読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

未体験ゾーンの映画たち2013『バーニーズ・バージョン ローマと共に』

昨年もあった“ほぼDVDスルー扱いなんだけど、一応「劇場公開作」って冠をつけるためにやってるのか”型特集上映。昨年は、同枠でかかったとある作品を「今をときめくゴズリングとキルステンの共演するサスペンス!でも邦題がヤバそうかも…」と思いつつ期待していったら「うん、まぁ、未公開でよかったかな」と思ったり、同枠映画を見まくっては地雷を踏みまくって「オレの屍を越えていけ」とばかりのハートロッカーぶりを見せてくれた友人の無残な戦績を聞いたりしたものでした。そこで、今回たくさん上映される中から厳選して観ました。先日感想を書いた『ザ・ウォーター・ウォー』は現時点で今年観た映画でイチバンですね。推したい一本です。今日はジアマッティ映画。
『バーニーズ・バージョン ローマと共に』(2012/カナダ、イタリア) 監督:リチャード・J・ルイス
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD23402/index.html
ポール・ジアマッティ充するには今作は最高です。本編にほぼ出ずっぱり。しかも特殊メイクアップがすごいんですよ。SFやホラーなどのドヤァという派手さはないのですが、過去や現在の時制を行ったり来たりする、その時々のジアマッティの微妙な老け+若者メイクがすごいんです。『J・エドガー』はこのスタッフを雇うべきだったね…。
お話はいかにもアメリカの小説の映画化、という感じ。学生の頃すこし現代アメリカ文学とか原文で読んだときに覚えた感じ。土地や国をいとも気軽に移動し*1、職業もあっさり変わり、人と交わり別れ、奇異な縁で人生が転がり、人が死に、生き、というのが。どこか現実と異なる位相、ところどころファンタジーか童話のようでもある。『ホテル・ニューハンプシャー』を読んだときと映画観たときの感じた、“明らかに日本の小説及びその映画化と異なる画面やストーリー展開だな”、という印象、あれに似てる(でも『ホテル・ニューハンプシャー』どんなだったかほとんど覚えてないスミマセン)。ラストの展開も、アレアレアレ…そっちにいくのか!と結構意外でした。おそらくジアマッティ演じる主人公のユダヤ人設定が重要なファクターで、アメリカ人には色々当然共有されている前提があってのお話かもしれないなぁ、と微細なニュアンスをすべてを理解しきれぬもどかしさも感じた。自分的には、ジアマッティが素晴らしかったし、彼の父親役のダスティン・ホフマンを久々に堪能できたのも嬉しかった。誰かかけがえのない存在に出会うのは、しあわせの種でも苦しみの種でもあり、それが生なのですな、ということを感じるしみじみ映画でありました。

*1:日本人は居所をなかなか動かないでしょ