『ザ・レイド』

格闘技には疎いですが、かっこいいアクションは好きです。アクション映画でとりわけ好きなポイントは、超高速パンチや足技、身体能力の高さを見られるところです。すごい!真似したくなる!習いたい!と思わせてくれるようなものが好きで、ドニー・イェンジェット・リーもそういう動きを見せてくれるので尊敬しています。ドニーの『導火線』は、そういった身体能力的意味で、とりわけ好きだなぁ(お話はアレとか言われてますけど)。
さて、『ザ・レイド』はインドネシアのシラットという格闘技がすごい、ということで観に行ってまいりました。お話はあってないようなもの。銃器もたっぷり出てきますが、フィーチャーされているのは、刃物や生身の格闘。あと部屋にあるものや家具などを生かした実践的アクション。これがすごい。一番おどろいて声が出たのは、木の扉が壊れてグサグサになってるところに、敵を引っ張ってきて敵の首をガコン、とグサグサの木のところに押し付けて血がブシャーとなるところ。ひへぁ…。ナイフをつかっても、刺したら必ず横にグイっと動かして裂くのだな。ほら、あの切腹と同じ原理で。いたたたた。
撮り方が現代な感じでかっこよかったですね。あとは真っ暗ななかで銃撃の閃光で相手の位置確認とか、スナイパーの仕事っぷりとか、ベタだけどおもしろい。ストーリーはある意味予想の範囲内で、ひたすらアクションに特化したのはいさぎよかったですね。裏を返せば、あまり駆け引きとかの繊細さはないということになるけど。こどもをもっと使うとか、いろいろ工夫の凝らしようはあったろうけど。あと、あのマジメ親子があの極悪マンションに住んでるのはナゾすぎる。絶対裏の設定があると思ったのに、そこはヒネリなしかい、とは思った。
上層階に上がってボスに迫る、とか、小部屋に入ってからの戦闘、とか、かなりゲームっぽかったな。でも今作のハイライトはあのちっさい超つよいおっさんことマッドドッグですな。びっくりした。道具はイラネ、ボディーで勝負な、という闘いの欲望にとりつかれた狂犬*1。二人を相手に戦うも、二人がかりでもかなりの優勢だったマッドドッグがまちがいなく最強。蛍光灯のアレとかすごかったね。ヴィジュアル的にも。ラストカットも決まった男映画…うん、ある意味男と男がボディを武器にして一戦を交えまくる/いちゃいちゃしまくってる映画でありましたな。しかし痛そうだった。リンキンのマイク・シノダの音楽もよかったね。
ザ・レイド(2011/インドネシア)監督:ギャレス・エバンス 出演:イコ・ウワイス、ヤヤン・ルヒアン、 ジョー・タスリム
http://www.theraid.jp/index.html
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD21016/index.html

*1:銃をお手軽ファストフードに例えるくだり!