人類皆きょうだい『人生、ブラボー!』

人の善良さを信じたくなる、あたたかい映画。悪い人は出てこない…うん、だからファンタジーですね、でも、ファンタジーに仮託することで、人間のよいところが具体性を伴って描写もできる。 主人公ダヴィッドはダメダメな奴だ。42歳、独身、だらしない、仕…

『アルバート氏の人生』

マジメで気配りができ、つまりウェイターの仕事が天職ともいえるほどぴたりとこなせるアルバート・ノッブス。しかし小柄な彼はどこか風変り。人との関わりが浅い。どこか心の奥を見せない。ハンサムとは言い難くルックスもどこか奇妙。彼の抱える秘密とは… …

my bloody valentine live@なんばHatch(2013/2/6)

いってきました。 客層はオトナな感じでしたね。でもそのオトナがあの空間にみっちり詰まっていたのでちょっと驚いた。そういや駅から会場までに久々にダフ屋みかけたわ。 19時開演予定が、27分くらい遅れではじまった。無言で現れ、メンバー紹介やMC…

未体験ゾーンの映画たち2013『バーニーズ・バージョン ローマと共に』

昨年もあった“ほぼDVDスルー扱いなんだけど、一応「劇場公開作」って冠をつけるためにやってるのか”型特集上映。昨年は、同枠でかかったとある作品を「今をときめくゴズリングとキルステンの共演するサスペンス!でも邦題がヤバそうかも…」と思いつつ期待…

未体験ゾーンの映画たち2013:今年推したい作品暫定ベスト『ザ・ウォーター・ウォー』

これは面白かったし、かなりズシンときた。映画製作の裏側と撮られる側の関係性、ボリビアの水戦争/西欧の大企業が如何にボリビアのような“第三世界”をグローバリズムにおいて食い物にしようとするか、そして映画内映画で語られるコロンブスによる大陸の“発…

彼の口から語られる物語『ライフ・オブ・パイ』

ネタバレて書きます。 物語の効用。癒すこと。厳しい辛い直視するのがしんどい真実は奥ふかくに隠して、やわらかくふわふわと面白いもののように砂糖や装飾でくるみこんでしまう、寓話のように。そんな甘い甘い物語に人は夢中になる。この話はどうなるの、先…

大人になるには『テッド』

ジョン少年には小さい頃、友達がいなかった。それで切に願う「このクマのぬいぐるみが喋って、ぼくの一番の友達になればいいのに」。その願いの純粋さと流れ星の落ちるタイミングがピタリとあったとき、ファンタジーが具現化する。中に綿の詰まっているテデ…

ホン・サンス恋愛についての4つの考察

観ました。ホン・サンスは好き嫌いがぱっきり分かれると思いました。ある意味雰囲気映画っぽいしな。さて自分の嗜好的にはどうだろう。上映された4作は↓(観た順) 『よく知りもしないくせに』『ハハハ』『教授とわたし、そして映画』『次の朝は他人』 http:…

路地に生まれて死んでいくもの『千年の愉楽』

舞台挨拶つき先行上映に行ってきました! 原作はむかしに読んで、中上健次の中では一番好きだったという印象を抱いたことを覚えている作品…細かいところは覚えてないけど(スミマセン)。でも、観ていくうちに原作のことも段々思い出してきて、小説とは異なるけれ…

All You Need Is Love『LOOPER/ルーパー』

前評判が高かったし町山さんの昨年ベストでもあった今作。さてどんなのものかな、と初日に行きましたよ。ネタバレあり感想。 設定は近未来。ID管理や追跡が厳重になったため、死体処理の困難な未来から非合法にタイムループをつかって送り込まれる人物をルー…

大友克洋監修『MEMORIES』(1995)

塚口サンサンシアターは昨年から旧作上映を積極的にされてるのですが、ラインナップがユニークです。デジタル未導入なりにフィルム上映館であることを強みにしようとして挑戦中なのでしょう。昨年も『AKIRA』『ヘドウィグ〜』『パプリカ』など観に行ったので…

2012年12月に観た映画をふりかえる

2012年12月に観た映画一覧。まとめておくよ。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 高地戦 元町映画館 2秒の意味するものは 1,000 思秋期 シネリーブル神戸 人の業とは 1,000 007/スカイフォール TOHOシネマズ西宮 空がおちても パスポート ウーマン・イン・ブラック…

冬の香港映画祭り『大魔術師Xのダブル・トリック』『狼たちのノクターン』

これを観なければ冬は越せない!ということで行ってきましたよ。3本中2本の鑑賞です(今回は『最愛』はスルーいたしました、気にはなりましたが…)。客層はいかにも香港映画ファン、といういい感じです。 http://www.cinemart.co.jp/theater/special/hongkon…

2012年に観た映画をふりかえる:その3(旧作再上映ほか)

※旧作ふりかえりイメージキャラクターのパプリカちゃんです。昨年、新作以外に観たものふりかえってみます。【旧作再上映】順不同 1、こわれゆく女:カサヴェテス特集上映。すばらしい!ピーター・フォークもジーナ・ローランズも最高。 2、ラブ・ストリー…

さよなら2012(年末雑感)

※写真は自分的大晦日イメージキャラクターの美しいメラニー・ロランさんです(一昨年の大晦日に観た映画が『オーケストラ!』だったので大晦日といえばこのメラニーさんが思い浮かぶ)。 子どもの頃は大晦日は特別で、午前零時新年を迎えた瞬間空気までかわ…

2012年に観た新作映画を全部ふりかえる:その2(極私的全ランキング)

