2012-01-01から1年間の記事一覧

風が吹くとき『ニーチェの馬』

タル・ベーラ監督作品ということ以外、まったくの予備知識なしに観に行きました。そして、今作に興味があってちょっとでも観にいこうかな、と思っている人には、自分同様まったくの予備知識なしに観に行ってほしいです。 冒頭にニーチェにまつわる真偽不明な…

『王朝の陰謀 -判事ディーと人体発火怪奇事件-』

ツイ・ハーク監督作、アンディ・ラウ主演の『王朝の陰謀 -判事ディーと人体発火怪奇事件-』を観ましたよ。 則天武后(カリーナ・ラウ)が中国初の女帝として即位するにあたり、その威光を示さんと巨大大仏の仏塔が建築されている現場で、人体から発火し死に…

『ビースト・ストーカー/証人』

ダンテ・ラム監督、ニコラス・ツェー、ニック・チョン主演という『密告者』と同じ布陣による『ビースト・ストーカー/証人』を観ましたよ。『密告者』ではニコラスが犯罪者側、ニックが警察側だったのですが、今作ではちょうど逆になっています。 犯罪者を追…

『少年と自転車』

ダルデンヌ兄弟監督作品の『少年と自転車』を観ましたよ。監督が来日した際に聞いた児童養護施設の少年のエピソードから着想を得た作品だとのこと(公式サイトにエピソードが載っているのでぜひともご参照ください)。 少年は父から捨てられた。こどもは邪魔…

『カエル少年失踪殺人事件』

韓国の3大未解決事件のひとつを映画化したという『カエル少年失踪殺人事件』を観ましたよ。 大邱近郊でカエルを捕まえに行く、と出かけた少年5人。田舎の牧歌的な風景の中へ遊びに出かけた彼らの姿は杳として消えてしまう。必死の捜索のかいもなく彼らは見つ…

『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』

花嫁付添い人になった女性のコメディと聞いていました。たしかにギャグや下ネタも多くて声出して笑うところもある、ケド、笑いを上回る痛々しさに、あいたたた…と思うところも多くて、この感じ覚えがあるぞ(しかも結構最近)、と思い…そう、この目も当てら…

鍵掛け屋、仕立屋、兵隊、スパイ『裏切りのサーカス』

書店でみかけた原作小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の分厚さに、これをどうやって2時間ほどの映画にするのだろう、と思っていましたが、原作のエッセンスをうまく映画にしているんだろうなぁ(原作未読)と感じました。なにより70年代イ…

緊迫の2時間『別離』

イランでもきっと中〜上流手前くらいの夫婦なんでしょう。夫婦ともに仕事を持ち、何部屋かあるマンションに住み、娘にもしっかりとした教育をほどこしている。社会的地位もあり、収入もそれなりに得ている二人は、それなりの主義主張もあり、よりよく生きる…

2012年3月に観た映画をふりかえる

年度替わりの多忙さゆえ、まとめを書くのが遅くなってしまった。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 ヒューゴの不思議な発明 TOHOシネマズ梅田 サシャ・バロン・コーエンよかった。3D効果もgood 1,800 おとなのけんか シネリーブル神戸 大爆笑。オススメ …

『ルート・アイリッシュ』

ケン・ローチ監督の『ルート・アイリッシュ』を観ましたよ。ケン・ローチ作品らしく社会派でありつつ、すこしミステリの要素もある作品でした。そしてやっぱりイギリス的空気が横溢してた。彼の作品はどうしてここまで“いかにもイギリスっぽい”すこしざらつ…

ベタ炸裂『バトルシップ』

最初に主人公のダメダメなところを見せておいて、ついでに恋愛ネタの伏線もしておいて、かーらーのー…海軍で“たまたま”艦長の役目をやらざるを得なくなり、大活躍を見せ、恋愛までうまく収まってしまう、というベタにベタを重ねたストーリー。地球外生命体が…

今日観た旧作2本『十二人の怒れる男』『ブエノスアイレス』

今日観た映画についてさくっと書きます。観たからには書きたい、という気持ちを覚えさせてくれた2本の映画。まずは言わずもがなの名作から 『十二人の怒れる男』(1957/アメリカ)監督:シドニー・ルメット 録画したままになっている映画がたくさんあるので…

『アーティスト』

これまた前評判の高かった『アーティスト』を観ました。ここのところアカデミー賞絡みの作品が次々と上映されているので、前評判が高く、それだけに期待値のあがってしまっている状態で観る作品が続いています。そして、これは正しくアカデミー賞作品賞らし…

大人って汚い『スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜』

民主党の大統領候補選出のための選挙戦に立候補した州知事のモリス(ジョージ・クルーニー)の選挙対策ブレーンとして働くスティーヴン(ライアン・ゴズリング)が主人公。彼は、モリスの政治理念や姿勢に惹かれ、同じくブレーンのトップであるキャンペーン…

『ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜』

前評判の高かった今作をたのしみにしていました。観て、かっちりと出来上がっており、すでにクラシックの風格を持っているのだけど、きちんと現代のレベルの高い製作陣による成果物になっているな、と思いました。 観ている間はじつはもやもやと思うところも…

