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イーちゃんのこと

イーちゃんは2017年1月13日に旅立ちました。

一足早く、ネクストステージに行ってしまいました。

私が一緒に住みだした当初、人見知りの彼は逃げ回って姿をなかなか見せてくれませんでしたが、「あ、このひとこの家にずっといる人なのか」と認知してくれてからは、足元にやってきてはコロン「さぁ、なでていいよ」。丸々としたイーちゃんに「重いよー」といっても足の甲の上からどきません。

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家の人が見たことのない表情や行動も見せてくれた。ある朝、いつもの時間に起きて朝のパンを食べようとしたらテーブルの向かいのイスにすわったイーちゃん。あの朝はなんでこんな表情したんだろ。

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またある日、洗うために炊飯釜に水を張ってたらキッチンのカウンターにのぼってその水を飲もうとしたので、「ダメだよ、イーちゃん」と声をかけると、なんとおしっこをこっちに向けてしたイーちゃん(あの放物線が忘れられない)。家の人にこのことを話したら「えー?」と驚いてた。後にも先ににもあの一回だけなのだけど。家の新参者の私はなめられてたのかなんなのか…今思い出すとおもしろいし、自分にしかみせない顔を見せてくれたことがうれしかったりもする。

わがままで、怒られるのがわかっててテーブルに乗って「かまって」と言ってみたり、ゴロゴロ喉を鳴らして丸くなるイーちゃんは賢くて可愛くてそれだけで充足した完全な存在でした。

運動能力が高くて、もはや人間でいえばおじいちゃんの年齢なのに、ひらりと華麗にキッチンのカウンターに飛び乗ってた。重たいドアも自在に開ける力もあった。それが昨年秋から後ろ足を引きずるようになった。どうも軽々と飛び乗れてたカウンターへのジャンプに失敗したことが原因らしい。だんだん食欲がなくなり、年末近くには痩せて、歩きながらよろけてしまうようになった。それでも家中のあちこちヨロヨロと歩いてパトロールし、寒い風呂場のドアの前で鳴く。イーちゃんはお風呂場のお水飲むのすきなんだよね。ダメだよ、といっても隙あらば忍び込んで飲んでたよね。

イーちゃんは歩くこともままならなくなって、発作も起こり、もう逝ってしまうの?という状態になってから、それでも10日くらいがんばって、私たちと同じ世界に踏みとどまってくれた。ネコの寿命はヒトより短くて、ムリなのは分かってても「イーちゃん、私が死ぬまで生きるんだよ」とずっと前から言い続けてた私をなだめるためにがんばってくれたのかな。さすがイーちゃん。強くて賢くて可愛いイーちゃんは、がんばってくれた。

本当にイーちゃんに会えてよかった。

亡くなる前々日も前日も私の姿をみて、ミャアミャアと声を出してお喋りしてくれた。目を細めたりしてくれた。

いまはエア・イーちゃんが私の近くにいてくれてるんだけど、やっぱりそのフワフワの毛に触りたいし、鳴く声も聴きたいよ。私はしばしこっちの世界に留まるけど、そっちに行ったら、また足元コロンしてよね。

 

2016年に観た映画をふりかえる(その2 勝手に部門別)


結局大晦日はもろもろ片づけているうちに映画に行くような余裕はなくなり、2016年の映画納めは『ドント・ブリーズ』となりました。映画祭の旧作上映も含むと劇場での実質鑑賞本数は124本。複数回鑑賞は『シン・ゴジラ』の2回でした。1本あたりの平均鑑賞料金は1087円。全鑑賞映画のランキング的なものも余裕があったらやりたいのですが、とりあえず先日のベスト記事に引き続き今日は勝手に部門別ランキングを設けましてふりかえります。

 

予告にうんざり部門

自分は座席をど真ん中あたりを押さえることが多いため、わりと早めに劇場に入るので否応なしにすべての予告を観ることになる。しかもTOHOシネマズに行く機会がおおいため、必然的に東宝系のものが多い。作品の出来云々ではなく、予告を観ることに食傷してしまったということです。(とはいっても『怒り』以外は結局本編は観てないですが)

