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いまそこにある夫婦の危機『さざなみ』

先日『さざなみ』を観たんですがね、これがすばらしかった。無邪気(悪くいうとアホ)な夫の言動に対する、妻本人すら意識していないレベルで心の奥底の心情なり本音が、ふと表情にあらわれる瞬間(その素の表情の恐ろしさったら、ない)をとらえまくった真に恐ろしいすばらしい映画なのです。監督インタビュー記事

『さざなみ』ヘイ監督「ゲイの僕が“誰かと繋がりたい心”を理解する際の問題を描いた」|結婚45年の夫婦の危機をアカデミー賞ノミネートのシャーロット・ランプリングが演じる - 骰子の眼 - webDICE

『さざなみ』:愛の深さは歳月で測れるのかアンドリュー・ヘイ監督インタビュー|ANTENNA -Culture-|.fatale|fatale.honeyee.com

をみても、「ホラー」という単語が出てきた。まさにこの映画はホラーといってもいいくらいじわじわと見る者にせまって、こちらの感情を揺さぶる。シャーロット・ランプリングが名演すぎてこわかったです。ラストも、これはこうなるよな、と納得がいく。それまでの積み重ねがあるからね。

なにげない会話に含まれた意図。会話において、嘘をついてくれてもいいから、うわべだけでもいいから、とこちらが期待した答えを裏切るような答えが無邪気なまでに無頓着に返ってきたときに感じる断絶というかちいさな絶望。その積み重ねがどんどん追い詰めていく。妻の心は不審と闇に覆われていく~もうランプリングのライフはゼロよ!それまで45年の積み重ねがあろうと、砂上の楼閣のごとくガラガラと崩れ果て、遺跡のように残った土台にもはや新たな関係を築くことなんてムリムリ不可能。その詳細はぜひ映画本編を観て味わってほしいところです。

こういうホラーとしかいいようのない夫婦関係の危機映画といえば、昨年観た『フレンチアルプスで起きたこと』もそうでした。夫婦以外の第三者が入るシーンや全く関係なさそうなシーンもすべてが夫婦関係の危機を感じさせるというのがよくできてるなぁと感銘をうける映画の特徴ですね。最も人間に影響をあたえるだろう”家族関係の土台がゆらぐようなこと”は、他の関係なさそうな日常にも物凄く影響を与えるものなので。あと夫が不都合なことは認めない、自分はあくまで悪くない、とかたくなになるところも共通してるな。

どちらの映画にもいえるのは「夫は自分のなにが悪かったか(妻に対して良くなかった、不誠実だったか)が分かってないし、これからもきっとわからない」ということです。口では謝っても、心底はわかってねぇなぁ、ということが妻にはバレバレなのだ。だから絶望する。これまでのすべて、しあわせだったことすら反転する。『さざなみ』の夫婦も、『フレンチアルプスで起きたこと』の夫婦もこの先どうなったんだろう、というエンディングの余韻がずっと後を引く。こういう「観終わっていろいろ考えちゃったり、あのあとの物語はどうなったんだろうな、とか考えちゃう」映画はいいですね。それにしてもあのダンナ本当救いがたいな。


アカデミー賞主演女優賞ノミネート!『さざなみ』予告編

 

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筋肉映画ぼんやりベスト10

映画

今回のワッシュさんのお題。自分にはムリかなと思いつつも、筋肉へのアンテナの低い自分なりに10選してみました。ぼんやりした筋肉映画10選です。以下順不同。

 

・『CUT』西島秀俊

・『アジョシ』ウォンビン

・『激戦  ハート・オブ・ファイト』ニック・チョン

・『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』クリス・エヴァンス

・『REDリターンズイ・ビョンホン

・『マジック・マイクチャニング・テイタム

・『ターミネーター』アーノルド・シュワルツネッガー

・『クリフハンガーシルベスター・スタローン

・『ロッキー4/炎の友情』ドルフ・ラングレン

・『ブロンソントム・ハーディ

 