原色ロマンティックバイオレンス『ドライヴ』

ここのところ役者としての存在感がぐんぐん増してきたライアン・ゴズリング主演の『ドライヴ』を観ましたよ。事前情報で「説明描写を極力排した」「画のチカラでみせる感じ」「バイオレンス描写が結構すごい」と聞いてましたので、結構覚悟してたから、そこ…

ファスベンダー力(りょく)全開『SHAME-シェイム-』

マイケル・ファスベンダーとキャリー・マリガン主演の『SHAME−シェイム−』を観ましたよ。 ブランドンは仕事のできる男ではあるがセックスを生業とする女を買い、家でも職場でもネットで動画を観たり*1している。アダルト雑誌も購入し家にはたくさん置いてあ…

大阪アジアン映画祭 『捜査官X』

大阪アジアン映画祭で観たシリーズもラストの4本目です。クロージング上映の『捜査官X』! ドニー・イェンと金城武の共演というのもかなりの引きがある感じですが、『ウィンター・ソング』『ウォーロード』のピーター・チャン監督だけに映像が凝った感じで…

大阪アジアン映画祭 『LOVE』を観たよ

大阪アジアン映画祭シリーズも3本目。今日は『LOVE』について書きますよ。『モンガに散る』のニウ・チェンザー監督が『モンガ〜』とはうってかわって恋愛群像劇を撮っております。おおまかには3組の恋愛模様、ともいえますが、3組はそれぞれに三角関係があっ…

大阪アジアン映画祭 『星空』を観たよ

さて、大阪アジアン映画祭で観たシリーズ2本目は『星空』です。台湾の新鋭トム・リン監督作品。原作*1は人気絵本作家ジミー・リャオの絵本だそうですよ。…鋭い方ならピンとくるかもしれませんね、そう、今作を観たときにいろんな映画の影が思い浮かんだので…

大阪アジアン映画祭 ジョニー・トー最新作!『高海抜の恋』を観たよ

待ちに待った大阪アジアン映画祭2012。今年は4本観ましたがどれも素晴らしい作品で大満足でした。どれから書こうかな、と思ったのですがやはりジョニー・トー最新作で!トーさんといえば『エグザイル』な路線もありますが、今年は男女の恋愛をベースにした映…

2012年2月に観た映画をふりかえる

うるう年なので、一日多かったのですが…やっぱりあっという間に過ぎていきました。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 ルルドの泉で 梅田ガーデンシネマ レア・セドゥよかった(名前完全に覚えた) 1,500 幸せの行方… テアトル梅田 そこはかとない残念感(´-`).。…

『戦火の馬』

この映画の魅力はほかの方の感想をみて、うん、そのとおり、と思って満足な感じで、自分でアレコレこの作品について文章を書きたいと思うところもないほどなのですが、自分メモで書いておこうと思います。 ・やっぱり馬が素敵 馬が主役ですから、馬が魅力的…

『おとなのけんか』

これはきっと幅広い世代の人が観ても、かなりの人がおもしろいと思う映画じゃないかな。心底笑った。登場人物がとる危うい行動やセリフに思わず「ひゃぁ」と声にならない声が出るほどに集中して観ていると、そのあとにバーストする笑いが控えているという。 …

映画の魔法にかけられて『ヒューゴの不思議な発明』

公開前から話題作だった『ヒューゴの不思議な発明』を見てきましたよ。3Dでの鑑賞です。原作未読。 偏屈なおじいさんとこども交流により、おじいさんの心がとかされ、ナゾの過去が明らかになる…というのは結構定番の物語フレームのような気がする。どうし…

『キツツキと雨』

本当はほかの映画を観に行こうかな、と思っていたのですが、そのとある作品についてのあまりに微妙すぎる感想をいくつか目にして、予定変更して観に行ったら思いもかけぬ拾い物だったのです。“ゆるい感じ”がいい方向に働いてる映画だと思いますよ。 木こりの…

2012年2月の全米映画興行ランキングメモ

ここのところ日曜夜に物足りなさを感じてて、それはもしや、『SHOWBIZ COUNTDOWN』が無いからか…毎週ぼんやり見てた(たまに忘れてたりもした)けど、やたら辛口だったり偏ってるコメントも含めて結構楽しんでたし、なにより情報に疎い自分でも「あ、これ日…

人生のプロなんていない『人生はビギナーズ』

ユアン・マクレガー、メラニー・ロラン、クリストファー・プラマー出演の『人生はビギナーズ』を観ましたよ。 作品のテーマやストーリーの描かれ方がうまいかどうか、というよりも、雰囲気を味わうというか、相変わらず美しいメラニー・ロランの美しさ*1にた…

女王の帰還『ヤング≒アダルト』

『JUNO』の脚本&監督のコンビということで期待して出かけました。観てすぐに思い出したのは同監督の前作『マイレージ・マイライフ』。あのラストのなんともいえない複雑な気分…寂しさやほろ苦さと同じ感覚を味わいました。きっと同じように『マイレージ〜』…

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

世評的には原作読了派の評判はあまりよくなさそうですね。自分は原作未読で映画を観たのですが、いまひとつ主人公のオスカー少年に寄り添いきれなかった感じです*1。オスカー少年はアスペルガーぽい造形で他人の感情が今一つ察せられない、空気を読めない。…