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初恋の記憶『グッバイ・ファーストラブ』(フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ)

映画

フレンチ・フィーメイル・ニューウェーブ特集上映の一本『グッバイ・ファーストラブ』を観ましたよ。
観終えて、このタイトルどうなんだろ、と思いましたが原題は『un amour de jeunesse』でgoogle先生に英語に訳してもらうと“young love”と出てきた。なるほど、それならしっくりくる。
十代の若い若い恋。主人公の女の子(カミーユ)は世界のほとんど、もしくは生きている基盤の重要すぎるパーツを恋人(シュリヴァン)が担っていると信じている。彼の存在なしに自分は生きられないとすら思いつめるような恋に囚われている。ベッドでじゃれあい、まじわり、とけあってしまいたい、と彼女は思ってる。なのに、彼は自分探しの旅に南米に旅立ち、手紙が届くインターバルも長くなり、とうとう彼女は「彼のいない人生」を送らねばならないということを、葛藤し、自殺未遂までしたあげく、諦めたかのように受け入れる。その空洞は大きくて、埋められない。彼女は洞を抱えて生きていく。
だから大学で建築を志し、先生であり建築家である年上の男性と、なんとなく惹かれあい、交わす眼差しが特別な親密さをもとめる意味を持つことを意識して、寄り添い、自然なながれで付き合うようになって、同棲しはじめて公然とカップルになっても、あの、身を焦がすような若い恋の対象であった彼につながる縁/彼の母に偶然出会ったとき、彼の縁を手繰り寄せるように連絡先を渡すよう頼むわけで。
彼(シュリヴァン)と再会し、10代の頃の、愛や恋だけで胸もお腹もあたまもいっぱいで満たされてしまい、それ以外のことの価値は二の次になるようなあやうい状態になるのに時間はかからない。夫がいない間に、彼を家に招き入れる…って、ありえないでしょう。彼女は心のどこかで、夫にバレてもしようがない、そうなったらそうなったで夫との関係は破綻しても…なんてことを思ってるようだ。でも、彼と過ごす時間は「生活」じゃない。きっとそれは非日常な、地面から数センチ浮いたような世界。それが彼とお金やら生活やら考える地面に降りて生活を共にするとなると、きっとうまくいかないのでは。シュリヴァンが相手になったとたん彼女は十代の頃のような心になってしまう。「恋」は「若者の恋」のまま、シュリヴァンを対象とする恋は「成熟/成長しない」みたい。
だから彼はぽろぽろと涙をこぼし、彼女も涙をぽろぽろこぼし、こどもの恋人同士のように「どうしてこんなに好きなのに別れなきゃならないのかな。好きだから別れなきゃならないのかな」と理不尽だか運命の不幸を嘆きつつ違う人生を歩むことを選択する。ラスト、うつくしい川で泳ぐうつくしい肢体を持つ彼女のすがた*1。惜しげもなく裸体をさらすところや、服を脱いだら下着をつけてないところや、無造作感たっぷりながら、めちゃめちゃオシャレな服装など、いかにもフランスらしい雰囲気たっぷりの映画。堪能しました。主役のローラ・クレトンがとてもキュート。白い長いマフラーをさりげなく巻くだけで、また、さらりとワンピースをまとうだけでとてもキュート。それがあのモサっとした男の子に惚れるってね、それもまたフランス映画っぽいのな*2
『グッバイ・ファーストラブ』(2010/フランス) 監督:ミア・ハンセン=ラブ 出演:ローラ・クレトン、セバスティアン・ウルゼンドフスキー、マーニュ=ハーバード・ブレックほか
http://mermaidfilms.co.jp/ffnw/goodbyefirstlove.html
http://eiga.com/movie/78005/

*1:昨年観たセシル・ドゥ・フランスの主演していた『ある秘密』もフランスの川がうつくしかったこと思い出した

*2:汚れた血』のドニ・ラヴァンがモテモテなのにも納得いかなかったことを思い出した