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『メリダとおそろしの森』はクマ映画だったクマー

ピクサー映画はそんなに知りません。TVでやってたらみるかな、という程度かもしれぬ。でも、『メリダ』はそのもしゃもしゃした赤毛とスコットランドが舞台、女子が主人公、ということでちょっと観たかったのです。そう、昨年の『ラプンツェル』がよかったな、という印象もあったから、かな。CGだからこそなしえる映像のものすごさってあるやん、と。
そういう意味では今作はスコットランドの自然の表現、これ実写やん!というすばらしいクオリティだったし、やはりメリダのもしゃもしゃ赤毛はものっっっすごかったですね。こういうのはちょっと感動した。実写映画のパキっと決まった構図や映像も監督や撮影の力量というところはあるけれど、言っても“所与の素材”を写し撮ってるわけやん。CGはモデルになるモノはあるとしても、いちから全部人工的に、人間の力でつくりあげてるわけで、それはすごいやん、と。自然をカメラまわせばあっという間に映像として撮れるのに、すごい時間と労力をかけてわざわざ作り上げるってのが*1。そんな労力をつかうモチベーションとしては、好きで好きでしょうがないものを、自分のものにしたくて絵で模写するってのもあるだろうし、実際にあるもの以上にその潜在的なすごさや存在感を絵にすることで再創造するっていう面もあるよな。そういう意味では今作のスタッフはメリダの髪の毛の表現にかけてるな、と思った。ただ、そういう技術力に感嘆する気持ち良さもあるけれど、お話があまりにオーソドックスすぎて、映像のものすごさは、お話の“ふつうさ”をカバーするためかな、と。お話と技術が乗ったシーソーは、技術のほうが重くてお話がちょっと軽い印象だったかな。
そう、お話に“目新しさ”はなかったのよな。ピクサーのくりだした『ウォーリー』はオーソドックスな面もありつつ、変化球も織り交ざっているうえにアイロニーも混ざってるというすごい作品だったし、『トイ・ストーリー』も同様で、そういう路線をちょっと意識してなかったけど、期待していたのかな。飽きないし、キャラも楽しいし、なによりスコットランドのロケーションも好きなのだけど…、とここまで書いてわかった。なにかが足りない感の原因。
カタブツな女王(母)と活発で男勝りの姫様(メリダ)のふたりがとある事件を通過してお互いに分かりあう(歩み寄る)というストーリーだけど、お互いの自立や存在を尊重しあい、自由で“ありのままの自分”であることを認める社会ってええやん、という現代的解決案で、それはたしかに現代において姫様ストーリーをつくるにはそういう結論だろうな、と思うし(変に守旧派なストーリーにしてもアレだわな)、まぁうん、正論だよ、と思うけどあまりに正論かな、というところ。そして、恋愛による成長やストーリーの成就がないのですよね、今作は。それが物足りなさだな。姫様物語であるからにはステキな男性が出てほしい。ラプンツェルのフリンみたいのでもいいし、ナウシカのアスベル(orユパさま)でもいいし。恋愛をキレイに慎重に取り除いてるのに違和感を感じてしまった(あぁ、自分が古い人間ってことですかね)。それに出てくるメリダの夫の候補者がみなアレだったしな。ひたすらメリダだけが目立つ作画だしなぁ。
ただ、予備知識がなかったせいか、あのクマはよかったな。なんというクマ映画なのだ。古き言い伝えにまつわるクマはもうちょっと活躍してほしかったけど(そう、何だか伏線がいまいち生かしきれてない感もあったな)。でも、クマが鮭を取るところとか、食欲が勝った瞬間に抑えがたい野生がぐわぁっと出る瞬間とかよかった。クマ映画としてかなり堪能しました。クマ女王もクマの時の方が表情ゆたかで生き生きしてたし。ぜひ自然のなかのクマを生かした映画をつくってほしいものよな、と思いました。古い典型的プリンセスストーリーでもなく、プリンセスストーリーの現代的解釈にしては、そうきたか!と思わせるほどの目新しさはなく、ちょっと小ぢんまりした印象でしたね。でも安心して親子で観られる感じじゃないかな。
メリダとおそろしの森』(2012/アメリカ)監督:マーク・アンドリュース、ブレンダ・チャップマン
http://www.disney.co.jp/movies/merida/home.html#/trailer
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD19363/index.html

※ちなみに字幕の公開館がほとんどなかった関係で吹替え2Dで観ました。吹替えは主人公はちょっとイマイチだったな。最初のナレーション部分は相当あやうくて、コレは…と思ったけど中盤持ち直した感じでした。
※歌詞の訳詩は字幕で出すべきじゃないかな、と思ってました。
スティーブ・ジョブズに捧げられてました。
※鬼火は完全にもののけでしたね。はい。

*1:これはマンガとかイラストとかにも感じる