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All You Need Is Love『LOOPER/ルーパー』

前評判が高かったし町山さんの昨年ベストでもあった今作。さてどんなのものかな、と初日に行きましたよ。ネタバレあり感想。
設定は近未来。ID管理や追跡が厳重になったため、死体処理の困難な未来から非合法にタイムループをつかって送り込まれる人物をルーパーとよばれる輩が殺して処理する。未来の悪党組織から送り込まれる人物に銀の延べ棒がくくりつけられており、それが報酬。これが金の延べ棒であったとき、それは30年後の自分を始末したことを意味する。これすなわちループを閉じる行為なり、ここをもってルーパー稼業も終了で、30年の余命を生きるわけだ。でも、JGL演じるジョーの30年後のジョー=ブルース・ウィリスは、若い頃の自分が納得し承認していたルーパーというシステムを根本から覆すべくタイムループしてくる。30年後の未来を牛耳り、ルーパーのシステムを創った悪党組織のナゾのカリスマ、レインメーカーを抹殺しに。
SFアクションかと思いきや、違いましたね。や、当然その要素はあるのだけど、今作はメッセージ・ムービーでした。この想い届け!という強いメッセージ

憎しみのループは愛で断ち切れ
タイムパラドックスは結構なもので、それを中盤のウィリスのセリフ「もう聞くな、まぁ、とにかく複雑なんだよ!」で片づけるとは、思い切ったな!でもそれでますます確かになった。細かいことは気にするな…だってこれはメッセージ重視ムービーだからな!と。
まさかの超能力設定炸裂。これは『AKIRA』『童夢』などからも繰り返されてきたテーマ「強大な力を得てしまった者が負う責任」問題。能力を得た者はそれをmanageする能力があるのか?それはその者の資質や人間性による。や、伝説の聖剣も指輪もそうだわな。強大な権力を所有する者に、それを有する資格/権利はあるのか。
その力を悪用しないよう、資質や人間性を善きものにするには“愛”が必要、“愛”だけがそれを可能にする。そして憎しみの連鎖を断つのも、人だけがなしうる、と。それはセンチメンタルだけど、きっと真理。キリスト曰く「汝の敵を愛せよ」。そしてわが身を滅して平和のために尽くせ、と。いやぁ、世の中キレイごとだけではないだろ。とんでもない悪意とか理由なき暴力とかあるよ…でも人は人を信じたい、愛せばその愛がいつか伝わると信じたい。そんなささやかな願いの集積がなければ、世界は善き方向へは進まないじゃないか、という思いもある。
画的にグッとくるところがあって、それはトモロコシ畑のシーン。広大に広がるトウモロコシ畑、そこは日々の糧を生み出す畑であるし、身を隠すところでもあり、味方になってくれる者が現れもするし、敵もやってくるところ。そのトウモロコシ畑で迎えるクライマックスの超能力暴発シーンはうつくしかった。愛してるから、大丈夫と言い続けるエミリー・ブラントの表情もよかった。あと『少年は残酷な弓を射る』のケヴィンを思いこさせるあのチビッコの表情もすごかった(ちょっとオーバーアクトも込みで)。
正直、中盤の展開や強引な伏線や設定も気にはなる。でも、トウモロコシ畑と愛こそすべてな気恥ずかしいほどのストレートなメッセージは、『ミッション:8ミニッツ』をちょっと思い出したりもしまして、そんなところが愛おしい映画でした。あ、安定のヘタレ/ポール・ダノよかった、あと小悪党役のノア・セガンも。
LOOPER/ルーパー』(2012/アメリカ)監督:ライアン・ジョンソン 出演:ブルース・ウィリス、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、エミリー・ブラントポール・ダノ、ノア・セガ
http://looper.gaga.ne.jp/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD22639/index.html

JGLは似せようとがんばっていたけど、ウィリスさんが向き合った場面では頭の大きさが違いすぎたね。