・『後妻業の女』通天閣どころやない、スカイツリーや!」


【映画】後妻業の女 予告集 “特報”

ぼくは明日、昨日のきみとデートする 「だきしめ…たい」「だきしめたらいいんじゃない…かな」※地味に東出君のタカトシの彼女のエミちゃんです」も印象に残る


「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」予告

・『怒り』…いかり(予告の最後のナレーション)


「怒り」予告2

・『海賊とよばれた男「日本人がおるかぎりこの国は再び立ち上がる!!」「メジャーに会社の舵を渡すわけにはいかん!」※とにかくずっと叫んでいる


「海賊とよばれた男」予告

・番外『世界の果てまでヒャッハー』のマナー啓発CM これ、シネマートでもシネリーブルでも長期間延々流れてたので、うんざりして、そのうちこのCM中は無の境地に達するようになりました。当然のごとく今作本編の予告編にも食傷…


世界の果てまでヒャッハー!マナーCM

音が凄かった部門

音楽がよかった部門

  • 『シング・ストリート 未来への歌』オリジナル楽曲がすべて素晴らしい大好き
  • 『ブルーに生まれついて』似てる似てないというレベルの問題でなく、イーサン・ホークは劇中完全にチェットだった
  • スタートレックBEYOND』宇宙空間に鳴り響くビースティ・ボーイズ
  • シン・ゴジラ伊福部ミュージック力+エヴァ楽曲のハマリ具合
  • 『オデッセイ』ジェシカ・チャスティン船長チョイスのディスコミュージック

ベストエンディング曲

『海よりもまだ深く』 ハナレグミ「深呼吸」


ハナレグミ – 深呼吸 【Music Video Short ver.】

ベスト犬 『クリーピー』のマックス!

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ベスト猫  『幸せなひとりぼっち』の野良猫!

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ベスト熊  パディントン』のパディントン※次点は『レヴェナント』の熊

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ベストオオカミ 『神なるオオカミ』のオオカミ!

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ベスト噛ませ犬部門   ドーナル・グリーソン!

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『ブルックリン』『エクス・マキナ』の二作品で受賞です。地味に『アンブロークン 不屈の男』でも主人公を引き立たせるための噛ませ犬的役割でいい演技をしてました。今後『スターウォーズ』での(かませ犬としての)活躍も期待されます。

ゲス&クズい男部門

気持ち悪い男部門 ※『ある天文学者~』以外はいい意味で気持ち悪いけど『ある天文学者は~』は本気で気持ち悪いですよ。

  • 『ある天文学者の恋文』エド(ジェレミー・アイアンズトルナトーレを反映させた(としか思えない)キャラが自己愛がキツすぎてひたすらに気持ち悪い。映画すべて気持ち悪い。
  • 『淵に立つ』八坂草太郎浅野忠信不気味。服装も独特で人外の感じ
  • 『クリーピー』西野(香川照之あの人お父さんじゃありません、気持ち悪いおじさんです

ベストメガネ   『ちはやふる』の机くん

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ファッション素敵部門

お仕事映画部門 ※いずれの作品も変にドラマティックにするために設定されるようなタスクを達成するのにジャマをするキャラがいないのがとてもよかった。

ヘンテコだけど好きな映画部門

  • 『ロブスター』アイディアが奇抜。面白ダンスも味わい深かった
  • 『神様メール』ユニーク!
  • アスファルトかわいい、人を信じたくなるおとぎ話
  • 『マジカル・ガール』あの蜥蜴部屋は一体
  • 『グッバイ、サマー』臆面もなく言っちゃうますがとにかくセンスがよくてオシャレな映画

タイトルの出方ベスト映画 『ヒメアノ~ル』

この邦題…部門 日本で公開するとなると直訳では難しいのかなと思いつつ

  • リリーのすべて』(原題)Danish Girl
  • 『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(原題) WHILE WE'RE YOUNG
  • 『幸せなひとりぼっち』(原題)EN MAN SOM HETER OVE(英題)A MAN CALLED OVE

コメディ映画部門

気になりだした男優部門

よかった女優部門

印象に残った食べ物部門

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ベスト小道具 『ガール・オン・ザ・トレイン』のワインオープナー

ベスト人外役者部門※人ならざる人のような存在 東出昌大『クリーピー』『聖の青春』

ベスト肩書き 『クリーピー』の西野(香川照之)の「協会理事」!

