『ビースト・ストーカー/証人』

ダンテ・ラム監督、ニコラス・ツェー、ニック・チョン主演という『密告者』と同じ布陣による『ビースト・ストーカー/証人』を観ましたよ。『密告者』ではニコラスが犯罪者側、ニックが警察側だったのですが、今作ではちょうど逆になっています。
犯罪者を追跡する過程で起こった交通事故が思いもよらぬ事件を招きよせることになる…というプロット。証人保護、というのはよくある設定で、これにひとつの交通事故が人々に及ぼした影響を絡めることで、スリリングな展開を見せます。検事アンの娘を誘拐したホン(ニック・チョン)をひたすら追いかける刑事トン(ニコラス・ツェー)、というシンプルな追跡劇で畳み掛けつつも、ホンにまつわるナゾの部分(ホンはなぜ失明寸前なのか、ホンの妻はなぜそんなことになってるのかetc)を残しているのですが、これがまたうまいな、と思いました。最後までうかつにも気づかなかったよー、勘が悪いな自分、とつくづく思いました…。
ニコラス・ツェーの熱演も素晴らしいですが、ニック・チョン!お前不死身か!というくらい強いし不気味。体もつくりあげています(今47歳だから撮影時でも43歳くらい?)。妻のためにならばどんな手段も厭わないという冷徹さ。セリフは決して多くないのに、表情で語ってますよ。
テンポよくすすむし、タイトなつくりで緊迫感もあるし、力の入ったまま集中して一気に見られる映画でした。おもしろかった!香港映画おなじみの包丁などの刃物ブン回しがやっぱり痛いよ。肉体的な痛みが画面から伝わってくる(しかも全然関係ない人巻き込んでるし、それがこわい)。冒頭の食事シーンからカーチェイスに至るまで香港の街並みが堪能できましたよ。しかし、飲茶、なんであんなに美味そうに見えるのかなー、いいよねぇ、食べたいよねぇ。
『ビースト・ストーカー/証人』(2008/香港)監督:ダンテ・ラム 出演:ニコラス・ツェー、ニック・チョン、チャン・チンチュー、ミャオ・プゥ、リウ・カイチー
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