以下一言コメントを

・『CUT』西島秀俊

かなりヘンテコな映画だけど場面場面が印象的で映像がふっと頭に浮かぶ…ということはいい映画なんじゃないかな、と思ってる。殴られ屋の西島君が殴られまくってボロボロの体を横たえてるシーンがかなり印象的。上半身裸なんだけど異様なまでに絞られた体でね。

 

・『アジョシ』ウォンビン

これは我々と同種の人間という種族に属すると思えないほどのかっこよさをたたえたウォンビンに尽きます。上半身裸で戦闘モードに入るべく鏡を前に髪を切る…(適当に切ってるはずなのに超絶かっこよくなる)、その鍛えられた筋肉質な体がまたかっこいいというかっこよさしかない映画。

 

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・『激戦  ハート・オブ・ファイト』ニック・チョン

総合格闘技映画です。ニック・チョンのやりすぎトレーニングで異様なまでに筋肉がモリモリした肉体とすごいトレーニングシーンの合間に挟まれる子どもを相手に戯れるニック・チョンのゆるふわが見どころ。エディ・ポンやいつもどおり不憫な役どころのアンディ・オンの肉体もすごいですよ。

 

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・『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』クリス・エヴァンス

貧弱な男の子が科学の力で増強筋肉のボディを手に入れるのですが、あまりのむちむちした筋肉にCGで足してるのかと思ったほど。

 

 

・『REDリターンズイ・ビョンホン

イ・ビョンホンの肉体が堪能できる謎のサービスシーンがちゃんとあります。そこしか覚えてないくらい…

 

 

・『マジック・マイクチャニング・テイタム

チャニング・テイタムがアメリカで人気のある理由がわかったなぁ。『フォックスキャッチャー』でもいい裸体をさらしてましたが、やはりこちらで。でもこの映画で最終的においしいとこもってったのはマシュー・マコノヒーではあるんですが…

 

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・『ターミネーター』アーノルド・シュワルツネッガー

ゆうてもシュワさんは外せない。『コマンドー』と迷いましたがこちらで。

 

 

・『クリフハンガーシルベスター・スタローン

はやりスタさんもはずせない。

 

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・『ロッキー4/炎の友情』ドルフ・ラングレン

スタさんのロッキーシリーズではあるのですが、この4でのドラゴ(=ドルフ・ラングレン)が印象的。まさにロボットのような完成された肉体がすごかった。

 

 

・『ブロンソントム・ハーディ

トム・ハーディも本当役者バカ。役作り=体作りがすごい。『裏切のサーカス』や『オン・ザ・ハイウェイ』『嵐が丘』(これはテレビ映画ですが)など繊細な演技力を求められる役もこなすけれど、肉体改造もいとわない、本当に素晴らしい役者でこれからも観続けたいと思う。『ブロンソン』もおすすめですよ。

 

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2016年4月の日常日記

日常 映画

全く疲れたな。年度替わりのこの時期は例年大変多忙で精神的にも来るのだが、数年に一度、この4月頃にひどいアレルギー症状が出て相当ひどい状態になる。ふと気づいたのだが、花粉症をこじらせて熱もあがり、体がガチガチに固まり、頭もガンガン痛み、喉も鼻も目も耳もつらい状態になる、というこれ、だいたい転勤やら配置換えのタイミングで出てるな。プレッシャーやら、知らない顔や知らない人間関係にぽいっと放り込まれ、山のような仕事をこなす、というのが、この病の原因だと気付いた。

しかし歳を経るごとに、この症状がひどくなってて、もう全然若くはないんだ、これからどんどんキツくなるんだろうな、と暗澹たる気持ちに。神様メール*1がきたら、それにあわせて人生設計して貯金できたら仕事辞めちゃうのになぁ、とくだくだと思ったりする春という季節です。

そんな絶賛体調悪化中のなか、厳選してどうしても観たい映画を観に行った。昨日は『ボーダーライン』今日は『ルーム』だ。『ボーダーライン』は自分が全然知らなかった世界を見せてくれる立派なエンターテイメント作品でありつつ、ロジャー・ディーキンスの美しく迫力と冷静さを兼ね備えた撮影とヨハン・ヨハンソンによる緊張感漲るスコアに圧倒された。これは年間ベスト級になりそうな予感。エミリー・ブラントの美しさ、強さ、弱さをあらわす繊細な演技、ベニチオ・デル・トロの存在感などに「おもしろかった!」というようり「すごかった」、という感想が口をついて出ました。最後に黒地に白文字で「SICARIO」のタイトルが出るのだが、その言葉の意味がズドンと響きました。

