カナザワ映画祭2012行ってきました:2012/9/17(Mon)

さて、前日は夜遅くまで魚料理をいただき遅くなりましたが、翌日も朝から行動です。
まずは昨年見逃した金沢美術館の探索です。昨年は祝日の翌日(帰る日)に美術館をゆっくり見ようと思っていたら、なんと、翌日休館日だったというオチでして…。日曜美術館とかでもみていたあのプールも見たよ。
プールの中からの風景
ちなみに当日見た中で印象深かったのは、心拍数をずらりと天井に並べた電球の点滅に変換する展示。自分の心拍数がそうやって可視化されるのが不思議だし美しいしおもしろかったな。
そして映画祭いきますよ、この日の一本目は『愛の嵐』シャーロット・ランプリングダーク・ボガード主演の作品です(あらすじ)。超有名作ですが未見でした。元SSとユダヤ人収容所に収容されていた美少女が再会してしまったことから起こる悲劇…や悲劇じゃないか、ある意味かつて到達することを夢見ていた境地に行きつくことができた、ともいえるのかもしれない。退廃、エロス、タナトス…それらに格調高い音楽、構図、ロケーション、俳優がそろって一個の作品に結実させています。シャーロット・ランプリングは若いけど、あの独特の雰囲気(つめたい、というか、炎にも溶けない氷のような感じ。)は変わらないなぁ、と思いました。役者としては得難いキャラを持ってますね。

続いてはこれからのフィルム上映というシンポジウムを最前列でみました。パネラーは、とちぎあきら氏(東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員・映画室長)、柳下毅一郎氏(映画評論家/英米文学翻訳家)、内藤篤氏(シネマヴェーラ渋谷館主/弁護士)、小野寺生哉氏(かなざわ映画の会代表)という4名。専門家の方のお話は大変興味深かったですね。フィルムに関するノスタルジアまじりの意見よりも、とにかくフィルム上映の今後について語ろう、ということではじまりました。フィルム上映に関する専門家や猛者の方々で、とりわけフィルセンの方のお話は、フィルセンがどういう役割を果たしてきて、今後どういう課題があるか、まで語られてて興味深かった。書籍等について法律で定められているために国立国会図書館がアーカイブとなっているが、映画フィルムについてはそうなっていないことが問題である、と。それゆえ法令化も必要だが、法令化を待つ前にフィルセンは内容で選別するのではなく、アーカイブとしての役割を果たすためには内容如何で選別するのではなくフィルムはすべて収集しなければ、と思っている、と*1。なるほど。フィルムを保存するにしても、権利をクリアして上映するために各映画会社と交渉するのが大変であるため、アメリカやフランスのように上映権について管理する機関を設けるのもひとつの策、というのもなるほどな、と。ともあれフィルムの科学的見地からいえば、数百年でも保存可能とのことだけに、それらをアーカイブとして適切に保存し、廃棄されないようにする、劣化をふせぎ、かつ生きた素材として活用する体制を整えることこそが大切なのだろう、と。そういう意味では映画祭はその意義あるまたとない機会なのですな。しかし、近年の製作委員会方式のようなものは、倒産やらなにやらで権利があやふやで一番危うい、というのは驚いた。フィルムがあっても権利がクリアできずに上映できないって、一番アカンやん…*2
続いて移動して、前年も一度もいけなかったシネモンドを足を運ぶことに。クリスチナさんの『露出』を見ますよー…しかしすこし疲れが出て頭が痛くて…ほぼ眠ってしまったであります。ははぁ。彼女の肢体はみましたが。あと北欧男子の不思議な顔立ちとか、断片しか覚えてない。内容としては多感な思春期の少女の性的妄想を映像化しつつ、みたいな、感じ、かな。ここまででカナザワ映画祭は終了。昨年に比べると本数は少ないですが、今年度の会場の都ホテル地下のホールはとてもいい環境だったし、来年もここで観たいなぁ、と。代表は来年やるかどうかは…とおっしゃってましたが、一年に一度、金沢に足を運べたら、年中行事みたいになったらいいなぁ、と思ってみたりもしている(他力本願ですまないですが)。できれば前夜祭から行けたらなおさらお祭り感が増していいかもなぁ。そしてカナザワでお会いできた人々、また来年も会いたいですね、ということで〆。
・食べたもの 海鮮丼@近江町市場、翌日は美味しい懐石とか朝食とか@旅館。そしてサンダーバードで帰還!

*1:実際寄贈されるフィルムの数としてはぴんく映画が多いとか

*2:相米監督の作品とか、かなり権利関係が複雑なことになって昨年の東京での特集上映も大変だったとか