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大阪アジアン映画祭 『捜査官X』

大阪アジアン映画祭で観たシリーズもラストの4本目です。クロージング上映の『捜査官X』!
ドニー・イェン金城武の共演というのもかなりの引きがある感じですが、『ウィンター・ソング』『ウォーロード』のピーター・チャン監督だけに映像が凝った感じでいい質感の画調でしたね。監督のあいさつがあったのですが、原題の『武侠』ゆえに本国では反発もあったとか…つまり武侠映画が根強い人気がある中で、いわゆる武侠映画らしからぬ映画のくせにタイトルに『武侠』とするとは何事ぞ、みたいなことで。ただし観てみると、これがたしかに『武侠』でしたね。『捜査官X』な感じは前半の3〜40分で終わりっていう感じで。金城武がメガネ髭キャラで、過去に情によって罪を問わなかったために毒を食らわされた経験から、情に流されるまい、と心に決めている捜査官シュウを演じています。シュウはその過去の毒ゆえに体も弱く、情ではなく法をたよりにせねばならない、と心に決めて生きている。彼が捜査に赴いた事件では強盗がある平凡な紙職人によって“偶然に”やっつけられ=殺されていた…。平凡といいながら、全然平凡じゃない相貌じゃん!とつっこみたくなる男、ジンシーを演じるのがドニー・イェンです。
トンデモなところとそれらしいところと科学的っぽいところがない交ぜになっております。そのない交ぜ具合は『容疑者Xの献身』的な東野圭吾のガリレオシリーズっぽいところもあるな。でも、とある田舎で繰り広げられる捜査と、その捜査官のオトボケ天然っぽいキャラは金田一っぽい感じですね(しかも探偵が事件を防ぐんじゃなくて、捜査しながらもドンドン事件が進行してくところも似てる)。オトボケ天然キャラに金城くんはかなりのマッチングを見せていましたよ。
さて、今作の魅力はナゾの追及(ていうかナゾはあっさり明らかになるし)じゃなくてドニー演じるキャラのたたずまいにございました。『関羽』でドニーが大勢の敵を前に対峙したところで扉が閉まる→扉あく→敵みんな倒れてる、というシークエンスでずっこけた皆さんでもきっと十分満足できるドニーのアクションが展開されますから。これだけでも劇場で観る価値有りだと思うな。たまらんです。あとは後半の見どころでのジミー・ウォングの貫録たっぷりのたたずまいと、ジミーとドニーのタイマンの場面のアクション。ここはおぉっ、そう来たかぁ、という展開。燃えますよ。
明らかに過去になにかある男ジンシー。こいつは善き者か悪き者か…捜査官シュウは己の拠って立つ“法”に忠実であろうとするので、その者の善悪ではなく、その者のなしたことで判断し、ジンシーの正体を探り、断罪しようとする。しかし、アタマで信じている“法”と心の底にある“情”との間で引き裂かれるように彼は分裂してるんですよね。それが彼を諭すように登場するもう一人のシュウの幻影。それら二つのシュウがやはり彼が信じたいものに殉じるところでラストはきれいに収まります。
ちょっとペースがまったりするところもありますが、キャラとアクションで結構心を持って行かれる感じでした。アジアン映画祭のラストにふさわしい華のあるスター共演の作品でした。ドニーの武侠映画をぜひ劇場で観てほしいな。金城くんファンも必見ですね。4月21日〜公開ですよ!
『捜査官X』(2011/香港=中国)監督:ピーター・チャン 出演:ドニー・イェン金城武タン・ウェイジミー・ウォング
http://www.sousakan-x.com/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD20883/index.html

タン・ウェイは薄幸が似合う顔立ちですね(『ラスト、コーション』もそうでしたが)

おまけ アジアン映画祭クロージング
グランプリ等各賞が発表されるクロージング。観客賞は『セデック・バレ』。これも相当よさそうで観たい!けど公開されるかなぁ…でも『イップ・マン序章』も公開されたことだし、ぜひ公開してほしいです。ABC賞は『神さまがくれた娘』(インド映画)でこれはABCで放映されますので観たいと思ってます(多分真夜中)。各賞の受賞者スピーチや実行委員のスピーチを聴いていて、この映画祭が来年も開催されることを願ってやみませんでした。映画への熱い思いは人を動かすのな。
大阪アジアン映画祭 http://www.oaff.jp/