『ルーム』はTOHOなんば1番スクリーンで。ブリー・ラーソンはオスカーを獲得したのを知っていたけれど、子役の演技がやっぱりすごくて。彼が素晴らしいから作品のステージがいっこあがってる、という感じがした。最初にジャックを保護した女性警察官がやさしく質問をしてなるべく記憶が新鮮なうちに情報を引き出そうとするくだりがすごくて、たった数語のヒントから「わかった!」と犯人宅を特定していくところで「彼女は神か」と思いました。解放までのスリル、そして自由になったあとの苦しみ。人生に、日常におわりはない、物語のようにハッピーエンドはないんだな、と。ブリー・ラーソン演じるジョイはあまりのストレスフルな状況に自分を責め、自らを傷つけてしまう。人は誰しもそういう追い詰められた(ブリー・ラーソンの100分の1くらいの追い詰められだとしても)感じを得ちゃうことがある。そういう状況を救えるのはやっぱり人なのだな。ジョイにはジャックがいてよかったし、ジャックにもジョイがいてよかった。そうやって支えになる存在をえて、明けない夜はない、という感覚をもてるかどうかは大きい。

さぁ、自分もこのしんどい状況からいつ抜けられるか…いまはちょっとまだ先は見えないな…4月の憂鬱はまだまだ続く。

*1:今映画館でみられるフランス映画の予告。神様の娘が全人類に余命をお知らせする神様メールを送る、という内容らしい

2015年に買ってよかったもの5選

ひっそりとはてなブログに移行してたんですが、こちらで書くはじめての日記は2015年ももう2月半ばにもなるのに去年のふりかえりです。去年買ってよかったな、と思ったもの。

その1 カート

近所のスーパーなんぞに買い物にいって帰り、そう遠くもないのに重くてよたよたと帰ってくるのがしんどかった。牛乳などの液体系、キャベツなど、とにかく重い。持った瞬間は行けそうでも、歩みを進めるうちにずっしり重くなる。そこでカートがあれば楽だろうな、とサイトで探しまくるが、いいものは高い。持ち運びや普段の収納がかさばるのは困るし、本体が重いと話にならない。安いけどダサいものはイヤだ。いかにもショッピングカート然としたのはイヤだ。など…ネットの海を探し回る。これなら、と値段とデザインで折り合いついたのはトートバッグタイプのもの。↓

 

幸和製作所 OD-21 アルミ製ショッピングカート グレー

幸和製作所 OD-21 アルミ製ショッピングカート グレー

 

 

平たい状態でトートの持ち手部分を肩にかけてもっていき、帰りは広げてバッグのなかに買い物を放り込んでコロコロして帰ってくる。これが感激するほど帰り道ラクなんだ。グレーだけど細かい千鳥格子でシンプルで近所の持ち歩きもそう恥ずかしくもない。もっと早く買えばよかった。

 

その2 コロコロ付リュック(デイパックキャリー)

またかよ。という感じですが、小旅行などで重い荷物をもってウロウロすることの辛さ。かといってキャリーバッグはかさばるし歩行者のジャマになる。それを解消すべくコロコロで引っ張ることもできるし、背負って歩くこともできるリュックを探したのですが、これまたなかなか見つからない。あっても本格バックパッカー用なのかしてデカくて本体重量がめちゃめちゃ重くてね。あとは子ども用とかデザインがキャラ物で派手派手とか。あきらめかけたのですが、みつけたのです。↓でもいま在庫なしになってるからもう廃盤なのでしょうな。

www.amazon.co.jp

自分が買ったのは同デザインで黒。シンプルでいい。先日香港へ旅したのですがそのときもこれで十分でした。空港ではコロコロできるし、機内持ち込み余裕だし。コロコロの音も静かです。背負ってもそこまで重さは感じません。違う型のが現在は売ってるみたいなので、いまのがダメになったらまた買おう。

