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『トータル・リコール』

映画

ディック原作でバーホーベンがシュワを主演に撮った作品のリメイクです。バーホーベン版は何回か観てて好きなので観に行ってきました。たしかにリメイクなんだけど、別物、でもやっぱりリメイクという不思議な感じのテイストでしたね。でも単なるオリジナルのCG盛り版になってなくて、観てる間たのしかったしおもしろかったです。
バーホーベン版は原色なイメージ。色鮮やかで1990年の作品ということで80年代後半のデザインの過剰さみたいなのも織り込まれてる。いろんな近未来ガジェットや超有名な空港のシーンでのおばさんからシュワが生まれるところとか、火星にいってからのフリークス描写、火星の赤い風景など、色にあふれてた。ついでにシャロン・ストーンもブロンドだったしね。
一方のリメイク作はというと暗いですね。質感を出すため、というのもあるだろうけど画調は暗め(最近の作品にはおおいけど)。オリジナルではクエイドのヨメのブロンドと夢の中の女のブルネットが対比されてたけど、今作ではどちらも髪色はダークカラーだし。そして、なにより火星に行かないから赤い風景が出てこない…そんなダークな色調がシリアス味を感じさせる。そしてレジスタンス活動の実現のためのスリルあふれるアクションシーンやカーチェイス、近未来世界の多重層エレベーターをつかったアクションなどをたっぷり見せてくれて、たのしい。近未来乗り物シリーズでは、ザ・フォール(ざっくりいうと、植民地のオーストラリアを盟主国のイギリスを地球を貫いて17分で移動可能な乗り物)の設定を利用したあるミッション、これはたのしかったしおもしろかった。無重力アクションはいいな。『インセプション』でも無重力シーンがよかったものな。
オリジナルとは異なって、反体制・抑圧者・搾取する者を打倒して自由を勝ち取るぞ、という政治的テイストが高まっているため、オリジナルで重視されてた夢問題/アイデンティティ問題よりは革命問題のほうが全面に出てました。革命問題重視ゆえ体制側からの刺客ケイト・ベッキンセールとのバトルがオリジナルよりはるかに充実していてこれがかっこよくて素敵でありました。オリジナル版のヨメ(シャロン・ストーン)はあっさり退場するけど、本作ではどんどんアクションを畳み掛けていく。追いかけっこのシーンはその近未来スラム街の光景とあわせて見せ場になっているし、ベッキンセールは最後まで悪役らしい粘着をみせていてとてもよい。オリジナルのアイアンサイドの粘着感をリメイクではベッキンセールに担わせたんですな*1
その合間合間で差し挟まれる近未来ガジェット、とくに埋め込み携帯電話(ガラスに手のひらを圧着するとモニターも見られる)はおもしろかったな。あれだと無くさないけど、それだけに不在着信の言い訳もしにくいな、とか。先にも書いたザ・フォールもいいよね、これは乗ってみたい。でコアの通過と無重力を味わってみたいな。
革命側首領が相当あっさり退場だったりするのは物足りないけど、それはやっぱりオリジナルのあれが頭にあるからかな。でも今作はあくまで革命重視だし、コードがどうたら、と言っておきながら結局その作戦でどうにかしてしまうんか、とか。でも近未来だしいいじゃない。空港シーンでの首のない2週間おばさんとかみっつあるあれ、とかオリジナルへの敬意もちょこちょこちりばめられてて思わずニヤリとしてしまったな。オリジナルのあのとんでもなさはやっぱりすごいけど、単なるリメイクにとどまっていないけれどきちんとリメイクである本作はリメイクの在り方として有り!と思いましたよ。
トータル・リコール(2012/アメリカ)監督:レン・ワイズマン  出演:コリン・ファレルケイト・ベッキンセールジェシカ・ビールビル・ナイほか
http://www.totalrecall.jp/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD21366/index.html

*1:でもアイアンサイドの生理的ねっとり感はベッキンセールにはないけど