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こどもたちの反抗『プロメテウス』

映画

IMAX3Dで観るために数多あった先行上映の機会をスルーし、既に観た方の感想は薄目でやりすごす日々が続いてました。やっと上映開始されたので1時間半以上かけて観に行きましたが、期待通りIMAXで観るかいのある映像満載でしたね。ズゥゥゥゥン、という音響も堪能できましたよ。
冒頭は「2001年宇宙の旅」を彷彿させるような、ネイチャードキュメント・テイストの大自然映像で、そこに、筋肉がムクムクした黒目がちの暗黒舞踏ぽいの人が現れて…地球に生命の種となる有機物やらDNAを撒く、という行動をする。お、おまえが創造主だったのか…!ここはIMAX映えのするシークエンスだったな。黒目がちなあいつのケレン味たっぷりなヴィジュアルの感じもよかった。
で、一挙に時代は未来に飛んで、生命の起源を探求する考古学者が複数の古代壁画にある共通の星のサインを発見したことから、宇宙船でその星へ行き創造主(劇中では“エンジニア”と呼称)に会いに行くことになるわけですが、なぜ星のサインを古代人のみが描いてたの、とか、その古代壁画が一挙に創造主に結びつくのはどうして?*1とか気になるっちゃ気になるが、細かいことは気にしない。宇宙船に乗ってからの展開は、その設定からも『エイリアン』1作目をどうしても想起して、SFホラーの、これから何かがくるぞ感がひしひしと感じられてわくわくするのです。
ここからはノオミ・ラパス演じるエリザベスのリプリーを彷彿とさせる逞しさと、アンドロイドのデヴィッドを演じるマイケル・ファスベンダーの人工物らしく何を見、何考えてるのか計り知れないようなキャラがよかった。『エイリアン』でのいけすかなかったあのアンドロイド(アッシュ)の存在を知ってるから、アンドロイドであるという一点で、デヴィッドはどうにも最初から何かひっかかるように見える効果がありましたね。それだけに中盤からのデヴィッドの行動(コップに指ぽちゃからの展開)も腑に落ちる、というか。デヴィッドは人間、とりわけ創造主である社長に絶対従順であると思われている。ロボットは人間に反旗を翻すことはない。だけど、その禁忌をあっさり破りそうな予兆を、ふとした視線の遣り方や、語調にあらわすファスベンダーの演技はうまいな、と思いました。そして、雰囲気がある俳優さんだな、と改めて。
エンジニアは地球を攻撃すべくエイリアンの卵の大量栽培をしていた。自ら創り出した人類を滅ぼそうとしていたことを知ったノオミさんはなぜ?と叫ぶけど、この構図はデヴィッドのストーリーと重なるように思えてくる。ロボットも経験を蓄積するうちに創造主=人間の思惑を超えた行動をとるようになり、人間は自分をどういう思いで作ったのか、なぜ自分がここに存在しているのかを問うようになり、あまりにぞんざいな扱いだと、やはり不満を抱く*2。そうして「私=デヴィッド」という存在を守るには「自分が創り出したのだから自分がいつでも壊していい」というような権利を持っていると思い込んでいる創造主=人間を倒さねばならない…*3。あのエンジニアに話しかけたときのデヴィッドはウェイランドの社長の翻訳をするふりをして“ねぇねぇえらい人、ぼくに本当にほんもののの心をくれない?”っておねだりしてるみたいに見えたよ。
…人類もいつの日か自分らを脅かす存在になるかもしれない、そんなふうなリスクを感じたエンジニアは地球を先制攻撃しようとしたのか*4、でも、人類殲滅のためのエイリアンの卵栽培で自分たちが危うくなったってことか…となると、エンジニアとエイリアンの関係も親を倒す子の物語で…エリザベスも自分の胎内に宿ったものを殺し…と、何重もの入れ子構造の「親による子殺し」とそれと表裏一体となった「子どもによる親殺し」の物語だったのかー…ってすべて思いつきで書いてますが。
デヴィッドに負けない金髪を持つ小物感漂う美女をシャーリーズ・セロンは安定のクオリティで演じてましたね。サービスショットもあったし−あの腕立てはサービス以外の何ものでもないでしょう。そして見せ場であったノオミさんの手術シーンは「きたこれ、待ってた」という感じだったな。このシーンでリドリー・スコットが監督したエイリアン映画を観てる!という気持ちで満足*5。それにしてもノオミさんが逞しすぎた。お腹をパチパチ留めてもよくあんなに動けるな、と。
あとはドカーン、逃げろー、のシーンもIMAX映えがすごかったし、続編も楽しみですな。うん。なにせ生き残ったのがノオミさんとファスベンダーなんだから。
『プロメテウス』(2012/アメリカ)監督:リドリー・スコット 出演:ノオミ・ラパスマイケル・ファスベンダーシャーリーズ・セロンガイ・ピアースほか
http://www.foxmovies.jp/prometheus/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD21510/index.html


※なつかしさすら覚えるイカ型粘着系エイリアンの造形もダイナミックであった。
※エンジニアは男性/女性の性別なさそうだな。雌雄そろわずとも子孫増やせそう。

*1:ここの論理の飛躍感は雑誌「ムー」っぽいけど、それが今作の雰囲気にあってていい

*2:ロボットだから感情がないはず、だけどファスベンダーの演技はなんらかの感情が伴っているように示唆しているようにしか見えない

*3:だから、星に降り立って創造主探知にでかけたとき、単独行動をとって指示にはなかったエイリアンの卵採取をしたのかな。彼は明らかにあの卵の危険性を察知してたようにしか思えない

*4:自ら産み出したものが、想像をこえ、掌握しきれない存在になっていくという恐怖

*5:このシーンを入れるために多少強引な伏線張りがあったにしてもね