 その3 ビンオープナー

朝は食パンにジャムを塗る。そのジャムのフタ問題。おそるべき固さ。これは品質保持上やむなし…なんだろうけど尋常じゃなく固い。朝おきてさぁ食べようと思って「あ、ジャム新しいの開けなきゃ」となったとき5分くらい悪戦苦闘するハメになる。電動オープナーなどいろいろありましたが、価格、品質でこれを選択。↓

 

OXO  ビンオープナー 21181

OXO ビンオープナー 21181

 

 大きさもいろいろ対応できます。フタのとこはガリガリにひっかかれた傷みたいなのつくけど、別にかまいません。電池切れの心配も無し、置き場所もとらないのでこれで十分。それにしてもいざ開けようとすると、右回しか左回しかわからなくなる現象がおきるのですが、これって自分だけかな…

その4 fitbit Charge

 去年のベストバイにあげたfitbit one。1年以上つかったと思うのですが、落っことしてしまいました。ガックリですよ。サイレントアラームは殊更便利だったのですぐに代替を買うことに。そこで落とさないように、とバンド型のを。フロに入るとき以外はずっとつけっぱなしです。睡眠時もoneでは睡眠モードに手動で切り替えなきゃならなかったのが、Chargeは自動的に睡眠を検知する(ただ、映画を鑑賞時のように2時間ほどじっとしてるとそれも睡眠にカウントしてしまうので、そこは手動でデータ削除が必要になります)。

 

 ただちょっとゴツくて。腕時計並みの大きさで、ずっとつけているとちょっと気になるかもしれない。自分はもう慣れたけどもっと小さいのが出ればいいな、と思って調べてみたら、もう出てるよ!まだ日本での正規発売はされてないようだけど並行輸入はもう出てきてますね。つぎはこれが欲しい!

 

その5 振動する腕時計

これまた目覚ましアイテムです。音をならすと周囲にまで響いてしまう。すみません。もうしわけない、ということで、fitbitのサイレントアラームで起きるべく設定してるのですが、人間だもの、二度寝とか、設定モレとかありそうじゃん。ということでセーフティネットとしてもういっこサイレントアラームが設定できるものを、ということで購入したのがこれ。

 

 寝るときは両腕がふさがってる状態です。片腕にはfitibit、もう片腕にはこの時計ですよ。おかげでこれまでのところ寝坊遅刻はないです。こんな時計を両腕にしてる時点で結構滅入ってしまうような気持ちではあるのですが…(社畜的な感じ…)。

 

今年はもっと楽しげなアイテムで充実したいものです。明日は月曜、今夜も両腕ふさいで眠らなきゃ、明日も早起きだ。はぁ…

最近行ったライブ(YO LA TENGOとサニーデイサービス)にて思ったこと

音楽

音楽は、歳をとるごとに新しいものを聴く機会は減り減りに減り、一番よく聴いていた十代から二十代半ばくらいまでに夢中になったもの、のうち更に一部のものだけを細々と聴き続けている感じです。彼らが新譜を出したら買ってみたりみなかったり。彼らに関連するようなミュージシャンで興味がもてたら買ってみたり。最近観に行ったライブ二本は、むかしからずっと聴き続けていたアーティストです。
梅田クアトロでYO LA TENGOのライブがある、ということで迷ったけどチケットを取りました。これまでも何度も来日してくれているのに、タイミングがあわず観られないままだった。このバンドのファンになったきっかけは、きっと彼らのアルバムで一番メジャーだろう『I can hear the heart beating as one』。自分の心のベストテン上位に入り続けるこの作品は何度も何度も繰り返し聴き続けてます。wikiによると1997年の発売、ということは約18年くらい聴いてるみたいだ。

I Can Hear the Heart Beating As One

I Can Hear the Heart Beating As One

今回は新譜『Stuff Like That There』がアコースティックなテイストのカバーアルバムだったので、アコースティックセットでのライブとなりました。
Stuff Like That There

