最近観た映画『エージェント・マロリー』『俺たちサボテン・アミーゴ』

『エージェント・マロリー』(2012/アメリカ)監督:スティーブン・ソダーバーグ 出演:ジーナ・カラーノユアン・マクレガーマイケル・ファスベンダーマイケル・ダグラスチャニング・テイタムアントニオ・バンデラスビル・パクストンマチュー・カソヴィッツ
マロリー無双。それは最初からわかりきっていて、彼女はチェスや将棋の名人と同様、何手も先を読んで行動できる人だから、最終的に勝つのはこの人でまちがいなし。強い女が男を倒していく、のしていく。これこそが醍醐味。しかも恋要素もあったりするし、モテるし、強いし、賢いし、最高じゃないですか。
でも今作が成立するために真に魅力がなければならなかったのは、やられ役の男性陣であった。ユアン君の安定のへにゃっとした優柔不断っぽい感じ。でも憎み切れないへにゃ感(『人生はビギナーズ』とかでも顕著だったキャラ)。マイケル・ファスベンダーのスーツでパッキリ決まっているのに、三角締めで顔は膨張して真っ赤、髪の毛ぼさぼさ、これがファス?と思うほどの熱演にきゅんと来る方は多かったでしょう。そして若造っぽく翻弄されながらも純な感じが可愛らしいテイラー・キッチュのマッチョボディ。アントニオ・バンデラス安定のたくらみおっさん顔(あとで痛い目にあうんだろうな、というフラグたちまくり)。マイケル・ダグラスの重鎮感。
マロリーちゃん演じるジーナ・カラーノミシェル・ロドリゲスを彷彿とさせる三白眼やさすがの身のこなしやキックの速さもいいんだけど、ソダーバーグ映画おなじみの脇の奇妙なまでの豪華キャストあってこそマロリーちゃん無双が引き立つし、無双な強さも許されるわけだよな、と思いましたよ。あと音楽や編集がまぎれもないソダーバーグ風味で、ソダーバーグ映画観た!って気分になったな。

『俺たちサボテン・アミーゴ』(2012/アメリカ)監督:マット・ピードモント 出演:ウィル・フェレルガエル・ガルシア・ベルナルディエゴ・ルナ
ラテンビート・フィルム・フェスティバルで観ました。ウィル・フェレルガエル・ガルシア・ベルナル(正確な名前がなかなか覚えられぬ)が出るということで観に行ってみた。OPから、なんかちょっとアレな感じが気になるな、という感じだったのだけど、全編アレだったなぁ…アレ、というのは、狙ってる、ということがわかりすぎるほどわかる“画質のいいグラインドハウス感”。ただじぃっとこちらを見つめるだけで笑わせるウィル・フェレルの顔面力も楽しいし、微妙な間合いでおかしみを醸し出す雰囲気とか、わざとらしいセットや着ぐるみなど、パーツパーツは面白いんだけど、わかってる人だけに通じればいいよ、という内輪ノリ止まりというような。『俺たち』を冠するのではなく、グラインドハウス好きな層に訴求する感じで打っていけばいいんじゃないかなぁ、と思ったりもした(来年の日本公開が決まってるようですが)。ウィル・フェレルのスペイン語がすごい流暢だし、途中のミュージカルパートなどすごい芸達者だったな。あと、ガエル・ガルシア・ベルナルのネイティブなスペイン語演技は生き生きしてたな。色彩もキレイだし、グラインドハウスとかウィル・フェレル好きな方はどうぞ。