『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』

アメリカのコメディ映画はなかなか日本公開されない、と言われてるのに、無事公開されてなにより、ということで劇場に観にいってきました。花形スター刑事の二人組(サミュエル・L・ジャクソンドウェイン・ジョンソン)が登場して、ささっと退場を果たした後、今作の主役二人の活躍が始まりますよ。
ウィル・フェレル安定のクオリティ  ウィル・フェレルが演じるのは会計やデスクワーク大好きな刑事アレン。あの髪型とあの服装とあの表情がすでに反則。すまし顔なだけでおもしろいがな。80年代のおっさんみたいなオールドファッションぽいダサさを身にまとっているのに、ヨメが超ホットな美女。元カノも超ホット。元ピンプでヤバい過去あり…な設定。ヨメとの下ネタ会話をおばあさんを介してする伝言ゲームのギャグなどもおもしろかったけど、一番好きだったのは歌声バーみたいなとこで歌う場面。繰り返しで、来るってわかっててもおもしろくてたまらない、あの表情にあの歌声って。
プリウス  刑事モノの定番とのギャップにまつわるギャグもたくさんあって、ワイルドであるべき刑事がなに環境に気遣ってんの、というプリウスネタをはじめ、いい刑事&悪い刑事、派手な爆破シーンに実際に遭遇したら、などなど。あ、もちろん一番のネタはロック様とサミュエル・L・ジャクソンのアレだな。犯人を追いつめていかねば…でも行き止まり。さぁ、どうする?ってときの2人の会話の様子はいかにも刑事モノっぽいのに、あんなに内容がバカで、しかも二人の表情は迷いのない会心の笑顔…すべてが最高でしたね。
マーク・ウォールバーグの眉間のしわ  マーク・ウォールバーグが演じるのはまっすぐで熱血、ちょっと頭わるそうでドジ*1だけど動きは俊敏な刑事テリー。ウィル・フェレル演じるアレンとの掛け合いも息があってて、最初のほうで「オレはお前がきらいなんだよ」といって自分をライオンに、アレンをマグロにたとえてからのアホな喩え妄想会話がすごくおもしろかったな。「踊るハイパー刑事」の踊る担当で、華麗なるステップを披露しますよ。ゲイをからかうためという動機ながら女性っぽいバレエやらハープをかなりの高レベルで習得してしまってる点で、ちょっと抜けてて、相手に入れ込んでしまうキャラなんですよね。だから「おまえが嫌いだ」と言いつつも「相棒だからな」って、なんだかんだでアレンを信用してるんですよね。マーク・ウォールバーグの眉間に皺顔のちょっとオーバーアクトもよかったです。
○ストーリー  ストーリーの展開に従って、シチュエーションも警察署、家、容疑者の会社、車中、バーなどテンポよく転換していくので飽きませんでした。ギャグもきちんとワンシーンにいくつか、何分かおきにひとつ、というように配分されてて、脚本が巧みだな、と思いましたね。また、マネーゲームで資本家が損をしないためにいかに利己的な行動を行っているか、ということへの批判が思っていた以上に主張されているのに、コメディ映画としてきちんと成立させている点に感心してしまった。ラストもいかにも皮肉ですよね。資本家が損をしないために散々なことをしでかしておいて、結局、損失の穴埋めに公的資金…という解決。バディものの愉快なコメディ映画として成立させたうえで、最後にちくりと映画内の問題はいまだ終わっておらず、現在進行形なんだよ、と示している。アメリカのコメディ映画の実力なんでしょうな。エンドロールも印象的でした。でも結局主役ふたりの活躍が観てて楽しかったです。劇場では他のお客さんの笑い声も聞こえてきてよかったな。コメディは映画館で観たいな、と思いましたよ(もうすこしお客が多ければもっとよかったかも、入りはちょっと寂しかったですね)。

『アザー・ガイズ 俺たち躍るハイパー刑事!』 (2010/アメリカ)監督:アダム・マッケイ 出演:ウィル・フェレルマーク・ウォールバーグエヴァ・メンデスサミュエル・L・ジャクソンドウェイン・ジョンソンマイケル・キートンほか
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http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD18909/

*1:なにせワールドシリーズの会場でスタープレーヤーを撃っちゃうんだからな