Stuff Like That There

オリジナルの初期メンバーだったデイビッド・シュラムも参加とのことで、超豪華かつ音のひとつひとつが際立った粒のような演奏にすっかり気持ちよくなってしまいました。前半45分パートで前半ではThe Cureのカバーの『Friday I'm in love』が生で聴けて本当にうれしかった、オリジナルもいいけどカバーがまたいいんだ。約15分のインターバルで後半へ。新しいアルバムからの楽曲を中心に演奏は続きます。デイビッドだけがエレクトリックギターなのだけど、この奏でる音がすばらしくて。まさに夢見心地にしてくれる。アイラとジョージアのボーカルも本当に大好き。アンコールはお約束の1回はもちろんだけど、バックステージに引っ込んだあとも拍手と足踏みは止まらず、また出てきて演奏を。さ、客電もついたし…でも余韻にひたっているオーディエンスはまだ拍手をやめない。そして笑いながら3回目のアンコール。歌も演奏も素晴らしくて、客席もいい雰囲気で、ひたすら心地よいライブだった。
ただ、梅田クアトロは旧梅田ピカデリー、つまり映画館を改装しているハコで、ステージが下にあって、それを見下ろすような形のつくりのためかなり見にくくて、人の肩と肩の間のわずかな隙間から観るしかありませんでした。当日券は出ていたけれどかなり人で埋まっているため一歩も動けず、後半も大分すすんだところでそのうち冷や汗が出て視界が暗くなり…これ朝礼で倒れるパターンのアレだ、ということで後ろにさがって壁際に座り込んで音楽を聴いてました。それでも倒れなくてよかった…まわりも大変、自分も大変だからな。しかし2時間立ちつづけることもしんどくなってきたのか…と思ってしまった。欲しかったTシャツを買ったのでサイン会参加権があったのだけど、体調を優先してライブ後は早く会場を後にしました。Tシャツにサインしてもらったら着られないしね。
ヨラのライブの翌日はサニーデイサービスのライブへ。こちらはニューアルバムは買ってあって何回か聴いたけど…くらいの状態で行きましたが無問題。昔のアルバムからまんべんなくやってたなぁ。
Sunny

Sunny

サニーデイ・サービス BEST 1995-2000

サニーデイ・サービス BEST 1995-2000

MCもなく、曲をひたすら演奏する。ギターも一本だけ(これは昔からそうだったかな)、チューニングはするけどその間無駄なおしゃべりも無く…あぁむかしならちょっと間を埋めるように話したり、物販の宣伝したり、次のライブ予定言ったりしてたな。でも会場に来てるオーディエンスももうそういうのは必要としてない。お互いに同じだけの時間を重ねた演者と聴衆。セットもなく、ギター&ヴォーカル、ベース、ドラムスの3人だけ。それで十分。聴きたい音楽を重ねた歳の分だけ経験をへて上手くなってて、声もよく出てて。でもどこかサニーデイらしい“もったり”感が変わらずあって、それがたまらない。メルパルクホールでオーディエンスも座ってゆったり楽しんで。でも、アンコールの3回目のときに「みんな前にきたらいいよ」という曽我部君のことばに反応して椅子の合間をぬって前にライブハウスのようにつめかける人たち。でもみんな大人だから大丈夫。混乱なんてない。小さいこどもを肩車した人たちもちらほら。あぁ、いいなぁ。
しかし、はじまってからずぅっと思ってた「あれ、丸山君、あんな顔だっけ?…別人、だよね」。それについてはなんの説明もなく。そうMCほとんどなかったし。終わってからともに昔からサニーデイのライブに一緒に行ってきた友人と「あれ…丸山君、じゃ、ないよね」「うん、別人だよね、なんの説明もなかったけどね」。ググったら、たしかに病気休養中だった。ライブ始まる前にちょうどそんな話(「丸山君大丈夫かな、体弱いからなぁ。」と話してた)してたけども。それだけはちょっと教えてほしかったかもな、と思いつつ、や、でもまぁいっか、と思ったり。大好きな曲の数々、とりわけ『ここで逢いましょう』『珈琲と恋愛』『魔法』『サマーソルジャー』『若者たち』『白い恋人』聴けてよかった…や、曲挙げだしたら、結局全部好きだわと再認識。
ヨラもサニーデイもとてもよくて観ながら胸いっぱいになる瞬間があって、それは自分が重ねてきた歳が彼らとともに重ねてきた、っていう思いが充足感を増させているからだろう、って感じた。芸術って時間という要素が本当に大きな部分を占めるのだな、と最近になって強く思うのです。それは映画であれなんであれね。スターウォーズの新作に大熱狂する人たちはシリーズと共に歳を経てきたことが大きいんだろうな、とか、そんなことも思いましたね。

