ゴダール映画祭その2『ウイークエンド』は『エル・トポ』ぽかった(『右側に気をつけろ』も観た)

ゴダール映画祭に2回目の参戦です。『ウイークエンド』『右側に気をつけろ』を連続して観てきました。予備知識なし、初見。
『ウイークエンド』、これがおもしろかったんですよ(我ながら意外ほど)。観ながらなぜか思い出したのはホドロフスキーの『エル・トポ』でした。ポイント(=人)を通過して、最終ゴールを目指すも、ラストに至るのはなんだかいっこレベルが異なる次元、ていう意外性がなんだかね。血だらけ、死体だらけ、裸、本物の動物の死体、フラワームーブメント的な時代の雰囲気…という共通ポイントを感じました。条理の世界じゃなくて、おとぎばなし。男女二人が登場、なども似てるな。あと、エル・トポでは馬に乗ってたけれど、こちらは車でして。車好きの方はより楽しいかもしれない、というくらい車、車、車。車は走り、壊れ、ぐっちゃぐちゃになったり、燃えたり、転がったりしてる。まともなのは少ないし、まともな車に乗ってる連中はまともじゃないし。行く先々で車は事故って、人は死んでる。そこを二人が車でひたすら走る(途中彼らも事故って、ヒッチハイクなどに切り替えるわけだけれども)。出会う人々は“歴史”とか“哲学”とか“社会情勢”とか“思想”とか“物語、小説”などについて語ったりして、これが小難しい感じも醸し出すし「おぉう、ゴダール的だな」みたいなテイストをがっつり感じられるかもしれないけれど、自分としては、死体いっぱい、とかそのあたりのイメージの鮮烈さに浸っておりましたわけで。あと、森。『エル・トポ』は砂漠だけど、こちらはヨーロッパの森なのです。途中ルイス・キャロルの「アリス」的イメージが出てくるけど、どこか「あかずきん」ぽい雰囲気も感じた、こわい森なんですよね(ラストもまさかの“ひかりごけ”展開っていうね)。あぁ『アンチ・クライスト』楽しみだな。
あと結構声だして笑っちゃいましたね。ギャグに。うん、おもしろかったです。冒頭付近の会話部分は眠さ度60%くらいでしたが、がんばって起きててよかった(伏線でした)。いっこ空けて隣に座ってはった人(若め男性)は、途中結構すやすやしてた。
続いて観た『右側に気をつけろ』、こちらは自分が、すやすや。あぁよく寝てしまった。ジェーン・バーキンが出てる場面は起きてて、あ、若い、あ、すきっ歯、と確認、本当に雰囲気ありますね、彼女は。音楽の出来る過程や監督がドストエフスキーの『白痴』を読む過程など、複数の物語の平行。ググると最高傑作との呼び声も高いようですが、フラグメンツのそれぞれは意味ありげなんだけれど、自分の中ではイメージが散漫になってしまって(寝てたのもあるけど)。ただ、この映画の上映では、最前列かぶりつき、とか上映までハードカバーの思想系かしらん、みたいな字いっぱいの本を読んでたり、細かくメモったり、という文系オーラがビシビシでてる感じの人たちがいました。あと、ハスミ御大が字幕監修に絡んでいたり、アニエスbが配給かなんかに絡んでるらしくブランド名が最初にちょこっと出たりするあたりで、87年という時代を感じましたね*1。うん。それもこれも含めて、「ゴダールっぽい」なー、というのを味わったですよ。
『ウイークエンド』(1967/フランス)監督:ジャン=リュック・ゴダール 
※オススメですよ。おもしろかったな。
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD16204/
『右側に気をつけろ』(1987/フランス)監督:ジャン=リュック・ゴダール
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD3843/index.html

*1:ニューアカとかこの辺の時代?