印象的な帰り道(徹夜した明け方の帰り道)部門

  • 『イット・フォローズ』
  • 『母の残像』

顔面力あったな部門

  • 『日本で一番悪い奴ら』全員

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子役よかった部門

アクション素敵部門

あー、キリがない。とりあえず今日はこのあたりで。思いだしながら書くのたのしいな。2017年はどんな部門をつくりたくなるような映画があるかなー、たのしみだ。

 

 

2016年に観た映画をふりかえる(その1 ベスト作品)

2016年もおしまいです。一年、早いなぁ、と毎年同じことを言っている。「ていねいな暮らし」みたいなのには程遠く、仕事、疲労、ガチガチの体をほぐすためのマッサージ、ご飯、洗濯、そうじ、インターネット、睡眠などで終了していく毎日。それでも日々の積み重ねは尊い、と信じている。そんな尊い日々、貴重で有限な人生の時間のうち、週に2時間や4時間(ときには6時間や8時間)は映画を観ることに費やしています。映画をみて、インプットしたことを以前はマメに文章にしていたのですが、いまはそういう時間を割くこともできていません。現在は、インプットしたものを自分のなかで咀嚼して、考えて、話すことでアウトプットしている。聞かされる家人はどう思っているかは分からないけど(右から左へ抜けてることもあるかも?)、映画をみて思ったことやあれこれを間をおかずにアウトプットできる相手がいるのは有難いと思っています。

さて、ひょっとしたら大晦日に映画を観に行くかもしれないけど、それは旧作リマスターになるので、新作で観た作品のベストを考えてみたので文章をしたためることにした。これはあくまで現時点。じわじわ時間が経つごとに味わいが増す発酵食品のような映画もあるのですがね。では参りましょう。まずは年間ベスト。

『さざなみ』


『さざなみ』映画オリジナル予告編

 ラストのシャーロット・ランプリングの表情が絶品です。構成も巧みだし、とても唸らされた映画でした。出来た瞬間クラシック、という風格。

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 『私の少女時代』


映画 『私の少女時代-OUR TIMES-』 予告編

台湾青春映画は本当に傑作が多いのだけど、そのマスターピースに連なる一作。ベタ演出満載のコメディなんですがね。こういう回顧形式の映画は青春パートだけキラキラして現代パートがイマイチだったりするのですが、今作は現代パートも良いです。映画祭でみたので、予備知識がなく、サプライズ演出に素直に驚いてしまいました。それも印象深い要因かも。

『クリーピー』


映画『クリーピー 偽りの隣人』予告編

黒沢清の本領発揮!めちゃめちゃ笑えるし、しかも不気味でこわい!というこのバランス。香川照之パンチライン連発すぎるセリフといい、監督おなじみの風にゆれるカーテンやスクリーンプロセスを使った撮影、極端な照明効果に加え、流行りのドローン撮影などすべてがうまく組み合わさりすぎです。上半期より年間のほうが順位があがるというじわじわ来る映画。 

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 ハドソン川の奇跡


映画『ハドソン川の奇跡』予告編

手だれの職人が、ささっと撮ったコンパクトな作品みたいなのだけど、これが絶品の逸品。ほぼ全編デジタルIMAXカメラでの撮影、という事前情報に、どうして?と謎だったけど観たら納得の迫力ある映像。残念ながらIMAXのハコで観ることはできなかったけど(TOHOなんばのIMAXがもうすこし早く出来てればな…)、映像の力といい、シンプルで力強いストーリーラインといいイーストウッド御大、さすが。