恋人たちは日常に帰還する『恋人たち』

映画

『恋人たち』を観終えて、パンフを購入しました。コメント集のところにあった森直人さん(映画評論家、ライター)の 「『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に匹敵する衝撃です!」 に深く同意した。というか観ながら自分もまさにこう思ってたんだ。全然違うジャンルだし表現も全く違うのになんでこう思ったんだろ。
光石研さん、安藤玉恵さん*1など、有名な俳優も出てます。けど、三つのお話のアンサンブルである今作の三人の主人公たちはほぼ無名。その匿名性ゆえに、キャラと人物が限りなくイコールにみえてくる…。OPにいきなり映るアツシのモノローグの迫ってくる感じからして、大変圧倒されてしまって、それ以降は映画への没入感が増し続ける。
でも、演技が上手かっていうと、それは違うのかもしれない。それは日常を生きる自分たちも日常を送るにあたってどこか不自然さをまとってる(他人に対するとき、社会と摩擦を避けるために、我々は演技するetc…)。それに似ているような気もする。映画やドラマのように自然に理路整然としたセリフのような言葉は流れ出てこない、訥々と言葉が出てくる、そういう感じ。これらはヘタウマとかではなく監督の的確な演出により成功しているとしかいいようがない。
あまりにディテールがすばらしくて、その細かいすべての積み重ね、丁寧な演出こそがキモで、それらが無名の俳優たちを輝かせている。苛立ちを抱えるアツシ。あまりに理不尽で不幸な事件により妻を失った彼は、その悲劇を忘れてはいけない=悲劇を忘れることは妻を忘れること、軽んじることに通じると思い、被害者であると自分を定義づけ、棘だらけの鎖で自分を縛りつけているかのようだ。彼の部屋の乱雑さ(…精神をすこやかに保つには部屋をキレイにすることだ、という趣旨の平山夢明先生の文章を思い出す)。抑えきれない憤懣が歩きながら独り言となってあふれると、それを聞いた女子高生がコソコソときもちわるい、という。部屋に戻ったアツシはまた怒りを爆発させながらモノにあたる。その独り言のあふれる感じとか、ふわぁぁ、これ、あるよな、と思うんだ。
瞳子さんの日常のディテールや細かい表情、もう、いちいちすばらしくて、なんでもないところで涙が出てくる。ただただイヤな野郎だったエリート弁護士(四ノ宮)の抱くモヤモヤとしたやりきれない、あふれる思いが終盤になって徐々に形を成して観客に伝わってくると、本当に胸を衝かれてしまった。
主人公の三人とも映画の始まった頃はどこかふわふわと地に足がついてない。それゆえ不安定で観る者も彼らはどうなってしまうのだろう、とハラハラする。完全体の「恋人たち」は今作には出てこない*2。彼らは「かつてはいた*3」もしくは「どこかにいるはず*4」もしくは「手の届かない*5」自らの半身/恋人を求め続ける。その過程の物語。それらの半身は「もういない、ととりあえず認める*6」「どこかではない、ここにあるものを見つめなおす*7」「どうにもこうにも届かないと認めるしかないのかと佇む*8」というところで映画の終わりを迎える。彼らは少し地上に近づいて、ふっと足を地上に着けて再び日常を歩みだす。その歩みはどこへむかうのか…ここで描かれる橋口監督の思いをしっかり肯定したいと思った。希望は、ある。光差すところを見つけること。アツシの「ヨシ」というあの掛け声と橋梁にはざまに見える切り取られた青空のラストカットがどうしてあんなにも心打つんだろう。日常への帰還のすばらしさ。これは『マッドマックスFR』並みに感動的なラストで。マックスは闇から這い出すことができた。それは他者とのふれあいにより光差すところをふたたび見出すことができたから。希望は、ある。『恋人たち』に描かれた三人の主人公たちもほのかな光を見出してそちらへ歩みだすだろう、と思えた、その肯定的なメッセージがとても感動的だった。最後に流れるakeboshiの『Usual Life』が素敵で、音源購入して何度も聴いてる、そして、ふと「あぁ今頃瞳子さんどうしてるかな」とか思う。そうやって何度もディテールを思い返して思いを馳せる、自分にとってはそういう大切な映画になりました。
『恋人たち』(2015日本)監督:橋口亮輔
http://koibitotachi.com/

