『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を超える』

この映画は、劇場に足を運んで、観て、ギャグに笑って、呆れて笑って、バカバカしさに腹抱えて笑えばいいと思います。
と、ひとことで終了したらOKなんだけど、やっぱりいろいろ書いてみる(ネタバレないよ)。
前作はアメリカその他各国で超大ヒットながら日本公開がなされないということで、(一部で)公開運動がおこったりして話題になり(一部映画ファンにとって)鳴物入りで公開された作品でしたよね。自分も町山さんの紹介を聴いてから「観たいなぁ」と思っていたものの「公開はほぼ不可能!」と町山さんも言っておられたので残念に思ってました。だから公開が決まると、動員数に貢献もしたいし、ということで初日に足を運びましたよ。期待値ハードルMAX状態だったので、ミステリー要素(消えた花婿はどこにいったのか?)、ギャグ、伏線とその回収に、これはよくできた作品だわ、と目を見開いて見入りつつも、100%アタマからっぽでゲラゲラ笑い倒す、までには至らなかったかもしれない。それゆえ、同じトッド・フィリップスでも『デュー・デート』のバカバカしさのほうが結構ツボだったりもした(脚本の巧みさでは落ちるかと思うけど、期待値ハードルもそこまでなかった)。
でも今作は、本当におもしろかったなぁ。シリーズ物の強みって、みんなが登場人物を既に知ってる、ってことだと思う。こいつこんなキャラだし、こういう前提あるから…など。1を観た観客はすでにフィル、ステュやアランのコト知ってるから、前作にあった、キャラをわからせるために布石されてたセリフや演出をすっとばして、いきなりギャグやストーリーやむちゃくちゃな展開になっても、全然OK。それゆえ今作はストーリーもキャラも演技もすごく自由度が高いな!と思ったのです。すでにある安心クオリティのキャラ設定の上で、いかに自由に暴れて、キャラを生かす展開を考えるか、ですね。今回特に素晴らしいのがケン・チョン演じるチャウです。かわいいすばらしいおかしい変キュート。彼のおかげで笑いの破壊度マシマシ。全身全霊でキャラを演じきってるケン・チョンを心底応援したくなりましたよ(そんな彼は実際はすごいインテリで医者だったそうですね)。
ストーリーは、ミステリ要素(消えた義弟はどこへ行ったのか)も、あぁ、なるほどなぁ、という前作同様の膝を打つ解明っぷりだったし、前作のトラに代わるおサルさんもすごい。ストーリー展開も無駄なくムリなくバカバカしさアップの上、バンコクの雑多な街並みやロケーションを生かしてる。練りに練った脚本だなぁと思いました*1
アラン役のザック・ガリフィアナキスは居るだけで笑いをこみあげさせる佇まい。ADHDのクスリをマシュマロに混ぜたって言ってたような気がするけど(うろおぼえ)、彼はキャラ設定としてそういうクスリを服用してきた人、的な感じになってますね、他人の気持ちを忖度する前に先行きも考えず、自分の興味ひかれるものに夢中になってしまうというような。それゆえの彼の行動が大変なことを巻き起こすわけで。あと彼のニート部屋のクオリティとそのテニスルックの似合わなさ、フィルたちへの愛情とテディへの嫉妬のあからさまさが彼の視線ひとつで完膚なきまで表現されてるという、あらゆる意味で安定の破壊力。彼が瞑想して、失った記憶を戻そうとするときに浮かぶヴィジョンが、自分もステュたちもこどもの姿のまま再現されるのがおもしろい。画的にもおもしろいけど、きっとアランの脳内では自分もみんなも“相手のことをよく忖度できないこどものまま”、ってことなのかな、とも思う。
ステュ演じるエド・ヘルムズもすばらしい熱演だったな。まず最初に登場したときのお前のTシャツはなぜジャーニーなんだ、とつっこみたい。アメリカにおけるジャーニーの立ち位置はなんだろうね。これ見よがしのジャーニー…。ちょいクラシックな80'Sロックファンとうアピールなのか、それがステュのキャラに合ってるのかな。マジメぽいメガネかけてクラシックロック聴くちょっと保守的な彼は巻き込まれキャラとしては最高。とあるクラブでエライ目に合うのも彼だし、派手にタトゥー入れられてギャアギャアいうのも彼だし…クサされてネタにされるのに最適すぎるキャラでした、おまえ最高。あと色男担当のブラッドリー・クーパーもよかった。
前作よりかなり下ネタ度合がアップしてるのでそういうのがダメな方はやめたほうがいいと思うけど。でもあまりに下衆すぎて、恥ずかしいとかのレベルを超えてるんで、アタマ空っぽで笑うしかないですよ。エンドロールも最高で前回以上に素晴らしいクオリティの写真。みんなの表情がイキイキしすぎです。しかし、この映画を無修正状態でゲラゲラわらって観てるアメリカ人がすごい数いるんだよなぁ、やっぱりなんかすごいな、アメリカ人…奥深い(んだか浅いんだか*2 )。
ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を超える』 (2011/アメリカ)監督:トッド・フィリップス 出演:ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキスケン・チョンほか
http://wwws.warnerbros.co.jp/thehangover2/index.html
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD15943/
※Cinema Todayの記事「クリントン元大統領の次は名匠アン・リーの息子!『ハングオーバー2』に出演決定!」クリントン元大統領の次は名匠アン・リーの息子!『ハングオーバー2』に出演決定! - シネマトゥデイ

Hangover Part II

Hangover Part II

*1:でもダグの退場の仕方のご都合割り切りっぷりはすごかった

*2:なんていうかある意味リスペクト