シン・ゴジラ


★竹野内豊 石原さとみ 出演 映画 『シン・ゴジラ』 予告

庵野さんが「好きにした」ゴジラエヴァゴジラ。秀でた作家が相性の良い題材でやりたいことをやったら面白くなるわけだ。日本政府の意思決定プロセスは会社員でも公務員でも、ピラミッド型組織に属する者には「あるある」な描写あったのでは。そしてゴジラの形態。あの気持ち悪さ、素晴らしかったです。

 

シン・ゴジラ Blu-ray2枚組

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 スティーブ・ジョブズ


映画『スティーブ・ジョブズ』予告編(90秒版)

ちょっと前にあったアシュトン・カッチャー版とお間違いなきよう。ダニー・ボイル監督マイケル・ファスベンダー主演のほうです。実際のジョブズの人となりはそれはもう大迷惑な最低野郎としか思えないのですが、今作では、映画のマジックによりとてもいいヤツだったかのように思えてくる。実話という事実の種をいかに育てるか、フィクションによる再構築、編集の妙、その凄さを感じられる作品。脚本がアーロン・ソーキン(『ソーシャル・ネットワーク』脚本)ということで大納得。役者陣の演技も絶品です。

 

 『ヒメアノ~ル』


ヒメアノ~ル PV

ネットの映画好きの人々の評判がすごかったので観にいってみて、これは度胆抜かれた。吉田監督作品は何作か観ていてもともと好きだったけど、こういうバイオレントな映画をこんなふうに撮れる方だったのか!と。そして特筆すべきは森田剛。最高です。タイトルの出方は今作が今年ベストかも。

 

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 『ダゲレオタイプの女』


『ダゲレオタイプの女』予告編

黒沢作品二作品目!監督はフランスとの相性がいいんだな~と思った。『クリーピー』ほどギャグは無く、しみじみとする怖くて素敵なラブストーリー。青いドレスの美しさが忘れられない映像もよかったな。良いクロサワ作品を二作も観られていい年でした。モチーフ的には乱歩ぽさ(『押絵と旅する男』的な)もあったりして、好きだな~。

 

『海よりもまだ深く』


映画『海よりもまだ深く』予告編

是枝さんの作品では一番好きかも。冒頭の1シーンで、もう、これは間違いない映画だと思った。団地映画としても至高でしょう。いい映画です。是枝さんが関わった西川美和監督の『永い言い訳』(今年公開)もめちゃめちゃいい映画で大好きです(ベスト10本には入れられなかったけど)

 

 『母の残像』


映画『母の残像』予告編

これはストーリーを説明しがたい映画なんだけど、ディテールがとても丁寧で、しかも題材的に深刻ぶったお話にいくらでもできるのに、ギャグも結構織り込まれてて、そのユーモアが結構効いてる。そして実は青春ものでもあるという、予想外の展開。ユペール様もすばらしく、早口ジェシーガブリエル・バーンという結構豪華キャストを生かしきってたトリアー甥っこ、要注目だな、と思いました。すごくじわじわと好き。

では半年ごとで区切って考えた上半期と下半期のベストを

上半期ベスト

『さざなみ』『私の少女時代』『スティーブ・ジョブズ』『サウルの息子』『神なるオオカミ』『スポットライト』『ヒメアノ~ル』『ボーダーライン』『クリーピー』『海よりもまだ深く』

※ベストには漏れた『サウルの息子』は強烈な映画でした。忘れがたい映画。『スポットライト』も力強いいい映画。

下半期ベスト

シン・ゴジラ』『ハドソン川の奇跡』『ザ・ギフト』『ダゲレオタイプの女』『母の残像』『ブルーに生まれついて』『ブリジット・ジョーンズの日記』『ブルックリン』『永い言い訳』『シング・ストリート』