すべてベスト10扱いとしたいベスト30は先日の日記にまとめました。 ↓ http://d.hatena.ne.jp/yosinote/20121227 先日の日記を書くためにベスト30の各作品の画像を集めたのですが、楽しい作業だったな。各作品についていくつか出てくる画像のなかでもお…

2012年に観た映画をふりかえる:その1(1〜30位)

暮れゆきます2012年。去年に引き続き全作品をふりかえってみますが、あまりに長い記事になりそうなので、とりあえずベスト30まで。ベスト上位30はほぼベスト10扱いです。どれもこれもおもしろかったし、鮮烈だったり、痛かったりしたなぁ、と。それでは参…

前日譚のはじまり『ホビット 思いがけない冒険』

HFR3Dで観ました。映像は、ゲームがでっかい画面で繰り広げられてるみたいに見えましたね。徐々に慣れましたが、ぬるりとろりとした質感に見慣れてないからか、自分は普通の方がよいかも…画面をスプリットにして見比べてみたいかな。もともと自分の眼のク…

見せ場のつるべ打ちミュージカル映画『レ・ミゼラブル』

TOHOシネマズのムービートピックスで散々その“撮影の裏側”を観せられてきた「レ・ミゼラブル」。やっと公開されたので観に行ってきました。 冒頭の囚人ジャン・バルジャンが重労働に従事させられた後、ジャベールと会話を交わすシーンで「お?」と思う。こん…

『マリー・アントワネットに別れを告げて』

ダイアン・クルーガーがアントワネットで、その朗読係シドニーを演じるのがレア・セドゥです。最近気になるレアちゃんの出演ということで楽しみにしてました。 使用人であるシドニーの目線で語られていくので、ヴェルサイユの裏方が垣間見えるのがいいのです…

『桃さんのしあわせ』

遅れて地元で公開されたので観に行ってきました。 アンディ・ラウ演じる映画プロデューサー、ロジャー。多忙を極める彼が家に帰ると、彼の好物をジャストなタイミングで給仕していくお手伝いさんがいる。彼女の名は桃さん。市場で丹念すぎるほどに品定めるす…

空中キャンプさんの2012年に観た映画をふりかえるに参加します

どうもです。先日、11月に観た映画をふりかえったのは、空中キャンプさんの企画に備えてでもあったのでした。今年は映画祭や企画上映で観たものでこれは!というものに出会ったのが自分の中で上のほうに来るものがあったのですが、空中キャンプ賞の意義をふ…

2012年11月に観た映画をふりかえる

一か月経ったよ。 タイトル 映画館 ひとことメモ 値段 声をかくす人 テアトル梅田 マカボイ 1,300 黄金を抱いて翔べ 神戸国際松竹 "レイコー"はやっぱり言わんよ 1,000 悪の教典 109シネマズHAT神戸 ハスミン。to die? 1,000 ミステリーズ 運命のリスボン テ…

2012ベストカーディガン/メガネ理系男子Q現る『007 スカイフォール』

007映画はそんなに観てない。ボンドといえばピアース・ブロスナンのイメージがあって、なんだかチャラくて、現実にありえん夢想的ガジェットだらけで、女にモテたり裏切られたりでもやっぱり007のほうが一枚上手とか、自分の中では、一見さんには敷居が高い…

この恨み晴らさでおくべきか『ウーマン・イン・ブラック』

ゴシックホラーとして有名なので、タイトルだけは知ってました。舞台化もされてましたよね。その映画化の今作は、予想以上に端正な、というかクラシックなお化け屋敷ムービーでしたね。そしてまた*1イギリスの暗鬱な低い空の下…というロケーションなのです。…

英国の灰色の空の下/灰色の心『思秋期』(原題:TYRANNOSAUR)

痛い、痛い映画。 冒頭、ノミ屋でボラれた主人公ジョゼフは、店を出ても怒りを抑えきれず、リードをひいて愛犬を連れ帰ろうとするが、そのリードを引っ張られる勢いにキャンと鳴いた愛犬の腹をボコボコに蹴り倒す。ハッとして犬の様子をみ、抱えて帰るも愛犬…

大阪ヨーロッパ映画祭で観た2本・映画愛のかたまり『ファイナル・カット』、最高のレア・セドゥ映画『シスター』

大阪ヨーロッパ映画祭。いつもみたいなと思いつつ、いつのまにやら終わってしまっていた…今年は初参加がかないました。 ・『ファイナル・カット』(2012/ハンガリー)監督:ジョルジュ・パールフィ これは、映画のサンプリング映画。ストーリーはシンプル。…

戦争という地獄『高地戦』

地元でかかりましたので観に行ってきました。 世界史の教科書とかでの「休戦協定が結ばれました」程度の記述しか覚えていない、朝鮮戦争の終結。しかしそこに至るまでの戦争のありようを描いた今作によって、知らなかった歴史の一端を知ることができ、こうい…

『ヱヴァンゲリオン新劇場版:Q』観たよ

シンジくん、おつかれさま。 14年間も漂って、目が覚めたらまるで別世界。誉めてくれるだろう、と思ってたミサトさんはじめ皆からは冷たい視線。ピザボーイ=ジェシー・アイゼンバーグも嵌められてた爆破装置首わっか嵌められて、その理由も知らされずに、放…

ジェニファー・ローレンスのアイドル映画『ボディ・ハント』

だから郊外に家買っちゃダメだって言ったじゃん。 しかも中古って。 学ばない人たちだねぇ… でさ、怪しげだと思いつつも、こわごわと怪しげな家の地下室に降りていくとかさ。あぶないほうにどうして歩み寄ろうとするかねぇ… サイコ野郎が出てくるオーラも映…