たとえば奇襲をかける場面。騎馬隊が一斉に進むシーンのすごさ。そしてラストのこれまたどうやって撮ったの?という画の力。言葉は不要ですね。
・実はいいヤツ
ドイツ兵の一部について略奪したり、馬を道具扱い*1している軍人がでてくるけれど、敵味方とはいえ同じ人間で、馬を愛する感情には変わりないということが描写されているのがよいですな。戦場描写は血や人体欠損描写こそないものの過酷に描かれていて、その戦争・ダメ絶対ということも感じさせてくれる点も含め、まさに子どもにも見てほしい映画のように思いましたね。ストーリーも分かりやすいし。
ラストの展開にご都合なところはあるけれど、夜の戦場を駆けるジョーイ、がんじがらめになった彼を救うシークエンス〜感動の再会のところは、そうなるだろな、と分かっていても胸が熱くなりましたね。しかしアルバート、ジョーイに夢中すぎ。馬に恋しすぎ。もし女性と恋しても、私と馬とどっちが大事なの!といわれて、思わず口ごもりそうやの(そういう迷いが生じたら女性はもっと激昂しそう)まぁ、アルビーはそんな問いを発しない女性と結婚してほしいものです、はい。と、いらぬ心配をしたくなるほどの惚れっぷりでしたね。たしかに、馬がステキでした、そんな映画。
『戦火の馬』(2011/アメリカ)監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:ジェレミー・アーヴァイン、ピーター・ミュラン、エミリー・ワトソンデイヴィッド・シューリス、ニエル・アレストラップ
http://disney-studio.jp/movies/warhorse/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD19275/index.html

*1:まぁ、これもあの状況では当たり前かもしれませんが