郊外の雪の降る町、夢の我が家『ドリームハウス』

郊外に念願の我が家を買って、これまでの生活に区切りをつけて新たなる幸せな生活をはじめよう…というのはある種のフラグだと映画やテレビでさんざんみた物語で叩き込まれています。さて、今回そのフラグが立ってしまったのは理想のカップルともいえるダニエル・クレイグレイチェル・ワイズさん(今作をきっかけに実際に結婚)ご夫妻とその可愛い娘さんたち。輝かしい編集者としてのキャリアに一区切りつけて、家族との時間を大切にしつつ、作家としての一歩を踏み出そうとするのに、「なにかがおかしい、この家」。
アザーズ』や『シャッター・アイランド』を思い出しましたね。いま挙げた二作ではラストまで大事に大事にとってたネタ(オチ)を今作では結構早い段階で明かしてしまうので、おぉ?と思ったけど、たしかに予想どおりの展開だとあまりにも有り勝ちだものな。工夫されてたし、そこからの展開もおもしろかったよ。
ダニエル・クレイグアイデンティティ・クライシスあたりの展開は観ているこちらも揺さぶられる感じがしたものな。彼があの家に固執するのは、家にまつわる大切な思い出と自分だけに見える家族たちのため。それだけに“もう既に生きていないこどもたち”が熱にうなされているのを抱きかかえるダニエル・クレイグが、こどもらの体に銃で撃たれたあとを見つけるくだりはせつなかったね。かつて起こった不幸な事件をまざまざと思い起こさせるものであり、また、記憶を失っている彼は、その銃創は自分がつけたものかもしれぬ、と思っている段階なわけだから。
家はあくまで入れもので、その中身を満たしていたものが大事。愛する妻と愛するこどもたちと過ごした幸せな日々。家に固執するのは、“モノ”とりわけ“家”と思い出は結びつきやすいから。彼は荒れ果てた家に行き、幻影の家族を求める。家族との幸せな日々の記憶が、絶望のあまり精神的に荒廃してしまった彼を生に繋ぎとめていた。
雪にかこまれて、小説を書きはじめようとする父…という設定は『シャイニング』要素もあるのか。あの小さな姉妹も『シャイニング』の有名なふたごを連想させるし、狂える父……レドラム…………あぁやっぱり雪の降る郊外の一戸建て危険(偏見)。
ドリームハウス』(2011/アメリカ)監督:ジム・シェリダン 出演:ダニエル・クレイグナオミ・ワッツレイチェル・ワイズマートン・チョーカシュ
http://dreamhouse-movie.com/
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD22410/index.html

保険金殺人、てオチはまぁ、そんなものかな。なつかしさもあったな、その要素って。
ダニエル・クレイグはフロに入るシーンなどもたっぷりあって、サービスショットがたくさんあった。