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*1:今作の安藤さんはもう、素晴らしい!最高!笑える!

*2:あえていうなら、アツシが見かける酔っぱらった彼とそれにまとわりつく彼女、ぐらいかな、恋人たちといえるのは

*3:アツシの場合

*4:瞳子さんの場合

*5:四ノ宮の場合

*6:アツシの場合

*7:瞳子さんの場合

*8:四ノ宮の場合

思いつくままに音楽映画ベスト10

映画

今年もワッシュさんの企画に参加します!
音楽映画をことさら観てない自分が自力で思い出せるくらい印象に残ってる映画を思いつくままに書きだしてみます。
1位『スクール・オブ・ロック
熱くて楽しくて笑えるし感動する。ロックって素晴らしいし、ロック馬鹿も極めれば周囲をハッピーにする影響を与えてしまう、というところが好き。

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2位『ロック・オブ・エイジズ
主役…って若い男女みたいなのがいてラブロマンス的要素あったっけ…?というくらいトム・クルーズがすべてをかっさらった一作。トムのアクセル・ローズ的演技だけで満点でお腹いっぱいだし、ゼタ=ジョーンズも最高です。
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3位『リンダリンダリンダ
ペ・ドゥナブルーハーツを歌います。スコアはジェームス・イハです。はい、最高。日本の青春音楽映画の名作。ラモーンズのシルエットがでてくる場面も印象的。4位『オーケストラ!』
ベタな展開ですが、ラストが最高です。メラニー・ロランの美しさの極みの瞬間が観られる一作。
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5位『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
デビューくらいからのベルセバファンの自分にはたまらない一作。サントラを何周も聴いた。
ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール オリジナル・サウンドトラック

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6位『コントロール』
アントン・コービン監督作。ジョイ・ディヴィジョンのヴォーカリストイアン・カーティスを主人公とした作品。若くして死んでしまったがゆえに伝説となってしまった彼の苦悩に満ちた人生をモノクロでスタイリッシュに撮ってて、その映画の雰囲気のかっこよさとさみしさと暗さがバンドの世界観に合ってて、これはたまらぬ。
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7位『ファントム・オブ・パラダイス
異形の者のかなしきロックオペラの傑作。
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8位『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
かなしみや痛みが深いほど、痛切なメッセージを発する音楽を作れるのかな、と思った。力強い音楽映画。
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9位『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』
いやー、もうベタだけどラストが超熱い!グッときます。
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10位『EDEN』
今年日本公開されたフランス映画。若いころに観てもピンとこなかったろうな、と思うけどある程度歳をとってみると、沁みる。上り調子の頃の全能感や可能性に満ち満ちた感じから歳を経て人生ドン詰まり感を覚えるまでの長いスパンの物語。じわじわと来る映画。

次点
『ピッチ・パーフェクト』
青春音楽映画として王道をふまえつつ、『ブレックファスト・クラブ』へのリスペクトに満ちたストーリー展開もグっときます。そしてなによりたのしい。
サウンド・オブ・ミュージック
これはこどもの頃から何度もTVでやってるのを観たし、学校の音楽の授業でもまず「ドレミの歌」を習ったのを覚えてるし、音楽映画といえばどうしてもまずこれが思い浮かんでしまう。好き嫌い通り越してるレベルの作品だな〜と思う。
アマデウス
いわずもがなの名作!
『セッション』
ラストがやっぱり凄まじい。でもあんな連中が身近にいたらイヤだ。