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三大映画祭で観た映画『フィッシュタンク』『イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-』

『フィッシュ・タンク』(2009/イギリス・オランダ)監督:アンドレア・アーノルド 出演:ケイティ・ジャーヴィスマイケル・ファスベンダー、キルストン・ウェアリング

思春期の女子。厄介厄介厄介。その厄介の中でも極めつきの厄介な女子が主人公。ヒリヒリするような痛々しさ。おそらく生活保護を受けているだろう母子家庭。貧しさと団地の窮屈な環境。おなじような子どもや貧しい人々のぎゅぅっと濃縮されたような環境。出口がないようで苦しいくるしい。息苦しい水槽の中のよう。ここから外へ出たい、外のにおいのするものに惹かれる。好きなダンスをしているときだけは、水槽の中とはいえ一瞬ちがう世界に身を置いているよう。母の新しい恋人もなにか外への道に通じている人のように感じる。…まぁ、それもこれもうまくいかないし、うわべだけだったりするのだけどな。とくに母の新しい恋人=マイケル・ファスベンダー演じるコナーの最低男っぷりはよかったね。ファスベンダーが演じるナチュラルモテ感は、ブラッドリー・クーパーが演じてもいいかも、とちょっと思った。なんとなく共通するのは女にダラしない、いい加減なヤツだけど、モテるってこと。このなぜかモテる術を学べる映画かもしれぬ…けど、これ自然体ナチュラルにやってのけるところが、生来の性質かもしれぬよね。あとはツンデレ妹ちゃんやダメな母ちゃん(きっと男で失敗続きにちがいない)とのダンスシーンはすばらしい。『ルルドの泉で』にしても『コンテイジョン』にしてもダンスシーンで終わる映画はなかなかに印象深いものがあるのです。気まずかったり、話をすれば言い合い、罵り合いになってしまいそう。そこをあのダンスによって、コトバは無しで、感情の交流や発露が描かれる感じがするのだな。彼女らの行く末は輝かしくは思えない、また失敗やうまくいかずに転がるのかもしれぬ、という感じはするけど、すこし成長した彼女を確認できて、暗さだけではないラストにすこし希望を見た気持ちがしました。

『イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-』(2008/イタリア・フランス)監督:パオロ・ソレンティーノ 出演:トニ・セルヴィッロ、フラヴィオ・ブッチ、アンナ・ボナイウート

これは…眠かったよ。同じ監督の『きっと、ここが帰る場所』と同じ感想であります。音楽とか凝った編集とか…や、センスはあるのでしょうが、まったくついていけなかった。『きっと』と同じく誰か自分にこの映画について説明してほしいな。あと、映画全体にPVみたいだな、という感じ。きっとイタリア政治界に詳しい人はおもしろいと思います。ちなみに顔のクローズアップがやたら多くて、まるで顔芸映画だな、と思ったのですが、この魔王と呼ばれた男、実在の人物だけど写真みたらものすごく似ていて、そういう意味でも顔芸映画だな、と感じたりもしたのでした。