『バチェロレッテ―あの子が結婚するなんて!―』(動揺するキルステン)

キルステン演じるレーガンは完璧なはずだった…のに。ブタちゃんみたいなベッキーがイケメンと結婚とは…!ブライズメイドとして高校のときのBeeグループが集まる。高校の人気者目立つグループだったほかのメンバーは…ケイティはくたびれた洋服売り場の売り子に、ジェナは誰とでも寝ちゃうLA在住眼ばっかりぎょろぎょろした下ネタ全開の女性(ふたりともにドラッグ依存気味)になってた。ひとりレーガンキルステン・ダンスト)は大学も出て、小児がんの子供のケアという“社会的に立派なキャリア”を有し、研修医のボーイフレンドもいる完璧なハズ…なのに、結婚できる気配すらないことで、完璧さが濁ってきたような焦りを感じていた。その矢先の(自分より劣っているハズの)友人の結婚…。さぁ、結婚式前日、独身最後の夜。それが、史上最悪の長い夜のはじまりだったのです…(アレなんかこれどっかで観たような)
きっと今作を観た人は『ブライズメイズ*1を連想するだろうな。自分は『ブライズメイズ』は結構痛々しくて笑えない感じだったけど、こちらのドタバタのほうが笑えて、でもちょっと感動、というか心に素直に響くところがあったよ。
ドラッグジャンキーの洋服売り子のケイティにはイライラしたなぁ…てことは上手いのよな。ルックスのちょっと隙がありそうな感じとかもちょうどいいのよな。ぴったり。ジェナの奔放なのようあ実はナイーブ…って部分もうまかった。そして、完璧なハズのキルステンが複雑な心境を隠しつつも、完璧な「親友のベストフレンド」を演じようとし、そうして混乱やトラブルを経験して、親友の「素直にいいところ」をきちんと認められるようになる、というところもよかったよ。過去の輝いていた頃に囚われていた自分から、やっと(少し)自由になれる…モラトリアムを抜けたような感じ。やっとここから始まる、っていう。ブタちゃんとバカにされてた高校時代のベッキーレーガンが言ってた言葉「他人は気にするな!」をやっと心の入った言葉として自ずから発することができた瞬間だよな。「他人は気にするな、さぁ行け!」
キルステンは誰か素敵な男性と出会ってハッピーにキスをして終了、ってエンディングじゃないのがいいと思う。ほかのふたりはそれなりに相手が見つかる(再会する)体になってるんだけどね。キルステンはやっと自分を飾りたてるような肩書きや体裁から自由になれること=自立することがハッピーエンディングなんだよね。
しかしジェナの元カレが未だ実家でお母さんと暮らしてるという“家庭感”とか、ハイスクール時代の思い出の曲が入ってるのがカセットテープだったり、なつかしのラジカセが出てきたり…このあたりの感じは『ヤング≒アダルト』とあの劇中でフィーチャーされてたティーンエイジ・ファンクラブの曲使いとかも思い出したね。さぁ、この映画を観たらこの曲を聴きたくなるはず↓

『バチェロレッテ』(2012/アメリカ)監督:レスリー・ヘッドランド 出演:キルステン・ダンストアイラ・フィッシャー、リジー・キャプラン
http://bachelorette.gaga.ne.jp/
http://eiga.com/movie/58011/

※製作がウィル・フェレルなのか。
※あと、昨年の『おとなのけんか』には敵わないけど、なかなかの本気のリバース映画でもありました。

*1:公開時女性版『ハングオーバー!』という宣伝のされ方だった