『デンジャラス・ラン』

原題は『SAFE HOUSE』。ライアン・レイノルズ演じるCIA職員のお仕事がSAFE HOUSE KEEPERってところで、そこに移送されてきたデンゼル・ワシントン演じる伝説の元CIA諜報員と予想外の逃走&追跡劇がはじまり、やがて意外な事実が…というお話。
既視感のある設定が多くて、実は一番悪いヤツは意外にも意外な人物で…という設定も、よくある設定ゆえに意外でもなんでもない、ということになってた。ほかの方の感想で「凡作」「普通」という表現がいくつか見られたけど、たしかにそう感じさせるほどの既視感のあるストーリーではあったな。それに最後の最後、ウィキリークスか!ってこれも一昨年くらいならまだしも、今年それをやられると、あぁ…という感じ(映画の企画段階ではかなりフレッシュだったんだろうな)。なんだかんだあったすったもんだあって、悪党?デンゼルが若輩者ライアンに、「お前は俺より善い人間だから」と託したことを、ウィキリークスなお手軽ワンクリックで一挙にひっくり返るってなあ………うぅむ、という感じ。
あと、CIAであることを隠して恋人と付き合い、相手を守るためウソを重ね…ってそれももう見飽きたよ、このくだり全部カットでいいだろう、と思ってしまった。最近、自分はつくづく付け足し感のある恋愛要素がニガテと気づいたので(恋愛映画がキライなわけではない。好きですけど)、こういうのは本当に食傷…。
でもそんなキライな作品というわけじゃなくて、デンゼル・ワシントンがエグゼグティブ・プロデューサーにも名を連ねているだけあった、デンゼルの俺様映画になっていてそれは満足だったのです。若造であるライアン・レイノルズをしれっとした態度で俯瞰して見下ろしているような余裕かましてる表情とか、プロ感を漂わせるオーラとかね。これはデンゼルを愛でる映画なのですね。ただ、当初のマインドコントロールの達人設定をもっと生かしてライアン・レイノルズをガンガン揺さぶってほしかったし、こいついいヤツ?悪いヤツ?というグレーな感じを引っ張ってほしかったな。実は本当に悪いヤツは・・・というのは結構序盤から察することができたような。ただ、南アフリカというロケーションも魅力的でありましたよ。もうすこしその地の利を見せてほしかったような気もするけど、普段舞台になりにくい土地でありつつもかなり危険な地域でもあるらしいことが少し垣間見れてよかった*1
ラストはすごい『ダークナイト・ライジング』と重なるところがあって(デンゼルのガクッ、というののマリオン・コティヤール感とか最後のパリの街角ショットとか)それも既視感のダメ押しでありました。で、今作の続編も作るとか作らないとか話があるみたいですが、やっぱり実はデンゼル死んでなかった…!設定かな(それはないか)
デンジャラス・ラン(2012/アメリカ) 監督:ダニエル・エスピノーサ 出演:デンゼル・ワシントン、ライアン・レイノズ、ヴェラ・ファーミガブレンダン・グリーソンサム・シェパード
http://d-run.jp/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD21548/index.html

*1:南アフリカが舞台の映画って『ツォツィ』くらいしか見たことなかったので