※『ブルーに生まれついて』はチェット・ベイカーをモデルとする映画。これもすばらしかった。ベストにいれたかった。ラストの切なさがたまらない。『ザ・ギフト』ジョエル・エドガートンの才能に驚嘆したし大好きだな~。『ブリジット・ジョーンズの日記』はイギリスコメディ映画の久しぶりの続編でそこまで期待してなかったけどおもしろかった!コリン・ファースがかっこよい可愛いすぎて悶絶ものでした。『ブルックリン』ファッションが素敵だし、ドーナル・グリーソンもよかったですよ。『シング・ストリート』はあの頃の音楽そしてMV好きの自分にはたまらなかった。サントラをリピート&リピート再生してました。

とりあえずきょうのところはここまで。

極私的戦争映画ベストテン

ワッシュさんの企画に今年も参加します!

戦争映画は観ている本数は少ないと思いますが、特に印象に残っているものを挙げます。

1『フルメタル・ジャケット』監督:S・キューブリック

  ※ハートマン軍曹×微笑みデブ!

2『イングロリアス・バスターズ』監督:Q・タランティーノ

  ※ランダ大佐!

3『ディア・ハンター』監督:M・チミノ

  ※若きクリストファー・ウォーケン最高か

4『パンズ・ラビリンス』監督:G・デル・トロ

  ※デル・トロで一番好きなスペイン内戦を舞台とするダークファンタジーの傑作。

5『ブラックホーク・ダウン』監督:R・スコット

  ※RPG!

6『野火』監督:塚本 普也

  ※生き延びることの残酷さ

7『サウルの息子』監督:N・ラースロー

  ※衝撃の一作

8『カティンの森』監督:A・ワイダ

  ※カティンの森事件で父を亡くした監督の思いをあらわす作品

9『マレーナ』監督:G・トルナトーレ

  ※モニカ・ベルッチ

10『プライベート・ライアン』監督:S・スピルバーグ

  ※オマハビーチ!

以上おもいつくままに。トップ10には入れられなかったけど、『この世界の片隅に』や『高地戦』『ローン・サバイバー』もよかったです。ともあれ、日常を生きるものとしては、平和が一番だよ。戦争は映画の中だけのことだったらいいのに。

 

 

いまそこにある夫婦の危機『さざなみ』

先日『さざなみ』を観たんですがね、これがすばらしかった。無邪気(悪くいうとアホ)な夫の言動に対する、妻本人すら意識していないレベルで心の奥底の心情なり本音が、ふと表情にあらわれる瞬間(その素の表情の恐ろしさったら、ない)をとらえまくった真に恐ろしいすばらしい映画なのです。監督インタビュー記事

『さざなみ』ヘイ監督「ゲイの僕が“誰かと繋がりたい心”を理解する際の問題を描いた」|結婚45年の夫婦の危機をアカデミー賞ノミネートのシャーロット・ランプリングが演じる - 骰子の眼 - webDICE

『さざなみ』:愛の深さは歳月で測れるのかアンドリュー・ヘイ監督インタビュー|ANTENNA -Culture-|.fatale|fatale.honeyee.com

をみても、「ホラー」という単語が出てきた。まさにこの映画はホラーといってもいいくらいじわじわと見る者にせまって、こちらの感情を揺さぶる。シャーロット・ランプリングが名演すぎてこわかったです。ラストも、これはこうなるよな、と納得がいく。それまでの積み重ねがあるからね。

なにげない会話に含まれた意図。会話において、嘘をついてくれてもいいから、うわべだけでもいいから、とこちらが期待した答えを裏切るような答えが無邪気なまでに無頓着に返ってきたときに感じる断絶というかちいさな絶望。その積み重ねがどんどん追い詰めていく。妻の心は不審と闇に覆われていく~もうランプリングのライフはゼロよ!それまで45年の積み重ねがあろうと、砂上の楼閣のごとくガラガラと崩れ果て、遺跡のように残った土台にもはや新たな関係を築くことなんてムリムリ不可能。その詳細はぜひ映画本編を観て味わってほしいところです。

