カナザワ映画祭2013に参加した旅日記(1日目)

一昨年、はじめて参加したカナザワ映画祭。昨年も参加し、なんとなく自分の中でこの時期の恒例行事/年中行事のようになってきた感があり、今年も3年連続3回目の参加をすることにしました。昨年の「エロス」みたいな明確なテーマは今年は特にないのだけど、“ギミック上映”とか“東宝東和のホラ/ケレン/予告編詐欺的宣伝”などに関連した映画上映により「映画の見世物的側面、観客参加型」というようなテーマが今年は映画祭を通じて浮かび上がってきたような感じです。初参加した一昨年は『へんげ』『先生を流産させる会』『復讐 運命の訪問者』など印象的な爆音上映を体験できましたが、今年はそれを上回るような満足感を得るとともに、台風による帰路の困難さもあって忘れられないカナザワ映画祭体験となりました。ではざっくりとふりかえり記録を。今年も前夜祭(『メトロポリス』)は参加できず、映画祭初日、3本目の映画から参加です。
9/14(土)
『ファンタズム』(1979/アメリカ)監督:ドン・コスカレリ  殺人鉄球でおなじみの今作品。公開時に試写会で1度だけやって伝説となった東宝東和のビジュラマ上映!…って映画途中で殺人鉄球の場面で玉がポーンと投げられたり、茶色いフードをかぶった小人が走り回ったりするんですけどね、ええ(ちなみに小人役で走り回ってた映画秘宝の田野辺氏が足を捻挫したそうです…)。古典的ホラー俳優の顔を持つアンガス・スクリム(っていまググったらまだ生存してはるのか!今87歳)演じるトールマンが襲い来る。まるで悪夢をみているかのような気持ちにさせる唐突な場面転換、不思議な森閑とした部屋、小道具の音叉のまさかの伏線。『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせる白い部屋など、いや、この独特の雰囲気、かなり好みでした!

《トーク》ギミック宣伝の極意  東宝東和の宣伝次長だった竹内康治氏、檜垣紀六氏(ファンタズム、バーニングなどのホラー物からキューブリック映画、ジャッキー映画、イーストウッド映画等のロゴやポスターデザインを手がけたデザイナーの方)、映画ジャーナリストの斉藤守彦氏のトーク。これもおもしろかったなぁ。斉藤氏が映画のギミック宣伝をテーマにした著作を近日中に出されるようなのでその本を読めばこのトークの内容が結構入ってるかも。ホラー映画は「“ン”と濁音が入っている4〜5文字のタイトルが当たる」との勝手な法則でつけられた『バタリアン』や『サンゲリア』などの適当タイトル(『サンゲリア』に至ってはワインの“サングリア”から取ったとか…)『バーニング』の日本版ポスターに映ってる女性らは東宝東和の女性社員だとか、『ランボー』のポスターの夕陽は熱海の夕陽だし、銃を持つ手はデザイナーの檜垣氏の腕を合成したものだとか、摩天楼も全然映画に関係ない適当なスチルから合成したとか、本当にむかしはフリーダムだったのだな、いやマジで。

ファントム・オブ・パラダイス』(1974/アメリカ)監督:ブライアン・デ・パルマ  音楽映画だけに爆音上映との相性がすごくよかった。ポール・ウィリアムズ演じるなぞのちっちゃいカリスマおっさんスワンに翻弄されるウィンスロー・リーチ(ウィリアム・フィンレイ:2013年没)が狂気と悲しみと愛に身を焦がす様のすさまじさ、華麗なステージと惨劇。70年代のポップで色彩あふれるデザインがそれはそれは大層素敵であった。『オペラ座の怪人』要素だけかなと思ってたけど「ファウスト」「ドリアン・グレイの肖像」などの要素も大分色濃く入っててそれが物語の深さにつながってたな。ジェシカ・ハーパーもキュートでした(エレン・ペイジに似てるように感じた。ぼんやりと)。スワンの策略により缶詰めになって作曲している小部屋で超かっこいいシンセに囲まれまくってる黒ずくめのファントムの図の超かっこいいこと!好きだわー

ロッキー・ホラー・ショー』(1975/イギリス)監督:ジム・シャーマン  イベント上映、ということで高橋ヨシキ氏がMCをつとめ、とにかく参加して楽しみましょう!ということでロッキー・ホラー・ショーのファンクラブLIPSの面々が気合の入りまくったコスプレで舞台上を映画内人物とシンクロしてかけまわり衣装替えし、演技し、ダンスし、映画につっこみを入れる、という上映でした。色々とお約束があるらしく、それをよく知らぬ自分は「ほわー、こんなふうに楽しむ方法もあるのなー」という感じでした。映画自体はとにかくスーザン・サランドンが若い!下着姿!というのに驚き、フルター博士のトランスセクシュアルなありように感動したりしていました。ミュージカル映画なので、細かいことはつっこまない!という感じ。ガジェットやキャラを気に入ればドはまりする感じだろうな。ちなみに去年だか一昨年だかに新感線の舞台で古田新太が博士を演じる『ロッキー・ホラー・ショー』を観たんですが、すっかり筋を忘れてて結構新鮮に観られました。でもまた筋は忘れそう(笑)でもそれでいいやん、て感じの映画。

いつものことながら、スケジュールが押してて、終わったら予定時刻を大分過ぎてました。ともあれ充実の1日目終了。2日目に続くのであります。