この肉体を、ダンスのキレを観よ!『マジック・マイク』

・お話はベタでストレート。ソダーバーグぽいヒネた感じが薄くてシンプルな話運び。しかし、なかなか顔や名前が覚えられなかったチャニング・テイタムが何故最近いろんな映画で主役を張ってる役者なのかがわかった映画(やっとスター性がわかったような)。テイタムあってこその映画だなぁ、と。彼の肉体及びそのダンスのキレ!特に最初のショーのシーンは、気持ちがグッとあがった、アガった、本当に。高揚感がハンパではないのです。生身の肉体とその身体能力の発露っぷりをドヤァっと見せつけられるだけで、すばらしいエンターテイメントになるのですな。
・マコノヒーの役(ダラス)は、一時期日本で流行った水商売ドキュメンタリーの「ホストクラブもの」に出てきた「オレの夢は自分のクラブ持つことっす。いつまでもNo.1でいつづけられないだろうし」と言ってたホストが「オレの夢のホスト・クラブ開店したっす、結構軌道に乗ってるんすよ。そう、もう開店してしばらく経ちますけど、いよいよ新宿に進出しようかなって考えてるんすよ」という感じぽいなぁ、と思った。
・テイタムが車の内装に貼られたビニールをそのままにしてて、はがそうとする若造アダムに「おぃ、はがすなよ!これ売るとき新車として売るんだから」というところでほんわかした気持ちに。(この子、ちょっとアホの子か?と…)
・テイタムが低金利融資を受けに行く場面でメガネかけてるのが、「インテリっぽいイメージ演出するのに、メガネ*1って」とさらにほんわかした気持ちに。
・あとテイタムが低金利融資断られたときに「オレ新聞読んでるんすよ」というところでも、またまたもっとほんわかした気持ちに。
・なぜ黄砂でも飛んでるみたいに画面が黄色いのか。それがソダーバーグ色*2
・コディ・ホーン(アダムの姉さん役)はずーっと不服そうな唇の形をしてたな。なんだかね。
・前に観た、ワイズマンのドキュメンタリー『クレイジーホース・パリ』も思い出しました。プロフェッショナルのお仕事感とか体が資本!というところ。
・さんざんテイタムすごいぃぃ、とそのダンスや肉体に惚れ惚れしつつも、最後めっちゃ美味しいとこもっていくのはマコノヒーってのもまたいいよね。一癖もふた癖もある感じ。あの信頼できない感じが、やっぱ安い水商売ドキュメンタリーに出てくる「元カリスマホスト」っぽいのよな。いやぁ、いいよ。で、エンドロールで自作自演曲までやってさ、ほんとおいしいな。
・きっとあのラストのテイタムはその後、瓦葺職人としてほそぼそと地元でやっていく。で、あの姉さんと結婚して、家庭をもち、カーステで湘南乃風流しながら海に遊びに行くにちがいないと思いましたが、どうかしらん。

マジック・マイク』(2012/アメリカ)監督:スティーブン・ソダーバーグ 出演:チャニング・テイタムアレックス・ペティファーマシュー・マコノヒー、コディ・ホーン、オリビア・マン、マット・ボマーケビン・ナッシュ、アダム・ロドリゲス
http://magic-mike.jp/
http://eiga.com/movie/77233/

*1:地味め銀縁だったかな

*2:監督自身あえて太陽の黄色っぽさを表現するためにあの色調を採用した、と言ってますね