こういうホラーとしかいいようのない夫婦関係の危機映画といえば、昨年観た『フレンチアルプスで起きたこと』もそうでした。夫婦以外の第三者が入るシーンや全く関係なさそうなシーンもすべてが夫婦関係の危機を感じさせるというのがよくできてるなぁと感銘をうける映画の特徴ですね。最も人間に影響をあたえるだろう”家族関係の土台がゆらぐようなこと”は、他の関係なさそうな日常にも物凄く影響を与えるものなので。あと夫が不都合なことは認めない、自分はあくまで悪くない、とかたくなになるところも共通してるな。

どちらの映画にもいえるのは「夫は自分のなにが悪かったか(妻に対して良くなかった、不誠実だったか)が分かってないし、これからもきっとわからない」ということです。口では謝っても、心底はわかってねぇなぁ、ということが妻にはバレバレなのだ。だから絶望する。これまでのすべて、しあわせだったことすら反転する。『さざなみ』の夫婦も、『フレンチアルプスで起きたこと』の夫婦もこの先どうなったんだろう、というエンディングの余韻がずっと後を引く。こういう「観終わっていろいろ考えちゃったり、あのあとの物語はどうなったんだろうな、とか考えちゃう」映画はいいですね。それにしてもあのダンナ本当救いがたいな。


アカデミー賞主演女優賞ノミネート!『さざなみ』予告編

 

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筋肉映画ぼんやりベスト10

今回のワッシュさんのお題。自分にはムリかなと思いつつも、筋肉へのアンテナの低い自分なりに10選してみました。ぼんやりした筋肉映画10選です。以下順不同。

 

・『CUT』西島秀俊

・『アジョシ』ウォンビン

・『激戦  ハート・オブ・ファイト』ニック・チョン

・『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』クリス・エヴァンス

・『REDリターンズイ・ビョンホン

・『マジック・マイクチャニング・テイタム

・『ターミネーター』アーノルド・シュワルツネッガー

・『クリフハンガーシルベスター・スタローン

・『ロッキー4/炎の友情』ドルフ・ラングレン

・『ブロンソントム・ハーディ

 

以下一言コメントを

・『CUT』西島秀俊

かなりヘンテコな映画だけど場面場面が印象的で映像がふっと頭に浮かぶ…ということはいい映画なんじゃないかな、と思ってる。殴られ屋の西島君が殴られまくってボロボロの体を横たえてるシーンがかなり印象的。上半身裸なんだけど異様なまでに絞られた体でね。

 

・『アジョシ』ウォンビン

これは我々と同種の人間という種族に属すると思えないほどのかっこよさをたたえたウォンビンに尽きます。上半身裸で戦闘モードに入るべく鏡を前に髪を切る…(適当に切ってるはずなのに超絶かっこよくなる)、その鍛えられた筋肉質な体がまたかっこいいというかっこよさしかない映画。

 

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・『激戦  ハート・オブ・ファイト』ニック・チョン

総合格闘技映画です。ニック・チョンのやりすぎトレーニングで異様なまでに筋肉がモリモリした肉体とすごいトレーニングシーンの合間に挟まれる子どもを相手に戯れるニック・チョンのゆるふわが見どころ。エディ・ポンやいつもどおり不憫な役どころのアンディ・オンの肉体もすごいですよ。

 

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・『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』クリス・エヴァンス

貧弱な男の子が科学の力で増強筋肉のボディを手に入れるのですが、あまりのむちむちした筋肉にCGで足してるのかと思ったほど。

 

 

・『REDリターンズイ・ビョンホン

イ・ビョンホンの肉体が堪能できる謎のサービスシーンがちゃんとあります。そこしか覚えてないくらい…

 

 

・『マジック・マイクチャニング・テイタム

チャニング・テイタムがアメリカで人気のある理由がわかったなぁ。『フォックスキャッチャー』でもいい裸体をさらしてましたが、やはりこちらで。でもこの映画で最終的においしいとこもってったのはマシュー・マコノヒーではあるんですが…

 

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・『ターミネーター』アーノルド・シュワルツネッガー

ゆうてもシュワさんは外せない。『コマンドー』と迷いましたがこちらで。

 

