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『ゴジラ』をみたよ

久々です。『ゴジラ』を最近観たのでさっくり感想書いておこうかと。ちなみに自分は、怪獣映画についてはこどもの頃にドラえもん映画とかとの併映で『モスラ』を観たっけ、とか、あとは、円谷プロもの(ウルトラマンシリーズとか)はこどもの頃TVで普通に観てたよな、という程度のものです。完全ネタバレしてます(『モンスターズ/地球外生命体』のネタバレもあり)。
初代『ゴジラ』は先日TOHO系でやった特別興業で観ました(初見)、かなりシリアスな展開と主役とクレジットされている宝田明の役の軽さに驚いた。芹沢教授こそ真にドラマの主役じゃん!同行者(怪獣映画大好き者)に話すと宝田明はあくまで狂言回しだからああいうのでいいのだ、と。なるほど、ゴジラという怪獣自体が超自然=不自然の極みで、それをストーリーとしてなんらか展開させるには人間がドラマ部分というか「あらすじ」を紡ぎだす狂言回しをするしかないわけで。あくまで怪獣、ゴジラこそが主役として立たねばならないからね。宝田明はそういう意味で重要でいわゆる“空虚な中心”なのか、はてさて。
さて、TVでやってた『VSデストロイア』も観たし(ゴジラジュニアかわいかった。デストロイアがギーガーのエイリアンの影響受けすぎだった)、ギャレス・エドワーズ監督の前作『モンスターズ/地球外生命体』もBDで観てちょっと予習をした。さてさて最新『ゴジラ』はいかに、と足を運びました。
観てる最中から『モンターズ/地球外生命体』イズムが溢れすぎてる!と驚き。『モンスターズ』は低予算で撮られたせいか怪獣がほとんど現れないで、ほぼ人間ドラマになってる。そして、やっと現れたモンスターが最後に雄雌交尾して、そのモンスターの生物的交尾になぜか人間も感化されるというものすごいオチだったんですが、ギャレス版『ゴジラ』もそういう展開じゃないか!雌雄のムートーが交尾するために呼び合う、というのがお話の柱なんですよね。よほど、このネタ好きだな。
そんな赤い糸伝説はいいんだけど、怪獣がそれやると地球に住まうほかの皆に迷惑かかるからダメだよ、と登場するのが今作のゴジラで、和を乱すものを平定する者という立場です(謙さんによるわかりやすい説明セリフ*1まである)。そういう意味では初代ゴジラと全然性格が違ってて、初代ゴジラのように「訳の分からない超自然」という存在じゃないのだよな。初代ゴジラは台風のような自然災害のメタファーもあるし、人間よりはるかに巨大で凶暴で、恐怖の対象であり、人の暮らしを脅かす、訳のわからない、人知を超えた存在。対して、今作のゴジラはどこか「父なる神」的イメージがぼんやりと…創造主が地球の平和を乱すものに怒って現れたような感じで。また、「父」的存在という意味ではアーロン・ジョンソン演じるフォードの父は物語序盤で死んでしまうのだけど、ラスト近くにおいてフォードは亡き父の父性をゴジラに見出す感じがあったような。フォードは生前ほとんど父を理解しようとしなかったという後悔がある。雄ムートーをなんとかやっつけたゴジラが倒れ伏した時、ゴジラとフォードの目が合って、ゴジラはかすかに目尻に笑みを浮かべ*2、「オレが犠牲になる…わが息子よ、これで、いいんだ、お前はお前の家族を守れ」と言わんばかりにおだやかに目を閉じた…そうやってアーロンの父に対する後悔の念を癒す、といったようにフォードが主役のサイドストーリーのオチをつけたかのような*3
そういや、せっかく産んだ卵を焼き尽くされてムギャーとなった雌ムートーが、フォードを見つけたとき「 お ま え が 我 が 子 を 殺 し た な 」という感じで睨みつけて「この恨みはらさでおくべきかー」的表情したのも面白かった。結構人間的なんだよね、今作の怪獣たち。あと、この卵のくだりは『エイリアン』思い出したりした。
今作における「空虚な中心」=フォードが移動する先々に災厄がやってくるという展開でつっこみどころ満載すぎなんだけど、いちいちこまかい指摘はしてもしようがないので。
よかったのは、やはり莫大な予算のかかったCGは本当にすごかった。すばらしい。本編上映前に『寄生獣』予告を観たんだけど、それとの差を痛感…これは超えがたい高くて大きな壁がありますな。あとゴジラの咆哮もすごい迫力で素晴らしかった。オリジナルのゴジラに敬意をはらってコントラバスを使ってて、これが紛れもない「ゴジラ」感を醸し出す。あとは対ムートー戦。雌ムートーとの見合ってからの立ち会いでがっぷり四つか、という相撲からの、「あーっ、ロープを超えてもう一人援軍が入りました、1対2、これは反則!卑怯です!」という感じのプロレス戦へのなだれこみ。ここをもっと観たかったな。あと印象的だったのは、フォードが決死のミッションのため上空から落下するシーンの画の美しいこと。最後に、エリザベス・オルセンはやっぱりいいな、と。
去年の『パシフィック・リム』といい、『ゴジラ』といいこれからもハリウッドで怪獣ものが作られていくんだろうし、それは楽しみにしたいな。CGの技術が進むにつれ、かえってアナログな人間的な要素を取り込もうとする流れ*4があるというのがおもしろいし興味深いですね。

モンスターズ / 地球外生命体 [Blu-ray]

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*1:ゴジラはバランスを取り戻そうとしている

*2:と自分には感じられた

*3:穿ちすぎですね、はい。こうだったら面白いな、と

*4:今作のゴジラについて町山氏の解説によると、中の人=アンディ・サーキスに着ぐるみ的動きをするよう演出があったとか