『ザ・タウン』を観たよ。

日曜に『ザ・タウン』を観ました。ボストンの北東部に位置するというチャールズタウンを舞台としている映画です。チャールズタウン:通称“タウン”は銀行強盗や現金輸送車強奪の多発地帯。そんな危険な地域の強盗団について描かれるこの映画ではベン・アフレックのアップがかなりフィーチャーされていていたのですが、ジェレミー・レナーの顔が最終的に一番印象に残っていました(あと、昨年亡くなったピート・ポスルスウェイトも印象的)。
スコットランドからの移民の子孫という役で、彼の顔がものすごく“スコットランド顔”に見えたんですよね。ちょっと白くて頬が赤みがかってるような。ベン・アフレック自身は、本当にスコットランドにルーツがある人で且つボストンの出身だから、彼のほうが正統な“タウン顔”に近いかもしれないのですが、ジェレミー・レナーのほうが“タウン顔”に見えた。持って生まれた顔つきもあるし、もちろんその演技力も大きいのかな。プロダクションノートによると、ボストンのアクセントもきちんとものにしていたそうだし。そんなふうに演技や顔やキャラから、血のつながりや地域性を感じさせるキャストじゃないとなりたたないわな、この映画は。というわけでキャストは嵌っていて素晴らしい。
ベン・アフレック演ずるダグが刑務所にいる父を訪れる場面。サウスやほかの地域(名前は失念)の連中が刑務所でも幅をきかせてきたが、“タウン”の者である自分はそれを許すわけにはいかない、譲れない一線がある、と言って年老いた父は刑務所内でも他地域の囚人と争って、模範囚にはなれないでいる(赤ベストを着せられる⇒なんか問題行動を取ったの意らしい、うろおぼえだけど、ケンカの末“ショーシャンク”的な目にもあったとか?)。このシーンにより、血のつながり、地域のつながり、家業⇒強盗により堅い結束を維持している仲間の有り様*1がわかる。あぁ、こういうのいろんな映画で観たことあるような気がする、アメリカでも香港でも、日本でも。ちょっと古いタイプのギャングやマフィアやヤクザだ。
その古き伝統を正当に引き継いで生きているジェレミー・レナー演ずるジェムは、“タウン”以外に自分の生きる場所がないとわかってる。だからここではないどこかを欲してるダグを掴まえていたいし、“タウン”に引き留めてくくりつけてやろうと思ってる。ジェムが迎えるラストを観て、彼はその覚悟を貫いたな、と思った。
それに対して、ダグが選択してたどり着くラストが、ちょっと意外でした。映画を観ている観客である自分が期待する物語があって、映画内時間が進むにつれ、自分が期待するストーリーラインどおりに進むしかないだろう、と思ってた。だから自分が(勝手に)予想していたのと異なる結末を迎えたのにかなり意表をつかれた。ちょっとググってみたら、どうもこのラストは当初のものから改変され、希望を持たせるように変えたと。また、上映時間も30分弱短くカットしたとか。たしかに不自然な流れ、だものなぁ。
ただ、仮面かぶって(特に中盤のシスター姿)強盗を行うところのスリルはかなりなもので、カーチェイスもドキドキさせられた。花屋のくだりや首の後ろのタトゥーのシークエンスもよかった。映画全体に端正な撮り方で、品があるように感じた・・これは監督:ベン・アフレックの手腕でしょうね。今日たまたまpodcast町山智浩さんが映画『カンパニーメン』の紹介でベン・アフレックの話をしてたそのくだりを聞いて、ちょっとベンに肩入れしたくなった。がんばれベン!・・・でも『ザ・タウン』のラストの意外さは、ちょっと腑に落ちなくって、なんだか惜しかったという私見の日記でした。
『ザ・タウン』(2010/アメリカ)ベン・アフレック:監督、主演
http://wwws.warnerbros.co.jp/thetown/index.html#/home/
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=338015
強盗団のこの面構え。奥から二人目がジェレミー・レナーさん。
※原作はチャック・ホーガンの小説「強盗こそ、われらが宿命」

*1:刑務所にブチこまれる期間が長くなろうと、仲間は絶対売らない:司法取引には応じない、など