 

・『クリフハンガーシルベスター・スタローン

はやりスタさんもはずせない。

 

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・『ロッキー4/炎の友情』ドルフ・ラングレン

スタさんのロッキーシリーズではあるのですが、この4でのドラゴ(=ドルフ・ラングレン)が印象的。まさにロボットのような完成された肉体がすごかった。

 

 

・『ブロンソントム・ハーディ

トム・ハーディも本当役者バカ。役作り=体作りがすごい。『裏切のサーカス』や『オン・ザ・ハイウェイ』『嵐が丘』(これはテレビ映画ですが)など繊細な演技力を求められる役もこなすけれど、肉体改造もいとわない、本当に素晴らしい役者でこれからも観続けたいと思う。『ブロンソン』もおすすめですよ。

 

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2016年4月の日常日記

全く疲れたな。年度替わりのこの時期は例年大変多忙で精神的にも来るのだが、数年に一度、この4月頃にひどいアレルギー症状が出て相当ひどい状態になる。ふと気づいたのだが、花粉症をこじらせて熱もあがり、体がガチガチに固まり、頭もガンガン痛み、喉も鼻も目も耳もつらい状態になる、というこれ、だいたい転勤やら配置換えのタイミングで出てるな。プレッシャーやら、知らない顔や知らない人間関係にぽいっと放り込まれ、山のような仕事をこなす、というのが、この病の原因だと気付いた。

しかし歳を経るごとに、この症状がひどくなってて、もう全然若くはないんだ、これからどんどんキツくなるんだろうな、と暗澹たる気持ちに。神様メール*1がきたら、それにあわせて人生設計して貯金できたら仕事辞めちゃうのになぁ、とくだくだと思ったりする春という季節です。

そんな絶賛体調悪化中のなか、厳選してどうしても観たい映画を観に行った。昨日は『ボーダーライン』今日は『ルーム』だ。『ボーダーライン』は自分が全然知らなかった世界を見せてくれる立派なエンターテイメント作品でありつつ、ロジャー・ディーキンスの美しく迫力と冷静さを兼ね備えた撮影とヨハン・ヨハンソンによる緊張感漲るスコアに圧倒された。これは年間ベスト級になりそうな予感。エミリー・ブラントの美しさ、強さ、弱さをあらわす繊細な演技、ベニチオ・デル・トロの存在感などに「おもしろかった!」というようり「すごかった」、という感想が口をついて出ました。最後に黒地に白文字で「SICARIO」のタイトルが出るのだが、その言葉の意味がズドンと響きました。

『ルーム』はTOHOなんば1番スクリーンで。ブリー・ラーソンはオスカーを獲得したのを知っていたけれど、子役の演技がやっぱりすごくて。彼が素晴らしいから作品のステージがいっこあがってる、という感じがした。最初にジャックを保護した女性警察官がやさしく質問をしてなるべく記憶が新鮮なうちに情報を引き出そうとするくだりがすごくて、たった数語のヒントから「わかった!」と犯人宅を特定していくところで「彼女は神か」と思いました。解放までのスリル、そして自由になったあとの苦しみ。人生に、日常におわりはない、物語のようにハッピーエンドはないんだな、と。ブリー・ラーソン演じるジョイはあまりのストレスフルな状況に自分を責め、自らを傷つけてしまう。人は誰しもそういう追い詰められた(ブリー・ラーソンの100分の1くらいの追い詰められだとしても)感じを得ちゃうことがある。そういう状況を救えるのはやっぱり人なのだな。ジョイにはジャックがいてよかったし、ジャックにもジョイがいてよかった。そうやって支えになる存在をえて、明けない夜はない、という感覚をもてるかどうかは大きい。

さぁ、自分もこのしんどい状況からいつ抜けられるか…いまはちょっとまだ先は見えないな…4月の憂鬱はまだまだ続く。

*1:今映画館でみられるフランス映画の予告。神様の娘が全人類に余命をお知らせする神様メールを送る、という内容らしい